今回は Raspberry Pi Pico W を使って、本体の LED を点滅させるところまでやってみました。
チュートリアル的な内容となります。
環境
今回の環境は下記のとおりです。
開発端末
- OS: Windows 11 Pro
- CPU: Intel Core i7-9750H
- メモリ: 64GB
- GPU: NVIDIA GeForce RTX 2070 Max-Q
Python 環境
- Python: 3.11.0
Raspberry Pi
- Raspberry Pi: Raspberry Pi Pico W
- 拡張ボード: Pimoroni Pico Explorer Base(※任意)(スイッチサイエンス)
事前準備
まずは Raspberry Pi Pico を動作させるための環境を用意します。
PySerial のインストール
Python でシリアル通信を行うためのライブラリをインストールします。
pip install pyserial
VS Code の拡張機能のインストール
VS Code に Raspberry Pi Pico 用の拡張機能をインストールします。
MicroPico のインストール
VS Code の拡張機能である MicroPico をインストールします。
MicroPico について
MicroPico は Pico-Go からフォークされた拡張機能です。
Pico-Go は既にメンテナンスがされなくなり、 VS Code Marketplace からも削除されています。
元々は Pico-W-Go という名前でしたが MicroPico にリネームされました。
VS Code の 拡張機能
をクリックし、 micropico
と入力して検索します。
インストール
をクリックして、拡張機能をインストールします。
MicroPico の初期設定
VS Code の 表示(V)
→ コマンドパレット
をクリックします。
>MicroPico: Configure project
と入力して Enter キー
を押下します。
Raspberry Pi Pico の準備
Raspberry Pi Pico にファームウェアを書き込んで Python (MicroPython) を動かせるようにします。
ファームウェアのダウンロード
Raspberry Pi 財団のサイトからファームウェアをダウンロードします。
利用する Raspberry Pi Pico にあわせてファームウェアを選んでください。
ファームウェアの書き込み
Raspberry Pi Pico の BOOTSET
ボタンを押しながら、 USB ケーブルで PC に接続します。
ダウンロードしたファームウェアを RPI-RP2
にドロップします。
ファームウェアの転送が完了すると、 Raspberry Pi Pico が自動的に再起動します。
以上で、ファームウェアの書き込みは完了です。
以降は USB シリアル通信経由で REPL にアクセスできます。
ファームウェアについて
今回は Python を利用するため MicroPython のインタプリタが含まれるファームウェアを書き込みました。
ファームウェアが提供されている場合は、他の言語で記述することもできます。
なお、 MicroPython は実行の都度、ソースコードから機械語に変換しながら実行するため、オーバーヘッドが大きくなります。
超音波距離センサーなどの一部のパーツは、このオーバーヘッドの影響を受け、誤差が生じるため注意が必要です。
オーバーヘッドを抑えるには、事前に機械語にコンパイルする必要があります。
C言語などで記述を行い、 UF2
ファイルにビルドします。
ビルドされた UF2
ファイルは、ファームウェアの書き込みと同様の手順で Raspberry Pi Pico に書き込みができます。
当然ですが、ビルドされた UF2
ファイルを利用する場合は、 Raspberry Pi Pico 用のファームウェアが不要になります。
Python コードの作成
サンプルコードを作成して、 Raspberry Pi Pico を動かしてみます。
サンプルコード
今回は下記のサンプルコードを使い、 Raspberry Pi Pico の LED を点滅させます。
ファイル名は main.py
にしてください。
from machine import Pin
import time
led = Pin('LED', Pin.OUT)
while True:
led.on()
time.sleep(1)
led.off()
time.sleep(1)
Python コードの実行
Raspberry Pi Pico を USB ケーブルで PC に接続します。(※ BOOTSET
ボタンは押しません)
VS Code のステータスバーの Toggle board connection
ボタンが Pico Connected
になっていることを確認します。
Pico Disconnected
になっている場合はクリックして Raspberry Pi Pico に接続します。
VS Code のステータスバーの Run current file
ボタンをクリックして、実行します。
ボタンの表記が Run
から Stop
に変わります。
Raspberry Pi Pico 本体の LED が点滅することを確認します。
Python コードの書き込み
>MicroPico: Upload current file to Pico
と入力して、 Enter キー
を押下します。
Python コードの実行(スタンドアローン)
Raspberry Pi Pico の USB ケーブルを PC から外し、 USB 充電器やモバイルバッテリーなどに接続します。
LED が点滅すれば OK です。
参考文献
下記の書籍とサイトを参考にさせて頂きました。
- 福田 和宏 . 最新Pico W対応! ラズパイPico完全ガイド . 株式会社日経BP , 2023