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業務知識すら知らないとデータ分析をやれないでしょう【最終回】

Last updated at Posted at 2019-08-20

前はECサイトの訪問数、コンバージョン率、AUとリテンション率のデータ分析について解説しました。
↓↓↓
業務知識すら知らないとデータ分析をやれないでしょう【連載-1】
業務知識すら知らないとデータ分析をやれないでしょう【連載-2】
業務知識すら知らないとデータ分析をやれないでしょう【連載-3】

顧客の購買プロセスにおいて、最後の段階は再購入です。このシリーズの最終回として、再購入にかかわる再購率を見ていきます。
【最終回はぐずぐずしてようやく書き終わりました。長く間お待たせしてすみませんでした!:sparkles:

再購率の重要性

再購率とは購入者のうち再び購入したユーザの割合のこと。顧客分析手法の「RFM分析」中の「購買頻度(Frequency)」と同じように、顧客のロイヤリティにつながります。

【前回解説した継続訪問の指標には、リテンション率は特にECサイトに継続訪問するユーザの割合です。再購率とリテンション率が違いますので、この点に注意してほしいです。】

統計によりますと、新規顧客に対して商品を販売する労力は、既存顧客に対して商品を販売する労力の5倍です。そして、ロイヤリティもサービス満足度も高い顧客は一人あたり8人の顧客を紹介してくれる一方、ロイヤリティもサービス満足度も低い顧客が25人の購買行動に消極的な影響を与えるということも事実です。

従って、ひたずら新規顧客を獲得するよりも、既存顧客の満足度を高め、継続的に購買していただくことを重視すべきだと考えられます。

ユーザとオーダーから見ると、再購率は以下の三つに分けられます。

  • ユーザの再購率:一定期間内、二回以上購入したユーザ(新規+既存)/ 購入者総数

  • 既存ユーザの再購率:一定期間内、再度購入した既存ユーザ / 購入者総数

  • オーダーの再購率:一定期間内、ユーザ(新規+既存)の二回目以上のオーダー数 / オーダー数

データ分析の目標

再購率を追跡し、分析することで、ユーザの継続的に買わない原因を明確化し、有効な対策を講じ、再購率を高めること。

(下記のチャートはFineReportで作成しました。)

データ分析のポイント

1.ユーザ、既存ユーザ、オーダーの再購率を総合してユーザの定着度を分析ことで、問題を発見する

2.様々な切り口から再購率を比較して、問題を特定し、意思決定の精度を高める

1.ユーザ、既存ユーザ、オーダーの再購率を総合してユーザの定着度を分析ことで、問題を発見する

一般にECサイトの運営に、以下のような再購率をモニターするレポートが欠かせません。

下図はユーザ、既存ユーザ、オーダーの再購率を1つのグラフに表示し、グラフの下に詳細データを参照できます。

理想的状態は、ユーザ、既存ユーザ、オーダーの再購率はユーザ数の変化の影響を受けず、増えていくことです。特に、既存ユーザの再購率を上げなければなりません。ECサイトの発展に伴って、売上を維持または向上させるのは既存ユーザだからです。

2019081504.png

2.様々な切り口から再購率を比較して、問題を特定し、意思決定の精度を高める

再購率をより深く解析し、新規ユーザと既存ユーザに分けることでができます。既存ユーザの再購率が低い場合、原因としてサービスの品質が低下する、嗜好に合わせる商品がないなどと考えられます。新規ユーザの再購率が低いのは、一回目のサービス満足度が低い、その後の販促活動を進めないからだと推測されます。

20190081503.png

新規ユーザのロイヤリティは比較的低いので、既存ユーザと比べて、再購率が低いのは当然のことです。しかし、両者間の差を安定させる必要があります。2回目購入に向けた商品のオファーのような販促活動を行うことで、新規ユーザの2回目の購入のハードルを下げます。

また、下図のように、流入元別に再購率を分析したところ、Wechat経由での再購率が高いことが判明しました。SNS活用も重要な宣伝方法の一つだと考えられます。アプリとPC端末経由での再購率が低い場合、プッシュ通知、メールマガジン、アプリとPC端末のユーザーフレンドリー性の向上などの施策に取り組むべきです。

2019081502.png

さらに、商品カテゴリ別に再購率を分析してみます。流入元別のようにトレンドを表示する折れ線グラフを作成できますが、各商品カテゴリーがECサイトに対する価値を比較するために、オーダーの再購率と販売数を横軸、縦軸として散布図を作成します。

各象限の商品カテゴリーに対して異なる施策を立てて、全体の再購率を向上するようにします。

2019081501.png

ユーザ属性、流入元、商品カテゴリーは再購率の分析によく使うダイメンションですが、ECサイトの状況によって、地域、集客チャンネルなど、そのほかのダイメンションを追加することもできます。

まとめ

ECサイトによって具体的な運営方法が違いますが、データ分析に必要な業務知識が大体同じです。それに、重要なのはデータ分析の目的とその目標に達成するための指標です。それを明らかにすれば、効率的にデータ分析を進めていくんではないでしょうか。

また、ECサイトのデータを分析した時、私は棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフなどの簡単なチャートを使うことが多く、やや複雑なのが散布図に過ぎません。実際に、データ分析の初心者にとって、複雑なチャートではなく、とりあえず簡単なチャートを上手に使いさえすればいいです。

簡単なチャートの使い方について、以下の記事をご参考にしてください。
↓↓↓
データ可視化の代表的な7種類のグラフの作り方

このシリーズはみなさんに少しでもお役に立てればと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。:hearts:

そのほか

データ分析の勉強法:

小売業のデータ分析:

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