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Google・OpenAI・Anthropicが注目するAIエージェント×MCP連携の標準化が業界を変える

Last updated at Posted at 2025-10-31

AIエージェントとMCPの関係性:2025年の標準プロトコル最新動向

はじめに

AIエージェント開発が本格化する2025年、業界では「標準化」が重要テーマになっています。AnthropicがModel Context Protocol(MCP)を2024年11月に発表後、OpenAI、Google、Microsoftなど主要ベンダーが相次いで対応を表明し、AIエージェント連携の新時代が始まりました。

本記事では、MCPとは何か、AIエージェントとの関係、そしてGoogleのA2Aプロトコルとの違いまで、最新動向を踏まえて解説します。

想定読者: AIエージェント開発に関心のある初級~中級エンジニア、技術選定を行うアーキテクト

目次

AIエージェントとは

AIエージェントは、目標達成のために環境を認識し、自律的に行動するAIシステムです。単なるチャットボットと異なり、外部ツールやデータにアクセスし、複数ステップを経て複雑なタスクを完遂できます。

主な特徴:

  • 複数ステップの自律実行
  • ツール・API・データベースへの接続
  • 実行・判断・フィードバックのループ
  • コンテキストの永続化

具体例: カレンダー確認→会議室予約→参加者へメール送信を一連の流れで実行

MCPの登場背景と基本概念

解決すべき課題:M×N問題

MCP登場以前は、各LLMアプリケーションが外部ツールと連携するために個別の統合コードを実装する必要があり、M個のAIアプリ × N個のツール = M×N通りの個別実装という「M×N問題」がありました。

MCPの解決策

MCPは「AIエージェントにおけるUSB-Cのようなもの」として、標準化されたプロトコルを提供します。

主なメリット:

  • 一度MCPクライアントを実装すれば、すべてのMCP対応サービスと連携可能
  • APIの変更はMCPサーバー側で吸収
  • 異なるベンダーのAIエージェント間でもツールを共有可能

アーキテクチャ概要

MCPは3つの主要コンポーネントで構成されます。

各コンポーネントの役割:

  1. MCPホスト: Claude Desktop、VSCodeなど、AIモデルを搭載したアプリケーション
  2. MCPクライアント: ホスト内に組み込まれ、MCPサーバーとの通信を担当
  3. MCPサーバー: データソースやツールへのアクセスを提供する軽量サーバー

MCPの主要機能(プリミティブ)

サーバープリミティブ(3つ)

1. Tools(ツール)

  • 外部アクションの実行(ファイル操作、API呼び出し、DB操作など)

2. Resources(リソース)

  • リアルタイム更新データの公開(ファイル、DBレコード、APIデータなど)

3. Prompts(プロンプト)

  • 再利用可能なプロンプトテンプレートの提供

クライアントプリミティブ(2つ)

1. Roots(ルート)

  • ファイルシステムへのエントリーポイント提供

2. Sampling(サンプリング)

  • サーバーからLLMへのタスク依頼を可能にする双方向機能

通信プロトコル

MCPはJSON-RPC 2.0プロトコルに基づき、標準入出力(stdio)またはHTTP with Server-Sent Events(SSE)で通信します。

セキュリティ機能

OAuth 2.1ベースの認証・認可(2025年3月版から)

  • PKCE(Proof Key for Code Exchange)が全クライアントで必須
  • 認可コード横取り攻撃を防止

明確な役割分離(2025年6月版アップデート)

  • MCPサーバーは「OAuth 2.0リソースサーバー」として定義
  • 認証・トークン発行は外部の認可サーバーに委譲
  • 既存のIdP(Auth0、Microsoft Entra IDなど)を活用可能

Resource Indicators(RFC 8707)の必須化

  • トークンリクエスト時に対象のMCPサーバーを明示
  • 悪意のあるサーバーによるトークン不正利用を防止

Protected Resource Metadata(RFC 9728)

  • .well-known/oauth-protected-resourceエンドポイントで認可サーバーを自動発見

主要ベンダーの対応状況

タイムラインと主要発表

時期 ベンダー 内容
2024年11月 Anthropic MCP仕様、SDK、サーバー実装を同時リリース
2025年3月 OpenAI Agents SDKでMCP対応を発表
2025年4月 Google Vertex AIエコシステムでMCPを活用(DB向けMCP Toolbox、ADKのMCP対応)
2025年5月 Microsoft Build 2025でWindowsへのMCP正式実装を発表

各ベンダーの取り組み

Anthropic(提唱者)

  • Claude Desktopでのネイティブ対応
  • TypeScript/PythonでのSDK提供
  • Google Drive、Slack、GitHubなどの公式サーバー実装を公開

OpenAI

  • Agents SDKでMCP対応
  • ChatGPT、Responses APIへの統合を進行中

Google

  • Geminiモデルおよび関連インフラでのMCP対応
  • Vertex AI、Agent EngineでのMCP統合

Microsoft

  • Windows 11にMCP正式実装
  • Visual Studio 2022、VS CodeでMCP対応
  • Azure AI FoundryでのA2Aエージェント構築サポート

A2Aプロトコルとの違い

2つのプロトコルの位置づけ

A2A(Agent2Agent)は、Googleが2025年4月に発表した、AIエージェント同士が相互に通信・連携するためのオープンプロトコルです。A2AはMCPを補完する関係にあります。

比較表:MCPとA2A

項目 MCP A2A
提唱者 Anthropic Google
発表時期 2024年11月 2025年4月
主な目的 エージェント⇔ツール/データ接続 エージェント⇔エージェント通信
比喩 USB-C(デバイス接続) HTTP(ネットワーク通信)
通信パターン クライアント→サーバー ピアツーピア(双方向)
ライセンス MIT Apache 2.0
ガバナンス Anthropic主導 Linux Foundation(2025年6月〜)

使い分けのガイドライン

MCPを使うべきケース:

  • データベースへのクエリ実行
  • ファイルシステムへのアクセス
  • APIエンドポイントの呼び出し
  • 静的なリソースへのアクセス

A2Aを使うべきケース:

  • 複数の専門エージェント間での協調
  • エージェント間でのタスク委譲
  • バックアンドフォースの対話が必要な場合

連携例: 在庫エージェント(MCP経由でDB接続)が在庫不足を検知→A2A経由で注文エージェントに通知→注文エージェントがA2A経由でサプライヤーエージェントと通信

A2Aの最新動向

2025年4月: Google Cloud Next 2025でA2A発表。50以上のパートナーが参加

2025年6月: Linux FoundationがAgent2Agent(A2A)プロジェクト設立

  • GoogleがA2Aをオープンソースとして寄贈
  • AWS、Cisco、Microsoft、Salesforce、SAP、ServiceNowが創設メンバー
  • 100社以上がサポートを表明
  • 中立的なガバナンスのもと業界標準として発展

実装時の注意点

1. MCPとA2Aの混同

問題: エージェント間通信にMCPを使おうとする、またはツール接続にA2Aを使おうとする

対策: ツールにはMCP、エージェント間にはA2Aを使用

2. 仕様変更への未対応

問題: MCPは発展途上のため仕様が頻繁に変更される

対策:

  • 主要な仕様変更
    • 2025年3月版:OAuth 2.1サポート追加
    • 2025年6月版:OAuth関連の大幅強化(RFC 9728/8707対応)
  • 公式リポジトリのリリースノートを定期確認

3. セキュリティ設定の不備

問題: 認証なしでMCPサーバーを公開、アクセス権限が甘い

対策:

  • OAuth 2.1の適切な実装
  • 最小権限の原則に基づいたアクセス制御
  • PKCE、Resource Indicatorsの必須化に対応

4. パフォーマンスの考慮不足

問題: すべての操作をMCP経由で実行し、レイテンシが増加

対策:

  • キャッシング戦略の実装
  • バッチ処理の活用
  • 必要に応じてデータのフィルタリング

まとめと次のステップ

本記事のまとめ

  • MCPはAIエージェントと外部システムをつなぐ標準プロトコル(「AIにおけるUSB-C」)
  • 2024年11月のAnthropic発表後、主要ベンダーが相次いで対応
  • MCPはエージェント⇔ツール/データ、A2Aはエージェント⇔エージェントを標準化
  • OAuth 2.1ベースの強固なセキュリティ機能を実装(2025年6月版で大幅強化)
  • 2025年、AI市場は「生成AIアプリケーション開発」へ移行し、標準化が重要テーマに

次のアクションステップ

  1. Claude Desktopで公式MCPサーバーを試す
  2. 公式ドキュメント (https://modelcontextprotocol.io) を読む
  3. シンプルなMCPサーバーを実装
  4. 自社のデータソース・ツールをMCPサーバー化
  5. 既存のAIエージェントにMCPクライアント機能を統合

学習リソース

公式ドキュメント:

SDK・サンプル:


免責事項:

  • 実装前には必ず最新の公式ドキュメントをご確認ください
  • 本記事の正確性・完全性・最新性を保証するものではなく、利用により生じた損害について責任を負いません
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