Arch Linuxに前から興味がありました.Apple Silicon Mac向けの最初のLinuxディストリビューションであるAsahi LinuxがArch Linuxベースであるというところから強く興味を持ちました.Linuxの仕組みを深く知りたいというのも動機の1つです.@mnishiguchi さんがArch Linux使いになったと聞き,いよいよArch Linuxをやってみようと決意しました.この記事は,Ubuntuはよく使うが,Arch Linuxは初めてという私 @zacky1972 が,まずは手近なT2チップを備えていない古いIntel MacにArch Linuxをインストールして習得していく過程を記録する駄文です.
シリーズ
- Arch LinuxをブートできるUSBメモリを用意する(本記事)
- デュアル・ブート環境にするためにパーティションを区切る
- いよいよArch Linuxをインストールする
- ネットワークの設定を見る
- Mac Pro (Mid 2010)にArch Linuxをインストールする
- ネットワークが繋がらない最小構成のままElixirをインストールして実行してみる
- ネットワークが繋がらない最小構成のままElixirをasdfではなくソースコードビルドしてインストールする
まず公式ドキュメントを見る
何はともあれ,公式ドキュメントからです.
インストール手順を読もうとします.
あれ?Macについて書いていないぞ?
検索するとありました.
なになに?
This page complements the Installation guide with instructions specific to Apple Macs.
ということは,さっきのインストール手順と合わせ読まないといけないのね.
Pre-installation
というわけで,Macの2. Pre-installationを読みます.
2023年12月現時点では,「ファームウェアのアップデートはmacOSでしてね」「ColorSyncを開いてカラープロファイルを保存してね」「ボリュームを調整しておいてね.そのまま起動音のボリュームになるよ」の3点が書かれていました.
さしあたり,ファームウェアが最新であることを確認して,ColorSyncの設定をDropboxに放り込んでおき,ボリュームが適切であることを確認しました.
次にインストールガイドのPre-instllationを読みます.
Downloadを開きます.
基本,Bittorrentでダウンロードするということでした.
私が普段使っているMacに,Bittorrentのクライアントを入れようとします.Homebrewで入れる方法を探したところ,下記を見つけました.
そこで,次のコマンドでインストールしました.
brew install qbittorrent
下記のページの Magnet link を開くと,「このWebページで“qBittorrent”を開くことを許可しますか?」とメッセージが出るので許可しますが,その後,「qBittorrent”が悪質なソフトウェアかどうかをAppleでは確認できないため、このソフトウェアは開けません。」と出ました.
「Finderに表示」をクリックして,qBittorrentを開くとして,「“qBittorrent”が悪質なソフトウェアかどうかをAppleでは確認できないため、このソフトウェアは開けません。」に対して「開く」を押し,その後,認証の画面が出るので,"I Agree"を押します.
再度,下記のページの Magnet link を開くと,qbittorrentを起動する旨,メッセージが出るので許可します.
ダウンロードが無事始まりました.
ダウンロード後に,念のため,sha256sum
コマンドで確認します.
次に installation medium ということで,USBメモリを用意して,ダウンロードしたイメージをUSBメモリに書き込みます.
Macで行う方法は次のとおりです.
まずUSBメモリをMacに挿して,次のコマンドを実行します.
diskutil list
そうすると私の環境では,次のように表示されました.
diskutil list
/dev/disk0 (internal, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: GUID_partition_scheme *1.0 TB disk0
1: Apple_APFS_ISC Container disk1 524.3 MB disk0s1
2: Apple_APFS Container disk3 994.7 GB disk0s2
3: Apple_APFS_Recovery Container disk2 5.4 GB disk0s3
...
/dev/disk12 (external, physical):
#: TYPE NAME SIZE IDENTIFIER
0: FDisk_partition_scheme *15.5 GB disk12
1: Windows_FAT_32 15.5 GB disk12s1
最後のが,external, physical
となっているので,これがUSBメモリなのでしょう.実際,Windows_FAT_32
となっていますし.
私の場合には,/dev/disk12
でしたが,皆さんの環境ではおそらく違う値になっていることでしょう.この文字列を仮に$USB_MEMORY
と表現することにします.
次のようにディスクを消去します.
diskutil eraseDisk MS-DOS UNTITLED $USB_MEMORY
次のようにしてUSBメモリをアンマウントします.
diskutil unmountDisk $USB_MEMORY
最後に意を決して書き込みます.仮にダウンロードしたイメージファイルのパスを/path/to/archlinux-image.iso
とします.sudo
コマンドを使っているので,MacOSのログインパスワードが聞かれます.
sudo dd if=/path/to/archlinux-image.iso of=$USB_MEMORY conv=fsync oflag=direct status=progress
出来上がったUSBメモリを用いて,live環境をブートします.
Intel Macの場合には,起動時にoptionキーを長押しすると,起動メディアの選択になります.
こんな感じになると思うので,
右矢印キーを押してUSBメモリを選択し,Enterします.
すると見慣れたGRUBの起動画面になります.一番上のArch Linux install mediumを選択します.多分2番目を選択すると,読み上げてくれるのかな?
起動が始まります.起動の途中で "Welcome to Arch Linux!"と,温かく出迎えてくれます.
しばらく待つと,下記のようにコマンドラインになります.やった!
なお,この時点では,まだSSDに何も書き込んでいないので,引き返せます.
諸々いじってみる
私が最初に起動させたのは,機種IDがMacBookAir6,1でした.下記ページを見ると,MacBook Air (11-inch, Early 2014)に該当します.
最初にキーボードの設定を必要があるのですが,私のMacBookはUS配列なので,このままでOKです.日本語配列の場合には,いろいろ設定する必要があるのでしょうね.
次に,ネットワークに繋いでみます.
Apple Thunderbolt - ギガビットEthernetアダプタというものを合わせて購入して持っています.下記だと思います.
これを接続して,インターネットにつながっている有線LANに繋いでみます.その上で,次のコマンドを実行すると,何やら,つながっているっぽいことがわかります(ループバックの他に,イーサーネットがつながっているように出力される).
ip link
試しに適当な外部のIPアドレスにping
を打ってみると,反応してくれます.やった!インターネットにつながっている!
今日までに試したのは,ここまでです.少しずつ育てていきます.次はSSDへのインストールかなあ.
Linuxへの深い理解をしたいというのがArch Linuxを習得しようとする動機の1つなので, @mnishiguchi さんの話では archinstall
コマンドを使えば楽勝だということなのですが,あえてそれを用いずに,1つ1つ基本的なコマンドを確かめながらインストールしていこうと考えています.archinstall
コマンドを使うのだと,Ubuntuのインストーラーを使うのと同程度にしか,Linuxを理解できないと思いましたので! 楽したい人は,このシリーズの続きを読むのではなく,archinstall
の使い方を調べてくださいませ.