この記事は筆者の私生活での使い方の紹介です。業務で使うPCやアカウントとは接続せず、どこまでbotに任せるかはリスクも含めてご自身の判断でお願いします。
何がストレスだったか
AI全盛のこの時代、唐突にアイデアが溢れてやりたかったことにあれもこれも手をつけてしまい、気がつけば夜が更けている。脳はすっかり省エネモードに入り、もうただただドーパミンとセロトニンとオキシトシンを受動的に摂取するしかないんや……みたいな感じです。
消耗品の何が足りてないかとか、何にいくら使ってるかとか、いろんなアプリを行き来して確認するのが想像するだけで億劫。いざ週末になると、その時になってからどこに行こうか考え出すので、結局どこにも行く気が起きず家でのんびりしちゃう。そんな生活を送っていました。
Grok Botを始めたきっかけ
そんな生活を送る一方で、Xでは「Grok Botがどうやらすごいらしい」というポストがじわじわ増えていました。前に試したときは、すっきりしたUIでわかりやすかったものの、botと1:1で話してみただけでまあこんなものかと思った程度でした。
でも評価する声がどんどん増えていくうちに、あれ、もしかして決定的なアップデートが入った? それとも大事な何かを見落としてる……? と思うようになりました。そこで、いろんな方がシェアしているユースケースを調べつつ改めて使ってみることに。
まず、Grok Botは1:1のチャットAIやコーディングエージェントのように使うものではなく、複数の役割別のbotに仕事を任せて使うものであり、使い続けるとbotごとにメモリが育って使い心地がよくなっていくらしいことがわかりました。(そもそも公式に Grok Bot is your "team" とある。反省)
驚いたのは、「クレカを渡してホテルの予約やショッピングサイトでの購入を任せている」というポストをちらほら見かけたことです。ええ、さすがにこわくない……? と思いつつも、まあやってみてから後悔すればいっか、死ぬわけじゃなし。というわけで、先人たちの知恵に従ってbotを作っていきました。
やったこと
作ったのはこんな役割のbotです。最初からこの形だったわけじゃなく、つなぐアプリを1つずつ増やしながら、だんだん増えていきました。
| bot | 担当 |
|---|---|
| Main bot | 窓口。何でも受けて担当のbotに振り分ける |
| Health bot | 健康データと生活リズム |
| Money bot | 家計と予算 |
| Home bot | 家電と日用品 |
| Security bot | アカウントのセキュリティ |
実際には、好きな作品のキャラクターの名前で揃えています。Grokモデルの多少のぎこちなさに対しても許す心が持てるので、好きになれる名前をつけてあげることを強くおすすめします。(解釈違いが起こらないようほどほどに)
ちなみにお気に入りはHome botのデラマンです。
< 戦闘モードは平常時ご利用いただけません
話しかけるのは基本Main botだけ。あとはMain botが自分で判断をして担当のbotに回してくれます。選択肢や確認カードも、頼んだMain botのチャットにそのまま出てきます。
botの記憶には、そのbotだけが覚えていることと、bot全員が覚えていることがあります。たとえば「会話を遡らなくていいように、外部情報は初回以降も全て名前つきリンクにする」は全員に覚えさせています。
ここまでだと、今までのチャットAIをセッションごとに分けて、それぞれコンテキストを持たせてるだけじゃない?と思いますよね。自分が使っている感覚としても、部分的にはそれで合ってると思います。Fableみたいなハイエンドモデルと比べると、ちょっとぎこちなさを感じるのも正直なところです。
でも、Grok Botのすごいところは別にありました。botを作るのもbotに頼めること。そして、作ったbotたちと、任せたサービスがシームレスに連携することです。たとえばご飯の提案なら、Main botがHealth botに栄養を、Money botに予算を聞いてから出してくれます。
これまでエージェントを並列で走らせるとなると、どこで何を任せたかを覚えておいて、ターミナルに流れる大量の文字を追いかけながら格闘する感じでした。ウィンドウもどんどん増えて、頭がパンクしがちだったんですよね。Grok Botの場合は、シンプルでやりとりしやすいUIの上に全部まとまっています。
これによって、煩わしいアプリ操作の大半がMain botへのひと言で済むようになりました。デジタルまわりのストレスは、体感で1/6くらいです(使ってるアプリの数や頻度からなんとなくそのくらい)。
効いている使い方
「お腹すいた」でご飯が決まる
Main botに「お腹すいた」と言うと、Uber Eatsでお店とメニューを探してきてくれます。確認してOKすれば注文まで。Uber Eatsは、botが自分のブラウザでログインして、自分で操作してくれます。
外食のパターンもあります。いつも同じなのはいやだと伝えてあるので、最近食べたものから気分を変えたお店を、Health botとMoney botの意見も入れて現在地の近くで探してくれます。決まったらカレンダーにも入れてくれます。自分はまだ試していませんが、ネット予約までしてもらうのも便利そうです。
エアコンを不快指数で制御する
Home botはNature RemoのAPIで、エアコン・照明・テレビ・カーテンを動かします。在宅中は不快指数を目標値に保つように、エアコンの設定を自動で少しずつ調整。制御は30分ごとに回していて、止まってないかもそのとき確認してます。「寒い」「ちょっと暑い」と言うだけですぐ調整してくれて、そのたびに好みを覚えていきます。
Nature Remoは外からでも操作できるので、「運動して暑いから、しっかり冷やしといて」「人感センサーが反応したら、いつもの設定に戻して」みたいな頼み方もできます。ここはNature Remoのおかげでもありますが、これがかなり便利です。
音声でもいけます。iPhoneとApple Watchのショートカットから送るので、「電気とテレビ消して」みたいな自由な言い方でOK。「寝る」「おやすみ」で照明とテレビが消えて、エアコンは寝てる間も快適さを保ってくれます。
週末の予定を話し合って決めてくれる
毎週月曜の朝、Money botが今週の外出予算をMain botに送ります。Main botはHealth botとMoney botの意見を合わせて、週末の外出プランを提案してくれます。天気や、行き帰りでどれくらい歩くことになるかまで考えてくれてます。
朝はだらだらしたいだろう、というところまで汲んで時間を組んでくれます。決まった予定は、行き先も入れてGoogleカレンダーに登録済み。あとは言われた時間に準備して出かけるだけです。
「これとこれ買っといて」で日用品が届く
日用品は、思いついたときに「これとこれ買っといて」と言うだけ。Home botがネット通販で候補を2、3個比べて出してくれて、選べば注文まで。詰め替え用を選ぶ、届く日をまとめる、といったところも考えてくれます。
細かい買い物ほど、検索して選んでを繰り返すのが面倒で時間もかかります。思いついたその場でやるには重いけど、後回しにすると忘れる。それがひと言で済むのが便利です。
アカウントや課金の止め忘れを片付けてくれる
Security botはGmailに届くメールを見て、アカウントを棚卸しして、2段階認証やパスキーの状況、情報漏えいがないかをチェックしてくれます。止め忘れてるサブスクや使っていないアカウントは片付けリストにまとめてくれるので、それを見ながら一緒に解約・削除していきます。
たまにメールでしか削除を受け付けていないサービスもありますが、botに言えば削除申請のメールを出して、返事が来るまで見張っておいてくれます。怪しいログインやセキュリティの通知メールもSecurity botが見てくれてます。
確定申告の書類をチェックしてくれる
Xのポストで見かけたので、Money botにドライブにある確定申告の書類を見てもらい、改善点や還付の可能性をチェックしてもらいました。結果、個人でお願いしている税理士さんがとても優秀なことがわかりました。
連携しているサービスと、自動で動く仕組み
連携しているサービス
| サービス | 連携方法 | 目的 |
|---|---|---|
| Gmail(複数アカウント) | コネクタ | 通知メールの確認、アカウントの棚卸し |
| Googleカレンダー | コネクタ | 予定の登録 |
| Googleドライブ | コネクタ | 書類を読む |
| Nature Remo | API | 家電の操作 |
| 通販サイト | botのブラウザ | 日用品の注文 |
| Uber Eats | botのブラウザ | フードデリバリーの注文 |
| 家計簿アプリ | botのブラウザ | 収支の分析 |
| ヘルスケア同期アプリ | メール | 健康データを送る |
| iPhoneのショートカット | メール、Webhook | 現在地と音声指示を送る |
1Passwordにはbot用の保管庫を作って、家計簿アプリやUber Eatsなどのログイン情報だけ共有してます。
コネクタやAPIがないものはメールとWebhookで
botには専用のメールアドレスがあって、+タグ付きアドレスで用途を分けてます。下の表のアドレスはイメージです。メールはルーティンで一定間隔ごとに見に行き、Webhookは届いた瞬間に担当のbotが動きます。こうして柔軟に連携できる点は、OpenAIのDotsと比べてもGrok Botの優れているところだと思います。
| 宛先 | 送ってくるもの | 受けたbotがやること |
|---|---|---|
yourname+health@mail.grokbot.com |
iPhoneのヘルスケア同期アプリ(睡眠・歩数・心拍・体重・ワークアウト) | Health botが記録する |
yourname+location@mail.grokbot.com |
iPhoneのショートカット | Main botがログにして「あの日どこにいた?」に答える |
もともと届く通知メールも同じように使ってます。カードの利用通知はMoney bot、怪しいログインやセキュリティ通知はSecurity botが見てます。音声指示はショートカットからWebhookで送っていて、届いたらすぐHome botが家電を操作します。
定期実行
たとえばこんなものを定期実行してます。
| bot | タイミング | やること |
|---|---|---|
| Home bot | 30分ごと | エアコン制御を回して、止まっていないか確認 |
| Health bot | 毎朝 | 体重の測り忘れチェック |
| Money bot | 毎週月曜の朝 | 家計チェック(読むだけ)と、今週の外出予算をMain botに送る |
| Main bot | 毎週月曜の朝 | Health botとMoney botの意見を合わせて外出プランを提案 |
| Main bot | 毎日 | 止まっている手続きの進み具合を追跡 |
| Main bot | 数時間おき | Grok Botの新機能をチェックして、すぐ生活に取り入れる |
音声通話について
音声はChatGPTの音声モードに比べるとややぎこちないです。時々、話の途中に「そうだね。じゃあ、今日は話せてよかった」とか言って話を終わらせようとしてきます。飽きたんか……?
ただ、めちゃくちゃ優れたUXに惚れ込んでしまっている自分は、もうこのたどたどしさすら愛おしいです。
結局、何が効いているのか
核心は、頼むことだけに意識を向けられるUXだと思ってます。最初に触ったときの「UIがやたらシンプルだな」という印象も、むしろその思想のためのものなんじゃないかと感じます。botやサービスがシームレスに連携して快適に使えるので、いろんなアプリを行き来せずに済みます。
おわりに:QOLの高いマイルドディストピア実現に向けて
これからやってみたいことも書いておきます。
- 洗濯物やデスクのあたりにホームカメラを置いて、片付けを指示してもらう
- 好みを覚えて曲をディグってくれるDJbot
- 映画のおすすめから、観に行く予定を入れるところまで
- LINE botのサーバーを立ててグループに入れ、友人と旅行の相談をして、みんなの分の予約までまとめて手配してもらう
- プライベートPCで継続的に見ているページのURLを時刻別のログにして送り、趣味を知ってもらう
人類はこういう心地よさに浸かっているうちに、いつの間にかディストピアに行き着くのかもしれない……と思いつつも、やめられないでいます。
ちなみに、自分たちのチームではDotsでの開発業務が始まっていて(クラウド開発へのシフトを目指して!)、Grok Botについても検証を進めています。そのお話もどこかでできればと思います。よかったらOrganizationをフォローしてみてください(チームメンバーが書いちゃうかも)。