New Relicのダッシュボードは、データの可視化と共有に欠かせない機能です。しかし、これまではNew Relicのアカウントに作成されたユーザーを持つ者同士でしか共有することができませんでした。
今回新たな機能としてご紹介するPublic dashboardを使えば、New Relicのユーザーアカウントを持たない方へもダッシュボードを安全に公開できます。サービスの稼働状況やビジネス指標を、社内外のステークホルダーと簡単に共有できるようになりました。
Public dashboardとは?
概要
Public dashboardは、特定のダッシュボードの公開リンクを発行できる機能です。このリンクを知っているユーザーは誰でもダッシュボードを閲覧できます。従来ではパーマリンクを発行して、New Relicユーザー同士での共有は可能でしたが、これとは異なり、New Relicユーザーアカウントでのログインは不要です。
また、公開するダッシュボードにはパスコードを設定することも可能です。これにより、特定のユーザーのみにアクセスを許可し、セキュリティを確保できます。社内にのみ公開したい場合などはこの機能が有効です。
公開される画面の特徴
Public dashboardとして公開されるのは、ダッシュボードの表示のみです。閲覧者はダッシュボードやウィジェットを編集することはできません。また、New Relicの他の機能(APMなど)は一切公開されません。
閲覧者はダッシュボードに表示されているタイムピッカーを操作し、表示期間を変更できます。これにより、特定の期間のデータを自由に確認できます。
現時点での制限として、テンプレート変数やFACETリンク、Custom Visualizationはサポートされていません。このため、これらに依存するダッシュボードを公開する場合、意図した表示にならない可能性がある点に注意が必要です。

やってみよう!
ここではデモ環境でダッシュボードをPublic dashboardとして公開してみようと思います。要件や手順については公式ドキュメントに記載がありますので、そちらをご確認ください。
前提条件と権限の確認
Public dashboardを使うための権限やポリシーの設定を実施します。
この設定をするためには、このアカウントへのAdmin権限があることを確認しましょう。これには認証ドメインマネージャの権限も含まれます。認証ドメインマネージャ権限があるかどうかは、以下で確認できます。
ユーザー名 > Administration > Access Management > 認証ドメインマネージャを付与するグループ(今回はAdmin)の3点メニューをクリック > Manage group access

ここのAdministrative settingsセクションにあるAuthentication Domain Managerにチェックが入っていることを確認します。
ポリシーの有効化
Public dashboardを利用するにはLive URL Creationポリシーを有効にする必要があります。これはNerdGraph APIから実行します。公式ドキュメントにあるミューテーションの記述をNerdGraphエクスプローラにコピペし、自分のアカウント情報に修正しましょう。
mutation {
dashboardUpdateLiveUrlCreationPolicies(
policies: { accountIds: [1, 2], liveUrlCreationAllowed: true }
) {
liveUrlCreationPolicies {
accountId
liveUrlCreationAllowed
}
}
}
ダッシュボード公開のためのユーザーへの権限
ダッシュボード公開はセキュリティ上センシティブな操作になります。意図しない情報を外部に公開してしまうリスクがあります。このためダッシュボード公開できるユーザーは最低限にしておきましょう。こうすることでこのリスクを低減できます。
ダッシュボード公開を許可するためのグループなどを作成するといいかもしれません。
可能な権限設定は以下です。
ダッシュボードの公開
これでダッシュボードを公開するための準備が整いました!
早速リンクを発行して公開してみましょう。注意点ですが、公開できるダッシュボードは自分が所有者になっているものになります。
画面右上のShare > Share dashboardを順にクリックします。
ダッシュボードの公開について注意が表示されます。問題なければContinueをクリックします。

パスコードとリンク有効期限の設定
パスコードによる保護が必要な場合はトグルをオンにして有効化します。また併せてリンクの有効期限も設定できます。長期間公開を続けていると意図しない情報を公開してしまう可能性も高まります。必要に応じて期限を設けましょう。もちろん期限を設定せずに公開することも可能です。Save changeをクリックするとリンクが生成されます。

公開リンクとパスコードの確認
次に表示される画面で公開リンクとパスコードをコピーすることができます。どちらも自動生成されるものです。パスコードはこのタイミングでしかコピーできないのでこの点も注意が必要です。

公開されたダッシュボードの確認
公開リンクにアクセスします。パスコードを設定した場合は、ここでパスコード入力を求められます。

パスコードを入力するとダッシュボードが表示されます。

公開設定の変更/公開リンクの無効化
公開設定の変更やリンクの削除はShare > Manage public linkから設定できます。

この画面からパスコード再設定、公開期限の変更、リンクの無効化を設定できます。

ユースケース
サービスのヘルスステータスを外部に公開
顧客やパートナー企業にサービスの稼働状況を共有する際に活用できます。例えば、ウェブサイトの公開ステータスページとして利用することが考えられます。これにより、サービスの透明性を高め、顧客との信頼関係を構築できます。
社内の不特定多数への情報共有
また社内向けのユースケースとしてはNew Relicのユーザーアカウントを持たない関係者(営業、マーケティング、カスタマーサポート部門など)に、特定のKPIやビジネス指標を共有する際に有効です。パスコードを設定することで、共有範囲を社内に限定できます。
システムの稼働状況を社内の利用者向けに公開することも可能です。これにより、システム障害発生時などにユーザーが自身で状態を確認できるようになり、サポート部門への問い合わせ件数を削減する効果が期待できます。
デモ
Public dashboardの説明とデモはこちらの動画で公開されています。どのような動作になるかを見たい方は、こちらをチェックしてみてください!
参考情報
どういうステップでダッシュボードを作っていくべきかについては、以下のブログでまとめています。必要に応じてご参照ください!
まとめ
New RelicのPublic dashboardは、New Relicのユーザーアカウントを持たないユーザーに、ダッシュボードを安全かつ簡単に共有するための強力な機能です。サービスのヘルスステータスを外部に公開したり、パスコードを利用して社内の非技術者と情報を共有したりするなど、多様なユースケースで活用できます。
本機能を使うことで、情報共有がよりスムーズになり、組織全体の意思決定と連携が強化されるでしょう。
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