はじめに
最近、AnthropicのClaude CodeをVSCodeで使い始め、より高性能化するためにSerena MCPを導入しようと考えました。
Qiitaの既存の記事(こちらの記事)を参考に設定を進めましたが、ツールの仕様が大きく変更されており、多くのエラーに遭遇してしまいました。
この記事では、2025年9月現在の最新の仕様に基づいた、Windows環境でSerena MCPを正しく設定するための手順を、ハマりどころの解説と共にまとめています。この記事にたどり着いたあなたも、きっと同じ問題で悩んでいるはずです。
最初に結論:これが現在の正解手順!
時間がない人向けに、先に最終的な手順のまとめを載せます。詳細は後述)
- uvのインストールとPath設定
- run_serena.batというラッパースクリプトを作成し、uvxの複雑なコマンドをその中に記述する
- VSCodeのターミナルで、--scope project オプションを付けて
claude mcp addコマンドを実行する - プロジェクトフォルダ直下に .mcp.json が作成されていることを確認する
-
claude mcp listで接続を確認し、初回起動時に表示されるセキュリティプロンプトを許可する
これまでの記事では動かなかった「ハマりどころ」
なぜ古い手順ではうまくいかないのか? 私が直面した問題点は以下の通りです。
1. claude mcp addコマンドの引数の仕様が全く違う
以前は --command や --arg といったオプションで引数を指定していましたが、現在のバージョンではこれらのオプションは存在しません。ヘルプを見ても引数の渡し方が非常に分かりにくく、--fromなどを直接渡そうとすると unknown option エラーで弾かれてしまいます。
2. 設定ファイルの場所と名前が変わった
これまでは、ユーザーのホームフォルダ(C:\Users\YourUsername)にある.claude.jsonに設定を追記するのが一般的でした。
しかし、現在の仕様では claude mcp add --scope project を使うと、プロジェクトのルートフォルダに .mcp.json という全く新しいファイルが作成されます。これに気づかず、ずっと.claude.jsonを眺めて「設定が書き込まれない!」と悩んでいました。
3. CLIツールの挙動が不安定
--scopeオプションを付けずにコマンドを実行すると、「成功した」というメッセージが表示されるにも関わらず、実際にはファイルに何も書き込まれていませんでした。これはツール側のバグかもしれません。
【完全版】設定手順の詳細
Step 1: uvのインストール
公式の手順に従ってuvをインストールします。
# 公式のインストールコマンド
powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"
# インストール後、パスに追加(一時的)
$env:Path = "C:\Users\username\.local\bin;$env:Path"
【重要】環境変数の永続的な設定について
上記の$env:Path = ...というコマンドは、現在開いているターミナルでしか有効になりません。PCを再起動してもuvコマンドが使えるようにするには、以下のどちらかの方法で永続的に設定してください:
方法1:Windowsの設定画面から
- Windowsキー + R で「ファイル名を指定して実行」を開く
-
sysdm.cplと入力してEnter - 「詳細設定」タブ → 「環境変数」ボタンをクリック
- ユーザー環境変数の「Path」を選択して「編集」
-
C:\Users\YourUsername\.local\binを追加
方法2:PowerShellから永続的に設定
[Environment]::SetEnvironmentVariable("Path", $env:Path + ";C:\Users\$env:USERNAME\.local\bin", "User")
Step 2: バッチファイルの作成
claudeコマンドの引数解釈の問題を回避するため、以下の内容でバッチファイルを作成します。これが最も確実な方法です。
ファイル名:run_serena.bat
@echo off
uvx --from git+https://github.com/oraios/serena serena-mcp-server --context ide-assistant --project "C:\path\to\your\project"
【重要】 --projectの後のパスは、ご自身のプロジェクトのパスに必ず書き換えてください。
実際の例:
@echo off
uvx --from git+https://github.com/oraios/serena serena-mcp-server --context ide-assistant --project "C:\Users\myname\Documents\my-project"
作成したrun_serena.batは、uv.exeと同じ C:\Users\YourUsername\.local\bin に保存します。
Step 3: Claude MCPサーバーの追加
VSCodeでプロジェクトを開き、ターミナルで以下のコマンドを実行します。
claude mcp add --scope project serena run_serena.bat
Step 4: 設定の確認
実行後、プロジェクトフォルダに.mcp.jsonが作成されていれば成功です。
最後にclaude mcp listを実行し、✓Connectedと表示されることを確認します。
Step 5: 初回起動とセキュリティ確認
その後、claudeを起動すると、初回のみセキュリティ確認画面が表示されます。
Use this and all future MCP servers in this project を選んでEnterを押せば、すべての設定は完了です。
まとめ
AI関連のツールは開発のスピードが非常に速く、数ヶ月前の情報がすぐに古くなってしまうことを痛感しました。もし古い手順でうまくいかない場合は、まずツールのバージョンアップによる仕様変更を疑うのが重要です。
特に、設定ファイルの保存場所がユーザーフォルダからプロジェクトフォルダに変わっていた点は、大きな発見でした。
この記事が、同じように悩んでいるWindowsユーザーの助けになれば幸いです。