この記事は AIHubMix が作成しました。情報は2026年10月13日時点のものです。Gemini 4 Argon は同日に一般提供(GA)が始まり、AIHubMix でも gemini-4-argon として利用できます。まだ検証できていない点は「TBD」として残し、確認でき次第追記します。
Gemini 4 Argon は2026年10月13日に一般提供(GA)が始まりました。リクエストの料金と所要時間を決めるのは、thinking_level(low・medium・high、デフォルトは medium)と max_output_tokens(デフォルト65,536、long decode を使うと最大1,048,576)の2つの設定です。どちらもドキュメントが公開されましたが、どちらにも落とし穴があります。
公開ベンチマークはすべて high で測られていますが、レベルを指定しないリクエストは medium で動きます。上限が低すぎると、空の回答が返ってきても料金はかかります。64Kトークンを超える出力には long decode が必要で、バックグラウンド実行で動き、区切りごとに課金されます。この記事では、これらの設定、AIHubMix 経由のクライアント、long decode の書き方、ハマりどころと対処法を順に紹介します。
TL;DR
- 思考レベルは
low・medium(デフォルト)・highの3つで、思考をオフにはできません。OpenAI SDK ではreasoning_effortのminimal/lowが low、mediumが medium、highが high に対応します。 - 公開スコアはすべて high の Argon です。medium と low の結果は公開されていません。
-
max_output_tokensは思考と回答の合計の上限です。32,768以上にし、トークンを減らしたいときは上限ではなくレベルを下げます。 - 同期呼び出しの上限は65,536です。それを超えるには long decode を使い、Interactions API で
background=Trueにしたうえでmax_output_tokensを65,536より大きくします。 -
temperature・top_p・top_kは無視されます。クライアントのタイムアウトは15分以上にします。 - long decode は64Kトークンごとの区切り(hop)のすべてのトークンに課金され、各 hop でそれまでの出力が入力として読み直されます。この部分はキャッシュで95%割引になります。
設定の一覧
| 設定 | Gemini 4 Argon |
|---|---|
| 思考レベル | low、medium、high |
| デフォルトのレベル | medium |
| 思考をオフにする | できない |
| 同期呼び出しのデフォルト・最大出力 | 65,536トークン |
| long decode 時の最大出力 | 1,048,576から入力を引いた値 |
| コンテキストウィンドウ | 1,048,576(入力・思考・出力で共有) |
| temperature、top_p、top_k | 無視される |
| 推奨するクライアントのタイムアウト | 15分以上 |
出典は Google の What's new in Gemini 4 Argon と Gemini の思考に関するガイドです。reasoning_effort との対応は Google の OpenAI 互換ガイドにもとづいています。
レベルの選び方
| レベル | トークン使用量 | Google が推奨する用途 |
|---|---|---|
| low | 最少、レイテンシ最小 | 単純な作業、コスト重視の作業 |
| medium | バランス型 | 複雑なコードやエージェントを含むほとんどの作業 |
| high | 最多、最初のトークンが最も遅い | 最も難しい推論・数学・コード |
レベルの選び方について、Google は次のように書いています。
Run your evaluations at all three levels, then pick the lowest level that meets your quality bar.
(3つのレベルすべてで評価を実行し、品質の基準を満たす最も低いレベルを選んでください)
この評価は自分で行う必要があります。公開データがすべて high だからです。Google は「最も高い思考設定」で評価し、Artificial Analysis と Vals AI も high で測定しています。[TBD:思考レベルごとの精度とトークン数]
比較するときの注意点があります。GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol は、high より一段上の「max」で測られています。「Argon(high)」と「Astra(max)」が同点でも、それぞれの上限の設定で出したスコアです。
high のコスト
Artificial Analysis、同社のプロバイダー別の速度測定、Vals AI の数字です。すべて high で測られています。
| 指標 | Gemini 4 Argon(high) | 比較 |
|---|---|---|
| AA のタスク1件あたり出力トークン | 約6.2万 | GPT-6 Astra(max):約2.7万 |
| AA インデックス全体の出力トークン | 1.1億 | モデルの中央値:8,500万 |
| 出力速度 | 毎秒99.5〜116.5トークン | AI Studio/Vertex AI |
| 最初の回答トークンまでの時間 | 約45秒 | 思考時間を含む |
| Vals Index の1テストあたり時間 | 46分33秒 | — |
出力料金には思考トークンが含まれ、使用量には total_thought_tokens として表示されます。タスク1件あたり約6.2万出力トークンなら、Google の導入価格(100万トークンあたり$10)で約$0.62、12月1日からの価格($20)で約$1.24です。毎秒99.5〜116.5トークンなら、6.2万トークンの生成におよそ9〜10分かかります。
事前準備
- AIHubMix の API キーを
AIHUBMIX_API_KEYに設定します。Argon は AIHubMix でgemini-4-argonとして提供されています。 - 通常のリクエストには OpenAI SDK を使い、
https://aihubmix.com/v1に接続します。 - long decode には Google GenAI SDK を使い、
https://aihubmix.com/geminiに接続します。AIHubMix の Gemini ガイドに、ネイティブでの呼び出し方と、バックグラウンドモードを含む Interactions API の説明があります(google-genai 2.0.0以上)。
pip install -U openai google-genai
export AIHUBMIX_API_KEY="your-aihubmix-key"
リクエストの実装
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url="https://aihubmix.com/v1",
api_key=os.environ["AIHUBMIX_API_KEY"],
timeout=900,
)
resp = client.chat.completions.create(
model="gemini-4-argon",
reasoning_effort="medium",
max_tokens=32768,
messages=[
{"role": "user", "content": "この決済サービスのリトライ処理に競合状態がないか確認してください。\n\n<source code>"},
],
)
print(resp.choices[0].message.content)
print(resp.usage)
それぞれの設定の意図は次のとおりです。
-
reasoning_effort="medium":デフォルトを明示しておくと、あとで変えるときに1語の修正で済みます。ベンチマーク並みの挙動がほしいときは"high"にします。 -
max_tokens=32768:上限を設定するアプリに Google が推奨する最低値です。思考と回答の合計を制限します。 -
timeout=900:難しいプロンプトでは15分以上にするという Google の推奨に合わせています。 -
temperatureとtop_pは渡しません。Argon では無視されます。
long decode
詳しくは long decode のガイドを参照してください。long decode は、Google が発表時に Long Decode Continuation と呼んでいた機能です。Interactions API では、続きを書くループをサーバーが担当します。background=True(store=true が必要)にし、max_output_tokens を65,536より大きくします。サーバーは最大64Kトークンずつの hop に分けて最長24時間生成し、hop ごとに model_output ステップが追加されます。
次のコードは、Google のドキュメントの書き方を AIHubMix の Gemini エンドポイントに向けたものです。AIHubMix 経由ではまだ検証していません。[TBD:AIHubMix 経由で long decode が使えるか]
import os
import time
from google import genai
client = genai.Client(
api_key=os.environ["AIHUBMIX_API_KEY"],
http_options={"base_url": "https://aihubmix.com/gemini"},
)
interaction = client.interactions.create(
model="gemini-4-argon",
input="この決済モジュールのテストを、すべての境界ケースを含めて書いてください。\n\n<source code>",
background=True,
generation_config={"max_output_tokens": 262144, "thinking_level": "high"},
)
while interaction.status in ("in_progress", "queued"):
time.sleep(5)
interaction = client.interactions.get(id=interaction.id)
text = "".join(
part.text
for step in interaction.steps
if step.type == "model_output"
for part in step.content
if part.type == "text"
)
print(interaction.status, interaction.usage)
もう1つの方法は、generateContent でクライアント側が続きを要求するやり方です。各 hop は最大64Kトークン(ストリーミングしない REST では32K)を返し、finish_reason: CONTINUATION と continuation_token で終わります。このトークンを付けて同じリクエストを送り直します。google-genai 2.30.1、@google/genai 2.29.1以降なら自動で処理されます。1リクエストの制限時間は20分です。
ストリーミングで受け取る場合は、interaction の ID とすべての event_id を保存し、切れたら last_event_id で再接続します。ステータスを確認する前にストリームを最後まで読み、読み取りのタイムアウトは15〜20分にします。最初の64Kトークン以降は、約5,000トークンずつ届きます。
Google が示している使いどころは次のとおりです。
| ワークロード | long decode を使うか |
|---|---|
| 難しい数学・科学・証明 | 使う |
| 最も難しいコーディング・エージェント | 使う |
| 上限で止まる評価ハーネス | 使う |
| チャット・Q&A・要約・抽出 | 使わない(32K以内で終わる) |
| 長さを指定するリクエスト | 使わない(長さの指定に従わない) |
| 短いツール呼び出しを繰り返すエージェント | 使わない |
| 入力が100万トークン近い | 使わない |
| レイテンシ重視の呼び出し | 使わない |
ハマりどころ
空や途中で切れた回答なのに課金される
思考の段階で max_output_tokens に達しています。ステータスは incomplete になり、テキストは途中で切れるか空で、思考トークンには課金されます。対策:上限を32,768以上にするか、思考レベルを下げます。お金を節約するために上限を小さくしてはいけません。
400: max_output_tokens greater than 65536 is not yet supported with background=false
同期呼び出しで65,536を超える出力を指定しています。対策:background=True にするか、上限を65,536に収めます。
400: store=true is required for background interactions
バックグラウンド実行では interaction の保存が必要です。対策:バックグラウンド呼び出しで store=False を指定しないでください。
出力がちょうど64Kで止まる
background が false、max_output_tokens が65,536より大きくない、または generateContent で自動継続しない古い SDK を使っています。対策:background=True にして上限を65,536より大きくするか、google-genai 2.30.1以降に更新します。
公開スコアと結果が合わない
ベンチマークは high で、指定しないリクエストは medium で動きます。対策:ベンチマーク並みの挙動がほしいときは reasoning_effort="high"(または thinking_level="high")を指定し、medium で足りるかも測ります。
temperature を変えても何も変わらない
Argon は temperature・top_p・top_k を無視します。対策:これらを削除し、思考レベルとプロンプトで挙動を調整します。
コンテキストの圧縮が早すぎるタイミングで始まる
long decode 中の total_input_tokens はすべての hop の入力の合計なので、コンテキストを実際より大きく示します。Google の例では、1,000トークンのプロンプトから20万トークンを生成すると4 hop になり、入力は約39.7万トークンと表示されますが、実際のコンテキストは約20.1万トークンです。対策:プロンプトの長さに total_output_tokens と total_thought_tokens を足して見積もります。
long decode の請求額
思考だけの hop も含め、すべての hop のすべてのトークンに課金され、各 hop で繰り返される入力は暗黙キャッシュで95%割引になります。Google の例を導入価格で計算すると、20万出力トークンが$2.00、繰り返される約39.6万入力トークンは100万あたり$0.10で約$0.04です。キャンセルや失敗した interaction も、それまでの処理分は課金されます。対策:上の表の用途に限って long decode を使い、max_output_tokens は作業に必要な分にとどめます。
セッションの途中でキャッシュが効かなくなる
Argon は4,096トークン以上のプロンプトで暗黙キャッシュを使い、95%割引になります。AIHubMix の Gemini ガイドによると、キャッシュがヒットするには内容・モデル・パラメーターがすべて同じである必要があるため、途中でレベルを切り替えるとヒットしなくなることがあります。対策:ワークフローごとにレベルを1つに固定します。
まだ検証できないこと
- medium と low で、精度とトークン使用量がどう変わるか。公開結果はすべて high です。[TBD:思考レベルごとの精度とトークン数]
- AIHubMix の Gemini エンドポイント経由で long decode が最後まで動くか。AIHubMix はバックグラウンドの interaction に対応していますが、Argon の long decode はまだ検証していません。[TBD:AIHubMix 経由で long decode が使えるか]
まとめ
- 思考レベルは low・medium・high の3つで、デフォルトは medium です。公開ベンチマークはすべて high です。
-
max_output_tokensは思考と回答の合計です。32,768以上にし、節約したいときはレベルを下げます。 - 65,536トークンを超える出力には long decode(
background=Trueと大きなmax_output_tokens)を使います。 - long decode はすべての hop に課金され、繰り返される入力はキャッシュで95%割引になります。
-
temperatureなどのサンプリングパラメーターは無視され、タイムアウトは15分以上が推奨です。
まずは上のクライアントで、AIHubMix 経由の Argon を medium と high の両方で試し、自分のタスクで結果を比べてみてください。Argon の AIHubMix のモデルページに、対応する入力・機能と現在の料金が載っています。
あわせて読みたい:Gemini 4 Argon シリーズ
- Argon とは何か、スコアはどうか、最初の呼び出しをどう書くか:Gemini 4 Argon まとめ:ベンチマーク、100万トークン出力、AIHubMix での呼び出し方
- 6.2万トークンを使うタスクの実測コストを、値上げの前後で見ると:Gemini 4 Argon の料金:トークン単価は安いが、タスク単価は安くない
- レベル、出力上限、無視されるサンプリングパラメーターは、3.x のコードを移行するときの修正項目の一部です:Gemini 3.1 Pro・3.8 Flash から Gemini 4 Argon へ:移行でつまずくポイントと対処法
参考
- What's new in Gemini 4 Argon(Google AI for Developers)
- Gemini thinking(Google AI for Developers)
- Long decode(Google AI for Developers)
- Gemini 4 Argon: Google is back as one of the top three labs in intelligence achieved(Artificial Analysis)
- Gemini 4 Argon モデルページ(AIHubMix)