はじめに
この記事は、エンジニアを初めて間もない方や、ふりかえりに悩んでいる方に向けた「ふりかえり」の手法を紹介する記事です。
私は、企業向けやコミュニティなどで、大人数向けに新卒向けにふりかえりのワークショップを実施しています。
この内容を共有することで、あなたの成長をより加速させる一助となればと考えています。
対象
- 新卒の方
- 駆け出しエンジニア
- ふりかえりの考え方を深めたい人
資料(後述)は新卒向けに作ってあります。新卒ではない方は、適宜読み替えていただければ幸いです。
資料について
下記をご参照ください。ワークの部分は実際にご自身で手を動かしながら進めていただくことで、より理解が深まります。
また、補足説明を記事内に記載しますので、合わせてお読みください。
資料を利用したり、一部を転記する場合は、クレジットを明記してください。
また、リモートでの研修も実施しておりますので、興味がある方はご連絡ください。
補足説明
p.4
学業におけるテストとは違い、エンジニアの「仕事」に「これ」といった正解はありません。正解が与えられていた世界から、正解のない世界へと入り込んでいくこととなります。
また、ふりかえりにも「正解」はありません。「正しいふりかえり」というものは存在せず、自分自身の手で、自分にとって最高のやり方を作り上げていく意識が重要です。
まずは、自分のふりかえりのやり方を知るということ。今は、そのやり方で大丈夫です。それに正しい・誤っている、というものはありません。自分の現在地を知ったうえで、ふりかえりを繰り返し成長につなげていけばOKです。そして、自分なりのやり方を追求していきましょう。
p.14
人は仕事を繰り返すだけでも、少しずつ成長していきます。左から右へと流れる仕事のフローを繰り返すことで、経験が溜まり、少しずつ生み出せる価値は大きくなっていきます。
ただ、そこに「ふりかえり」を意図的に加えることによって、仕事における考え方やプロセス・チームワークなど様々な領域で生まれた新しい気付き・学び・示唆を、新たに仕事に活かすことで、成長を加速させ、より速く、より大きな価値を生み出すことができるようになります。
p.44
思考のクセは人によって異なります。前のスライドの質問に対して、直感的にどのような回答をするかどうか、どのように捉えたかは、千差万別です。その回答には、「正しい」「誤り」はありません。大切なのは、自分自身の思考の癖を知ること。どのような視点からモノを見やすいのか、ということを知ったうえで、それ以外の視点でも物事を観察するようにしてみてください。
p.63
あくまで、このシートは「型」でしかありません。最初は型を真似てみて、自分なりのやりかたにカイゼンしていきましょう。YWTにこだわる必要すらありません。KPTにしてみたり、他の手法を試してみるなど、様々なやり方を試してみてください。
よくある質問
Q. なぜ「振り返り」ではなく「ふりかえり」と表記しているのでしょうか
「振り返り」と表記した場合、堅いイメージを持たれやすいほか、「振り返り=反省会」というイメージを持っている方が多いため、そうしたイメージを払しょくするために、「ふりかえり」とひらがなで表記するようにしています。
「これだけ!KPT」の著者である天野勝さんから影響を受けているほか、「ふりかえり」がなぜ「振り返り」ではなく「ふりかえり」かの記事にも影響を受けています。どちらも、リスペクトしたうえで、「ふりかえり」と表記しています。
Q. ふりかえりをどのような単位ででやるといいのでしょうか
「ひとりで」「チームで」「グループ・組織で」「プロジェクトで」といった単位でそれぞれ行うとよいでしょう。
チームのふりかえりについてはふりかえりワークショップ~実践&実践~を参考にしてください。
また、プロジェクトのふりかえりについてはプロジェクトのふりかえりの進め方の例(改善版)で進め方や考え方を紹介しています。
Q. 一人で正しいふりかえりができるかが不安です
正しいふりかえり、というものは存在しません。自分のやり方が気になるのであれば、他の人と一緒にふりかえりをしたり、他人にふりかえりの内容を聞いてもらって、フィードバックを貰うとよいでしょう。
Q. どのように習慣付けをすればよいでしょうか
習慣化についてはスライド「過去をふりかえり未来を創る」が参考になります。
お勧めは、ルーチン化してしまうことです。毎日同じ時間にふりかえりをするよう、スケジュール帳に入れたり、botで自分に通知したりすることで、慣れないうちは受動的にでもふりかえりが出来るトリガーを作ります。
Q.ふりかえりの様々なやり方が知りたい
ひとりのふりかえりでは、日報・日記といった形式でも行えます。チームでのふりかえりの手法も、ひとりのふりかえりに適応できるものが数多く存在します。
様々な手法を知りたい方は、ふりかえりを拡張する「ふりかえりチートシート」をご参照ください。
ひとりのふりかえりに関する手法を詳しく知りたい方は、ふりかえり読本 学び編~経験を力に変えるふりかえり~をご参照ください。
Q. 成功したときのふりかえりと、失敗したときのやり方は異なりますか?
ひとりのふりかえりにおいては、自分のやりやすい方法でふりかえれば問題ありません。
思考の特性によってもやりやすい手法は違いますので、様々な手法を試してみるのがよいでしょう。
簡単な選択肢としては、KPTかYWTがあります。それらの違いについては「KPTとYWTの違いは?~KPTがうまくいかない理由と、YWTの特性を考える」をご参照ください。
Q. 時間がないときでも簡易的に使えるふりかえりツールはありますか?
ツールを使うよりは、まずは手を動かしてふりかえりをすることをオススメします。
時間がなければ、頭の中でふりかえるだけでも十分効果があります。
ツールを使う場合は、ツールに振り回されないように(手段と目的が逆転しないように)しましょう
Q. 授業の復習やふりかえりと仕事のふりかえりの違いは何でしょうか
学校における「復習」は、今まで習った内容を「見直す」「記憶し直す」という活動のイメージが強いです。
協調学習として用いられる学校における「ふりかえり」は、仕事におけるふりかえりと差はあまりないと考えています。
次にどのように活かすか、というところまでを考えるのが、「復習」と「ふりかえり」の違いだと考えます。
Q. ふりかえるとやるべきものがどんどん増えてしまいます
「やらないことを決める」のもふりかえりの中で行います。やるべきことが増えすぎるのであれば、無駄を減らす、行動をなくす、という選択肢を検討しましょう。
おわりに
自分なりのやりかたで楽しくふりかえりを行い、成長を加速させていきましょう!