この記事について
こんにちは。森です。
この記事は、「ふりかえりの導入・始めかたを知る~「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」著者と語るふりかえり~」のイベント後半で小田中さん(@dora_e_m)・森(@viva_tweet_x)・KANEさん(@higuyume)とで話した内容を文書化したものです。
ふりかえりをどうはじめればよいのか、というのをざっくばらんに語っています。
ふりかえりでスッと思い出しが出来るようになるためには?
よくある質問。
新卒向けに研修したときにも、すっとふりかえり期間中の出来事が出てくる人と、出てこない人がいた。
Timelineを使う
※参考:ふりかえりのアクティビティ紹介:Timeline
2週間何があったか、事実ベースで思い出して、ふりかえりに転化していく。
何度か繰り返して、日々の行動に対しての感度を上げていく。
Mad, Sad, Gladを使う
※参考:ふりかえりam ep.8
感情をベースに事実を思い出していくやり方。
思い出せる、出るところから出していく。全てを出さないほうがいい。
意見を出している人を見て、思い出しながら「君はこう思ってるんだね、私は…」みたいに重ねるのもよい。
自分ですべてを出そうとしなていい。
くだらなないことでもいいので、どんどん書く。
ムードメーカーみたいな人が「そんなことも書くの?」みたいなのを出せば、軽い意見をどんどん出しやすくなる。
Sprintをトータルで見たときに、「最終的にうまくいきませんでした」ということはある。KPTだけでみるとマイナスになってしまうが、Timelineでみると、山あり谷ありなことが分かる。
うまくいかないところになぜ変遷したのか、というのを追うことができる。
思い出せること、思い出せないもの
すっと思い出せないこと、は実は重要じゃないかもしれない。
どうしても頭の中に残っているものが出てくるのはそれでいい。
「そうじゃないものは別に出さなくてもいいんだよ」と言ってあげる。
意見をバンバン出せる人、出せない人がいる。
タイプ分析におけるAnalyzerタイプの人は、自分の頭の中で考えて考え抜いた1つのアイデアを出す。
出てきた1つの意見を大事にする、ということが大事。数は問題ではない。
リモートのふりかえりをどんなふうにやっているか?
小田中さんの場合
G Suiteを活用している。
Google Jamboardで、付箋をぺたぺた貼る。
Timeline + 学習マトリックスで進める。
はじめてリモートに移行したときは、「リモートワーク」に特化したふりかえりをやった。
リモートが当たり前になってきたので、タイムライン+学習マトリックスが習慣化した。
最初は不安だった。「チームメンバーで集まってお菓子を食べながらワイワイできるのか?」「モニタ越しにやるのが不安」。
リモートによって自然と課題対わたしたちの構図が生まれた。
他のメンバーはみんな20代の中、30台の人が入っていくとびびられる。
発言にバイアスがかかし、「課題対私たち」ではなく「小田中さんへの報告」になりがち。
リモートだと、課題に向き合いやすくなる。アイデアが出てきやすくなる。
結果的に、うまくいっている。
KANEさんの場合
Google スプレッドシートを使っている。スプレッドシート上に記載をしていくスタイル。
チームが付箋ワークするタイプじゃなかったため。
課題に対して向き合って、「リモートでどうやるか」「どうやって関係作っていくのか」に目が行ったのがよかった。
森の場合
MiroやMuralを皆で扱うことが多い。チームによっては、テキストで対話することもある。同時編集ができるConfluenceや、Hackmd.ioなど。
ふりかえりの時間設定が難しいです
小田中さんの場合
1時間でやっている。話したりないな、っていうのが続いたら伸ばす。
森の場合
その組織だと許容される範囲で始めてみる。90分~120分。
最初に最大の時間を確保しておく。最初に短い時間を取ってしまうと、時間を新たに確保していくことが難しい場合も多いため。
KANEさんの場合
LeSSで複数チームでふりかえりをしている。
各チームごとに1時間、チームをまたいで1時間やっているが、それでも足りない。
開発時間が減る感覚に抵抗感がある人もいる。
時間が足りないのであれば、その分を日々に分散しましょうと言っている。
「毎日5分でもいいからふりかえりしよう」
「1weekなら25分確保できる」
1日5分なら確保できるが、30分確保しよう、だと重くなってしまう。
ふりかえりだけでしかカイゼンしなくなってしまうチーム
問題が起こっても「ふりかえりに持っていこう」という話をしてしまう。
または、課題解決に時間を割けない。
悩みを持ったまま、1スプリントやるのか?
GTD(Getting Things Done)のinboxの考え方を使うとよい。
ぱっと片づけられるならさっさとやる、しばらくかかるならTODOに入れる。
ふりかえりの中でも、スプリントの最後にまとめて話したほうがいいものと、もやもやみたいな部分とで分ける。もやもやがあるとパフォーマンスが落ちるため、すぐに解消する。
リモートふりかえりで、リアルな物理環境を再現するか?色々な制約が出来上がった状態でどう進めていくか?
Miroとか使えない会社もある。
再現する必要はないよ派
自分の選択でやりやすいのであれば、再現する必要はない。
リモートワークの世界観のなかっで、非電子のものを再現するのにどれほどの意味があるのか?
再現できなかったらふりかえりできないのか?そうじゃない。口頭でやってもできる。
ふりかえりで何を明らかにするのか、を重要視すべき。
付箋を使ったり、ホワイトボードを駆使しないといけない、というわけではない。
ゼロベースで考えればいい。
物理空間のあの感じがないとできないわけじゃない。ふりかえりでどう着目したいのかを改めて考えればいい。
再現してもいいよ派
再現しようよ、無理しなくてもいいけど。
ノンバーバルコミュニケーションが減少したり、付箋での指示語が使えなくなることだったり、リモートワーク下でどうしても制約・制限を受けてしまう部分は多い。それを補ってくれるツールがたくさんある。
完全に再現しようとするのは無理でも、リモート環境下での最善を尽くすために、色々試してみるのはアリ。少しずつ改善していき、自分たちの中でやりやすいやり方を見つければいい。