私(@ueeeeniki)は、PharmaXという会社でエンジニアリング責任者をしています。
PharmaXでもイベントを毎月続けて数ヶ月になりますが、個人でも仲間内でIT・エンジニアリング関連の勉強会を2週間に1度のペースで行い、1年半続けています。もちろん私一人で毎回発表しているわけではなく、#StudyCo (一緒に勉強するというぐらいの意味です)というグループ名を名乗り、5、6人のメンバーが持ち回り制で発表しています。
前回のしまさん(@oshima_123)の会『【増枠】プロンプトエンジニアリングから始めるLangChain入門』では、なんと648人の方に応募いただきました。
普段はZoomのウェビナー機能を使っていますが、ライセンスの問題で500人が参加者の上限だったので、初のYoutube同時配信を行いました。
自分たちがかつて開催した勉強会の中でも最大の参加人数となり、LLMの注目度の高さを伺い知ることができました。
次回の勉強会は5/18に生成AI・LLMのLT会を4人ぐらいでする予定で、私も「医療×LLM」のテーマで発表します。ご興味あれば是非ご参加ください!(無料です)
私がこれまで発表したテーマをいくつか挙げておくと、
・Pythonで学ぶ機械学習入門
・【初心者歓迎!!】ディープラーニング入門
・PythonでXAI入門〜AIを説明する技術・統計学と機械学習の違いと接点とは?〜統計・機械学習・統計的機械学習とは何か?〜
・ベイズ統計学入門〜頻度主義からベイズ主義へ〜
などなどがあり、自分の好きな分野である機械学習や統計学の勉強会が多くなっています。
外部向けに勉強会をし始めたのはこの1年半ぐらいですが、外部公開をするまでにも4年間ぐらいクローズドに勉強会を毎週土曜日に続けていたので、今のメンバーで勉強会を継続するのは約5年目(もはや覚えていないので定かではありませんがw)に突入しました。
我らながら、収益化も一切せずに、5、6人で40回近く外部公開の勉強会を続けるのは正気の沙汰ではありません 笑
そこで今回はこの勉強会を外部発信してみての学びをまとめたいと思います。
一方で、コミュニティを続けていくための工夫まで語り出すときりがないので、それは何年か前にアドベントカレンダーをやったときのしまさん(@oshima_123)のクリスマスポエムに譲りたいと思います。
外部向けに勉強会をしてみたいと思っている方の参考になれば幸いです!
そもそもどんなふうに始まったか
コミュニティを続ける工夫は述べませんとはいいましたが、前提がまったく説明されないのでは、理解も進まないとは思うので、この勉強会がどのようなメンバーで構成されていて、どのように始まったのかは書いておきたいと思います。
まず、主要メンバーのうち3人が大学時代の研究室の同期と後輩で構成されています。
私が東大大学院の農学生命科学研究科に所属していた時期(2017年頃)に統計学・機械学習の勉強会を毎週土曜日に研究室のメンバーで開催していたのが前身となっています。
その後、メンバーが何名か友人を誘い、IT系の勉強会や雑多な内容を扱っては数ヶ月途間切れたりしながら、上記のしまさんの記事によると、2019年1月からは一切途切れず続いているようです。
私と辻がPharmaXを創業したのが、2018年12月ですので、起業をしてからずっと続いている習慣だということになります。
冒頭も申し上げたとおり、始めの3、4年間は毎週土曜日に集まって、クローズドに勉強会をしていました。
毎週持ち回り制で自分が勉強したことを発表していたのですが、かなり内容のレベルも高くなってきたので、自分たちの中だけで発表しているのはもったいないのではないかということになり、外部公開をすることにしました。
今でも毎週土曜日に午前・午後集まって勉強したことの発表や外部発表のリハーサルを行い、2週間に1度木曜日に外部発表を行うというサイクルを繰り返しています。
集客数の推移について
StudyCoの勉強会では、グループのメンバー数が500〜1000人を超えたあたりから、connpassのイベントページをオープンして数日で50人以上にお集まりいただき、ほぼ毎回100人を超えるようになりました。
自分の発表に10人、20人という参加者しか集まらないようであれば、モチベーションが下がってしまうのが人情というものでしょう。
ですが、毎回100人以上ゆうに集まっていただけると思えば、非常にやる気が湧いてきます。
connpassの仕様上、各イベントの統計は確認可能ですが、グループのメンバー数の推移までは確認できないので定かではありませんが、10回目ぐらいの発表でグループ数500人に到達していたように思われます。
10回目以降は、80〜90%ぐらいの確率で参加者が100人を超えています。
ここ最近は、LLMの注目度の高まりに便乗して、我々のグループのメンバー数の伸びも顕著ですが、メンバー数2000人ぐらいを超えたあたりから明らかにメンバー数の伸びは鈍化してきていました。
おそらく、同じような人にしかリーチできなくなってきていたが、大注目のLLMの勉強会を開催したことで、これまでとは異なる層の方にも届いたということでしょう。
外部発表を習慣化するための工夫
発表練習の習慣化
外部発表を習慣化するには、まずは事前の発表練習(リハーサル)を習慣化することです。
私たちの場合は、本番の3週間前、遅くとも2週間前の土曜日には、発表練習することを徹底しています。忙しいなどの理由でクオリティが追いつかない場合は、複数回発表練習をすることもあります。
発表資料と練習さえできてしまえば、後はみなさんの前に出ていって発表するだけなので、何も考える必要はありません。
準備が大変で苦しいのは事実ですが、公開日の直前に苦しくなるよりも結果的には精神衛生上も良い習慣と言えるのではないでしょうか。
connpassのイベントページをオープンするタイミングを固定する
この発表練習を行う3週間前のタイミングまでにconnpassページをオープンにすることも徹底しています。
そうすることで、2週間前の1つ前のイベント時には次回イベントとして告知することが可能になります。
ただし、connpassページをオープンにするのは、早ければ早いほど多くの人にお集まりいただけるので、1ヶ月前にはオープンにするのがオススメです。
自分の得意な分野で新しく勉強したことを発表する
これはクローズドに勉強会をしていたときからの学びでもありますが、無理に自分の苦手なことを勉強して発表しようとするのは悪手です。
苦手を克服するために勉強するのは素晴らしいことですが、インプットに時間を使いすぎていては、アウトプットするまでの準備が間に合いません。
私たちの場合は、5、6人の持ち回りで2週間に1度の発表で、全員が必ず発表できる周期ばかりでもないので、早ければ2ヶ月で次の自分の番が回ってきてしまいます。
ある程度土地勘があって、知識を深めやすい得意分野の方が、わざわざ発信する程のクオリティのコンテンツを作りやすいでしょう。
また、苦手な分野は、間違ったことを言ってしまうのではないか?というプレッシャーも感じやすいので、発信することに後ろ向きな感情を抱きやすいです。
であれば、自分が得意だとか、同じコミュニティの他のメンバーよりも詳しいという自負を持っている分野の方が発信するのには適していると言えるでしょう。
かと言って、自分にとって古いの知識ばかり発表していては、モチベーションが下がってしまうので、得意分野で程よくフレッシュな知識を織り交ぜていくのがオススメです。
発表を途切れさせないために自分の番の発表が厳しくなりそうなときは必ず代打を立てる
みんな本業が別にあって趣味で勉強会をしているだけなので、数ヶ月間忙しい時やどうしても発表できない時もあるでしょう。そんなときは、自分の番が近づく1ヶ月以上前には、必ずヘルプを出すようにします。
もちろん、その分代打を引き受けたメンバーが苦しくはなりますが、習慣化において最も避けるべきことは、サイクルを途切れさせてしまうことです。
固定のサイクルで続けることで、何も考えずに習慣化することが可能になるので、そこまでしてでも自分たちの決めたペースを守ることは重要です。
自分たちを褒め称え励まし合う
最後にとても大事なことですが、自分たちを褒め称え励まし合いましょうw
connpassグループのメンバー数がこれだけ多くなってくると、名だたる大企業やIT界隈で超有名な企業を超えたり、並ぶようになってきています。
いくつかのベンチマークしている企業を追い越すという裏テーマも持っており、密かなモチベーションになっています 笑
もちろん世間的に有名だというほどでは全くありませんが、「おれたち凄いんじゃない?めっちゃ頑張ってるよね!」というのを口に出して言うことはモメンタムを作り出す上で非常に重要です。
発表テーマを決める上での工夫
全く収益化していないとはいえ、多くの方に集まっていただく方が当然モチベーションは高まります。そこで、ここでは発表テーマについての工夫をまとめたいと思います。
流行りや注目のテーマを扱う
もはや工夫でもなんでもありませんが、流行りのテーマをしっかり扱っていくことは多くの方にご参加いただく上で非常に重要です。また、多くの本が発売されている注目のテーマは必ずと言っていいほど多くの方にお集まりいただくことができます。例えば、「機械学習入門」や「Docker入門」などが分かりやすいでしょう。
あくまで私たちの感覚ですが、関連書籍の出版数やUdemyなどのオンライン教育プラットフォーム上の講座数と、勉強会テーマごとの参加人数には、かなりの相関があるはずです。
タイトルが一番重要なので分かりやすいタイトルを付ける
タイトルの付け方で参加者数はかなり変わります。端的に言えば、分かりやすいタイトルで、何についてのイベントなのか分かりやすければ分かりやすいほどいいでしょう。
私たちの場合は、収益化していないので、無理に釣りタイトルをつけることはしていませんが、せっかく公開するのだから、分かりやすくかつ、楽しそうなタイトルを付ける工夫はしています。
LT会は発表しやすいが、参加者数は少なくなりがち
LT会は、何の話を聞けるのが明確ではないこともあり、参加者数が少なくなる傾向にあります。
1つテーマが決まっていて、その内容についてがっつり深ぼった話が聞ける方が、我々のような勉強会では人気が高いようです。
まとめ
今回は、趣味で外部公開の勉強会を開催し続けてきての学びを整理してきました。
正直言って、ここまで頑張って続けるのは、本当に命を削るので1ミリもオススメしません 笑笑
この記事を読んでいただけいているような方は、スタートアップにいたり、IT界隈にいらっしゃる方が多いのではと思いますが、みなさんにとっては貴重な休日を勉強会に毎週4時間も費やしてしまうことは狂気の沙汰と言えるでしょう。
発表の準備(勉強・資料作り)や実際の発表の時間を合わせると、月何十時間が消えていっているのかを考えると恐ろしくなります。
私自身、仕事も膨大にあるので、この勉強会のせいで眠れぬ夜を何度過ごしたのかは分かりません。ご自身のお身体を大切にして、真似しないでいただいた方が良いような気がしないでもありませんw
ですが、実際やってみると、やった以上の学びがたくさんあります。また、アウトプット駆動で勉強するのは、インプットの勢いと効率を非常に高めます。
私のような怠惰な人間は、アウトプットしなければいけない日があらかじめ決まっている方が、頑張って勉強することができます。
ちょっと勉強会を外部公開したからと言って、有名になれるとか、多くの人から注目されるなんてことはありません。自分たちの勉強が進むことが一番の収穫でしょう。
最後に
勉強会グループStudyCoでは、LTをしていただける方も随時募集しています。LT希望の方も是非ご連絡ください!