はじめに
はじめまして.uchikurageと申します.2026年度大阪大学工学部の電子情報工学科電気電子工学科目を受験し,情報通信工学科目の方に無事合格しました.基礎工の方も受けたのですが大コケして落ちました.とりあえず一段落ついたので,振り返りを兼ねて体験記を書いています.これから編入学試験を受ける方へ参考になれば幸いです.ここ最近かしこまった文章を書いていないので,拙い日本語となっていますがご容赦ください.
それでは,よろしゅうおねがいします.
自己紹介
- 出身高専:K高専電気科
- TOEIC:675(L-370 R-305)
- 席次
1年: 9位 平均?
2年: 4位 平均?
3年: 3位 平均94.23
4年: 3位 平均94.86 - 併願校
専攻科(合格)
大阪大学基礎工学部電子物理科学科電子物理科学コース(不合格)
大阪大学工学部電子情報工学科電気電子工学科目(不合格)
大阪大学工学部電子情報工学科情報通信工学科目(合格)
私自身はTOEICが苦手です.あれは英語の試験というよりかはビジネス英語を聞く・読む体力がどれくらいあるかを測るテストだと思ってます.逆に工業英語?は好きなんですけどね.数学・電気専門は好きで得意です.
勉強内容
TOEIC(230時間くらい)
最初に書くことではない気がしますが,4年の春ころにはもうTOEICのスコアは675でいいから,あとは本番の筆記試験でTOEICを補おうと覚悟を決めました.私の記憶ではTOEICは
- 大阪大学工学部を受けるなら,700点台
- 大阪大学基礎工学部を受けるなら,800点台
あったら安心かなといったところだと思います.私はTOEICの点が取れなったので他人のことは言えないですが,こんなスケジュールだとTOIECは間に合わないかもね的な感じで見てもらえると嬉しいです.さてTOEICのスコア推移はこんな感じです.
| 年月 | スコア | Listening | Reading | 勉強時間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023/06 (3年) | 420? | 220? | 220? | ー | ノー勉で初めて受けた.スコアの記憶は曖昧 |
| 2023/10 (3年) | 535 | 330 | 205 | ? | スタプラをまだつけてかなったので勉強時間は不明 |
| 2024/02 (3年) | 595 | 325 | 270 | 45h | 3年の春休み |
| 2024/09 (4年) | 670 | 375 | 295 | 88h | 4年の夏休み |
| 2025/03 (4年) | 675 | 370 | 305 | 93h | 4年の春休み |
| 2025/05 (5年) | 675 | 370 | 305 | 10h |
本当はもうちょっと公開テスト受けてますが,スコアの変動が微々たるものだったので,だいたい半年ごとに載せてます.当時はTOEICはまとめてやるのがいいというのを信じてたので,基本的に長期休みごとにTOEICを詰めてました.が,いまとなっては,私にとって1ヶ月だけ詰めるのは無謀だし通常授業期間中はそこまで英語に触れてなかったので,ブランクが埋めるのが精一杯でした.長期休み+普段の授業期間を合わせて3ヶ月くらいでまとめてやるべきだったなと後悔してます.TOEICに限らず,とりあえずテキストが手に入ったならモチベのあるうちに1周終わらすべきだと思います.短期的な目標(1ヶ月後のテストで600点台をとるぞ等)を立てるのはモチベ維持になるのでおすすめです.
3年の夏休み(400点台▷500点台が目標)
初めてTOEICを受けたときがだいたい400点台でした.このときは大学編入する!とだけ決めており,具体的な大学は定まっていませんでした.英語には苦手意識があったかつ,たいていの編入試験にはTOEICがいることを知ったので,3年の夏休みごろからちょくちょくTOEICの勉強を始めました.内容はTOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ(金フレ兄弟)を8割くらい覚えて,それと2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト600点を一日1セクションやってました.個人的には,後者のテキストは自分にあってないと思いつつ,適当に1周終わらせました.400点台なら,金フレより銀フレのほうがおすすめです.
3年の春休み(500点台▷600点台が目標)
この頃から,阪大の工学部に行きたいと思うようになりました.あとは,申し訳程度に基礎工の方も受けようかなーっていう気持ちもあった気がします.テキストはTOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問とTOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズを使いました.金フレは寝る前に200語くらいフレーズをシャドーイングしました.でる1000問は1日200問くらい(1h~2h)やって2周し,part5の正答率は8割くらいまで伸びましたし,やっていて楽しかったです.
4年の夏休み(600点台▷700点台が目標)
4年の夏休みは2週間くらいインターン行っていた+バイトでドタバタしてました.公開テスト受ける1週間くらい前に勉強していない危機感に襲われ,公式問題集7をひたすら解いては復習してを1週間くらい詰めてました.このころはまだ金フレのシャドーイングして,たいていのフレーズは覚えたつもりです.
4年の春休み(600点台▷700点台が目標)
春休み入ってから自分のTOEICの低さに焦り,ひたすら公式問題集の復習をしてました.また,part5の正答率が著しく下がってたので,またでる1000問を同じように1周しました.ただ夏休み終って以降,一切英語をしてなかったのでブランクが埋めるので精一杯だったゆえ,思うように点は上がりませんでした.とりあえずTOEICの勉強はやめて,あとは数学・専門に全振りしました.5年はいってから,「ほぼノー勉でも公開テストを受けたら少しは点があがるっしょ」という思いから,5月に受けましたが,見事にスコアの変動がありませんでした笑(その分,TOEICのスコア評定がしっかりしてる)
数学(240時間くらい)
数学は好きで得意なので,とりあえず3年1月くらいから大学編入のための数学問題集(最近改訂版がでたみたい)をちょくちょく解き始めました.数学のベースは全部これです.個人的には大学編入のための数学問題集が終ったら編入数学徹底研究よりも過去問特訓をするべきだと思います.
- 1周目は3年のときでA~C問題だらだらとすべて解きました(B・C問題はちょくちょく解答みながら)
- 2周目は4年のときで1周目のときと同様
- 3周目は5年の年度初めの1週間でB・C問題を1周すると決めて(物理とかもしてない)しました.簡単なA問題は飛ばしてました
- 4周目も1ヶ月くらかけて,B・C問題を1周
計4周して,90hくらい(スタプラで記録をつけてないのがあるので実際はこれ以上)この本に向き合ってました.このほかにもとりあえず気分転換にいろいろ触りました.
-
マセマ複素関数[3年2月]
▷複素関数は授業でサラっとしかやっていなかったので,とりあえず1周しました. -
線型代数(高専の教科書)[4年5月]
▷なんとなーく,これを1周しました.深い意味は特にないです. -
線型代数(長谷川 浩司 著)[4年6月]
▷線形代数を深く理解したいと思い,ヨビノリがおすすめしてたのでさらっと読みました.行列の図的なイメージをつかむならこれがおすすめです.Google行列とかの工学的応用もコラムで扱ってます.これ以外にもヨビノリがおすすめしてる本がココにあるのでよかったら覗いてみてください. -
マセマ常微分方程式[4年3月]
▷阪大工学部の過去問で完全微分方程式が出題され,これは授業で習っていなかったので,これの前半部分をしました.解けそうにない微分方程式がでてきたらラプラス変換すればできると信じて,後半の微分演算子とかはやってません. -
複素関数論の基礎(山本 直樹 著)[4年3月]
▷阪大工学部で毎年複素関数がでているのでその対策として1周しました.マセマよりこっちの方がおすすめです. -
編入数学過去問特訓[5年5月]
▷大学編入のための数学問題集に飽きてこっちに逃げましたが1周して,このころから過去問をひらすら解くことに集中しました. -
細野真宏の確率が本当によくわかる本[5年6月]
▷阪大基礎工の数学・確率はノリで行けるっしょと楽観視していたら全然解けなかったので,友人に勧められ入試1ヶ月前でしたが,これを1周しました.赤いくまさんの本です.おすすめです. -
確率統計(高専の教科書)[5年7月]
▷基礎工に落ちたので,工学部の数学・確率統計の問題を解く必要が出てきたのでこれを解きました.
このあとは5年5月頃から基礎工の受験までは手元にあったH20以降の基礎工過去問をひらすら解きました.
物理(170時間くらい)
参考書や問題集を使って勉強しましたが,物理は基本的に過去問を解いて勉強しました.
力学
基礎工の物理では力学があるので,弱点克服大学生の初等力学を4年の1月くらいから5年の5月にかけて計3周しました.力学はこれだけやっておけば十分だと思います.
電磁気学
電磁気は自信があったので,とりあえず4年の冬休みに電磁気学演習(黄色い本)を1周しました.電気回路とか磁性体,電磁波のところはこんなのがあるんだ程度の理解で十分です.これで一通り過去問の問題は解けるようになりました.ただ,理論的な理解が不足していた+基礎工の口頭試問の対策で,電磁気学I――電場と磁場 (物理入門コース 新装版) を読みました.
熱力学
マセマの熱力学とその演習版を1周しました.熱力学は問題のパターンが限られているので,熱力学が苦手な私でも演習を重ねるにつれて問題が解けるようになりました.
コンピュータ工学
論理回路は授業で習っていたので,特に勉強はしていません.ただ,工学部のコンピュータ工学の大問3のアルゴリズムの問題について,私は脳内でプログラムを動かすのが得意ではないのでC言語によるはじめてのアルゴリズム入門 改訂第5版でアルゴリズムの勉強しました.今まで触れたことのない分野でしたが,楽しかったです.
過去問演習
基礎工の受験が7月上旬でその2ヶ月前くらいの5月くらいから過去問だけを解くようにしました.体感は,最近になるにつれて簡単になってるので,昔の方から過去問を解いていくのがおすすめです.ただ平成あたりの過去問は今とだいぶレベルが違うので,解けなくてもあんまりへこまないほうがいいです.解き方は,時間を図ってA4のコピー用紙にひらすら回答を書くというやり方をしていました.過去問を解き始めた頃は全然時間が足りなかったので,そこは時間を無視して回答を完成させて,数学・物理の先生に回答添削をしていただきました.
本番
VS 専攻科
筆記試験・面接で全力を出すことができたので,何事もなく合格しました.
VS 大阪大学基礎工学部電子物理科学科電子物理科学コース
前日は伊丹空港近くの東横インに泊まりました.駅へ行くために10分くらい歩かないといけないのでホテル選びに失敗しました.ホテルを予約するときは駅から近いところにしましょう(戒め)
数学
大問1:微積(積分の等式の証明とか,その最大値)
大問2:線形代数(ケーリハミルトン,ジョルダン,$e$の行列乗)
大問3:確率(かんたん)
例年通りの構成ででした.ここで,私は焦って大問1の(1)の最初から分からず,問題構成的に(1)の結果を使ってどんどん問題を解いていくスタイルだったので,ここはすべて取れてません.大問2,大問3は完答できたので,体感は6割です.回答用紙は問題用紙と別々になっており,サイズはA3(もしくはB4)で裏面も使っていい感じでした.ただ,おかわりはできなさそうでした.
物理
大問1:剛体力学に関する等式の証明,テンソル?
大問2:アンペア則を使う問題と正$N$角形の中心にできる磁界,$N \to \infty$ のときの磁界の極限(電磁気の黄色い本で見た気がする)
大問3:カルノーサイクル
大問1が例年と大きく逸れた内容だったので,3割程度,大問2は完答,大問3は仕事のする・されるの関係があやふやになってしまったので,8割.総括して物理も体感は6割です.解答用紙は数学と同様でした.
面接・口頭試問
ペーパーの試験でいろいろ転けてしまったので,もう落ちたと割り切って面接に挑みました.面接の控室は,スマホとかはNGでした(工学部はOK).面接の順番は名前の五十音順のようです.聞かれたことは次の通りです.
- 試験の出来は?
- 志望動機
- 卒業研究
- 学内・学外でやったこと
- 得意な科目は?
- 熱力学とか力学,量子力学とかは授業でやってるの?
- なんで高専入ったの?
- 将来は?
- 部活は?
順番はこの通りではありませんが,終始フランクな雰囲気でした.募集要項には口頭試問を設けると記載がありましたが,このコースでは
面接官:得意な科目は?
私 :電磁気です.
面接官:マクスウェルの方程式とかやってるの?
私 :はいそうです.
この程度で意外とあっさり終わり,落ちたんだなーって思ってました.面接官は4人で20分ほど(体感は10分)で終わりました.
出願している人は7人,受験者数6人,合格者数3人でしたが,私は不合格でした.
エレクトロニクスコースの方は受験者数3人で2人合格してました.
VS 大阪大学工学部電子情報工学科電気電子工学科目
前日は大阪駅から10分くらい歩いたところにある東横インに泊まりました.ホテルを予約するときは駅から近いところにしましょう(戒め)(2回目).大学から近いところに泊まるのもアリだと思います.
数学
大問1:線形代数(三角形が行列$A$による線形変換によってどう変化するか?)
大問2:微分方程式(連立微分方程式・同次形)
大問3:複素関数(写像)
大問4:確率統計(同時確率密度関数)
今年は大問2以外,傾向とは逸れた内容が出題されました.大問4の後半はみんなとれてないし私もとれてません.回答を終えたときは,大問4以外は完答かと慢心していましたが,試験を終えて3日後に大問2の連立微分方程式の$x$と$y$を勝手に入れ変えていることに気づいたので,試験の出来は7.5割です.大問1は長谷川線型代数のおかげて余裕をもって回答できました.回答用紙はB4の両面で,問題用紙とは別々.更に別で下書き用紙も配布されました.
お昼ごはんはバナナを食べて,午後の専門科目に挑みました.バナナ🍌,おすすめです.
専門科目
私は電磁気学とコンピュータ工学を選びました.正直,電気電子回路を選択してもよかったのですが,数年おきに魔物が出てくるので安定を取ってコンピュータ工学を選びました.専門科目の方は問題用紙と回答用紙が一緒にホチキス止めされてあったので,正直回答しづらかったです.ホチキス止めは外さないでと指示があったのでそのまま回答しました.
電磁気
大問1:同軸ケーブルについてガウス則から電界を求めて,静電容量を算出
大問2:ビオザバールで有限長・無限長導線に生じる磁束密度と,コイルを動かすための仕事
例年より簡単な問題だったので10割です.大問1についてはどこかの過去問(神戸大?)で見かけたような気がします.
コンピュータ工学
大問1:進数変換,XORの真理値表と論理回路
大問2:カウンタ?(忘れました)
大問3:深さ優先探索
こちらも回答ができたころは完答だと慢心していましたが,当日の夜,大問3の出力結果を答える問が怪しいことに気づいたので出来は8割です.
面接
面接控室では各自が自由な席に座ることができ,スマホOKなのが驚きました.ただ,念の為暇を潰せる本とかは持参したほうがいいと思います.受験番号順(五十音順?)に呼ばれ面接が始まりました.私の受験番号の前の方がいらっしゃらないことを完全に忘れており,余裕があるなと思っていたら急に私の受験番号が呼ばれ,びっくりしました.ちゃんとそのへんは把握しておきましょう.面接で聞かれたことは次の通りです.
- 志望動機
- 学校で頑張ったことを実経験を踏まえながら
基本はこの2つで例年通り5分で終わりました.ただ,ちょっと雰囲気はガチガチに感じました.しっかりと自信をもって自分の意志を伝えることができれば,面接は大丈夫だと思います.
受験が終わって1週間は合格発表まで時間があるのですが,その中で日に日に筆記試験のできなかったところを思い出し,少し精神的にやられ,食欲もあまりありませんでした.
結果は第一志望の大阪大学工学部電子情報工学科電気電子工学科目は不合格で,第二志望の情報通信工学科目の方に合格しました.おそらく電子工学科目でギリギリだったので,情報通信工学科目に入れさせていただけたのでしょう.ほんとに感謝です.
成績開示&個人的な感想
9月の下旬に郵送されるらしいので,届いたら載せます.
【2025.09.12追記】
もう成績開示書が来ました.想像通り,一番下で受かってました.645.5点と最低点です.
大阪大学ありがとう感謝!!
にしても,毎年ボーダーが600点なイメージ 1があったので今年はだいぶ最低点があがりましたね...Twitterをみている限り,今回の阪大電情の編入試験はあんまり筆記試験で差がついてないっぽいので,TOEICや調査書で差がついたのかなと思います.(個人的な体感)体感で成績を算出してみると,TOEIC・調査書を素直に満点換算になおして700点くらいだったので,そのあたりの点数(特にTOEIC)はなにかしらの操作はしている気がします?ただ単に筆記試験でコケた可能性もあるし,なんともいえないですね.

さいごに
ここまで読んでくださりありがとうございます.ここまで育ててくれた両親に感謝しています.また,精神的に支えてくれた友人にも感謝です.阪大の工学部は受験が8月なので,まわりの人が受験が終っていく中,戦うのは辛かったです.自分で決めた道は最後まで駆け抜けないと結果がわからないので,諦めず頑張ろ!
もし基礎工や工学部の過去問で回答がほしいなどありましたら,Twitter(現:X)のDMに声をかけてください!アカウントは@uchikurage256です.できる限り対応します!
参考にさせていただいたページ
2026年度 大阪大学工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目 編入体験記
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この方が記録を残してくださってます https://note.com/mizi_mizi/n/n7085ee6fdd6f ↩