登壇編って?
先日、PGConf.Asiaの参加記録 -エンジニア邂逅編- を書きました。そちらでは日本のエンジニアや海外勢との会話で記憶に残したいものをまとめています。
PGConf.Asia 2019自体についても邂逅編をご覧下さい。
今回は自身の登壇について、準備や発表当日の様子、QAの内容などをまとめていきます。
準備
今回登壇は初の海外・英語での登壇ということもあり、自分なりに入念に準備を重ねました。
発表準備にあたり、さくらインターネット研究所のmatsumotoryさん、yuukiさんのブログは非常に参考になりました。具体的には下記2つの投稿で、スライドやスクリプトの準備、そして質疑にもきちんと備えることなどを読み、自分の準備にも活かしていきました。
私の発表はアカデミックなものではないですが、同じ日本人の方がこうして世界で発表されているということが、準備中のモチベーションをブーストしてくれました。
スライドの準備
当日のスライドはこちらになります。
来週発表の #pgconasia のスライド完成。原稿読んで約38分くらい、もう少し手直しする予定。https://t.co/VATgo1KSSm
— こば(右) (@tzkb) September 3, 2019
内容はCloudNativeDays Tokyo 2019とほぼ同じです。想定する聴講者がPostgreSQL技術者となるので、前半はKubernetesの説明に多めにスライドを割り当てています。
スライド作りを進める中で、英会話講師には「あなたのスライドはdata overloadだ。もっと文字を減らしてイメージを使ったほうが良い。」と指摘されました。英語のSpeakingに自信がないので、スライドで補完する意図があったのですが、これを受けて情報を減らして文字を大きくしたことは非常に良かったと思います。
スクリプトの準備
通常、私はCNDTや国内のカンファレンスで登壇する際に以下のような準備をしています。
- スライドが出来たら、通しで発表練習しながら話す内容をパワポのノートに書き込む。
- 各スライドのノートを確認しながら、キーワードを覚えるようにする。
- 当日はノートをチラ見しながら、キーワードを落とさないように適当に喋っていく。
しかし、今回は初の英語登壇になるため、**”適当に”**の部分が全く処理できる自信がありませんでした。そのため、ノートにビッチリと英語でスクリプトを書込み、それを読むスタイルで行きました。格好悪いですが、伝わらないという最悪の事態を避けるためです。
実際に英語スクリプトを準備するときには、matsumotoryさんや他の方のTweetを参考にしながら以下のサイクルで書いていきました。
- みらい翻訳で「英語->日本語」に設定し、話したいことを英語で打ち込んでいく。
- GrammarlyのChrome拡張で、上記のテキストエリア中で文法上おかしな点がすぐに確認できる。必要あれば訂正する。
- みらい翻訳で日本語に翻訳し、言いたいことと合っているかを確認する。
- さらにその英語をGoogle翻訳にかける。基本は「英語->日本語」で使うのだが、「言語を入れ替え」を押すと、Googleがより自然な英語を出してくることがあるので、それも都度確認する。
時には4.から開始して1.に戻る、みたいなことをしながら全スライドに英語スクリプトを付けました。これは本当に全スライドで、タイトルやセクション区切りにまで繋ぎのセリフみたいなものを書いてあります。
とにかく、ここに時間がかかりました。
ロールプレイ
上記のスライド、スクリプト作りと並行して、英語でのプレゼン練習をBizmatesというオンライン英会話で行いました。
Bizmatesはビジネス特化を謳っており、プレゼンやミーティングなどを想定したロールプレイの練習がメニューとして用意されています。講師も英語圏でのビジネス経験があるため、スライドの構成や話す内容などにどんどん突っ込んでくれます。
これを利用して1コマ25分の中で1セクションをプレゼンし、そのフィードバックを受けるということを1ヶ月間繰り返しました。(講師の中にPostgreSQLやKubernetesなどを知る人はいなかったため、聞く側はつらかったと思いますが)
自分が言いたいことが伝わるか、Speakingでおかしな点がないかなどをチェックし、8月末には大きな問題も残っていなかったことは大きな自信に繋がりました。
いざ登壇
実は上記のように入念に準備していたものの、3日ほど前に運営から「発表が30分、20分はQAとしてね。」とメールが来ました。私のスクリプトは40分に合わせてあったため、アドリブの効かない中、どうしたものかと思いましたが、もう練り直す時間はありませんでした。
それでも当日はしっかりと自身のプレゼンを行うことが出来ました。準備されているということは当日の落ち着きに繋がることを強く実感しました。
緊張もあったのですが、直前に日本人のK氏がデモを失敗するという非常事態を引き起こし、それを間近で眺める中で逆に落ち着いてしまいました。何が功を奏するか、分からないものです。
QA
事前に想定していた通り、登壇の最難関はQAでした。
聞かれたことはPostgreSQLやKubernetesというよりも、検証に利用したCephやDRBDの動作についてのものが多かったように思います。
ただ、QAが聞き取れず質問者の方には本当にご迷惑をおかけしてしまったことに反省しています。迷惑をかけたばかりでなく、折角のフィードバックの機会を失うことにもなり、チャンスを活かすことが出来なかったと感じている部分です。
#pgconfasia
— こば(右) (@tzkb) September 9, 2019
悪かったこと: QAの質問が聞き返しても中々聞き取れなかった。結果、30%ぐらいしか回答出来なかったように思う。そして英語ができない人には質問が来なくなる。参加者があきらめるので。残念なことだ。
当日、邂逅編でも書いたAlexやJoseが私のセッションを見に来てくれていました。
「今、PostgreSQL on K8sをやるならどういう形がいいんだ?」
という質問が来た際に、
「私はこう思うが、明日のAlexのセッションも参考になるはずだ。」
と答えると、さらにAlexが言葉を色々と足して解説をしてくれました。エンジニア間の繋がりが活きたな、と感じる瞬間でした。
まとめ
正直、私の現在の英語力で海外登壇をするのはかなりの背伸びでした。
わかっていたことですが、準備をする中でも実際にカンファレンスに行ってからも毎日のようにそれは感じていました。本当は他にも検証をしたいことはあったし、思い描くPostgres ok K8sはもっと先にあるし、そこへ進みたかったのですが、この1ヶ月以上をほぼ英語に費やすことになってしまいました。
ただ、それでもやり切ったからこそ、多くのエンジニアに会うことができ、世界を拡げることができました。
もし次があれば、今回の経験を活かし、もっと大きなものをカンファレンスでシェアしていきたいと思います。