PGConf.Asia 2019とは
昨年まで数回(たしか2016年から)、日本で開催されていたPostgreSQLの国際イベントです。
2019年は初の海外開催、バリ島で3日間に渡って行われました。公式サイトはこちらになります。
上記サイトのSPEAKERSを見てもらうと分かるのですが、多数の日本人、そして韓国や欧米からも多くのPostgreSQLのエンジニアが登壇しました。私もCFPが採択され、海外(英語で)での初登壇を経験しました。
PGConfはKubeConなどに比べると小さなイベントです。カンファレンス自体は3トラック、1.5日の規模です。参加者数は公式発表がまだ出ていませんが、数百名というところだと思います。
エンジニア邂逅編って?
SPEAKERSは30名程度だった思います。そのため、アンカンファレンスから延べ4日間に渡り、同じホテルに滞在する中で各国の色々なエンジニアと会話をすることが出来ました。
そこで気付いたことをブログの形で残し、自身の記憶を整理する一助にしたいと思いました。
日本から参加したエンジニア達
PostgreSQLの日本コミュニティは世界から見ても規模が大きく、開発力が高いエンジニアが揃っています。JPUGやPGEConsなども精力的に活動をしています。
今回のバリ島でも日本のエンジニア達と長い時間を過ごし、沢山の会話が出来ました。NTTグループのY氏やS氏、NECのK氏、GPU利用で著名なK氏、SRAの方々ともお話が出来ました。
私自身のPostgreSQLコミュニティへの関りはそれほど強いものではなく、昨年からはCloudNative界隈のMeetupにいくつか参加させて頂いています。バリ島ではそちら側の情報も少しシェアできましたし、10月にRecapイベントをしようと約束して現在準備を進めています。それは開催後に別途報告できればと思っています。
A氏
特に強く印象に残ったのが、日本から参加したA氏でした。
彼はPostgreSQLのパーティショニングに精通しており、アンカンファレンスでもコアメンバー達とグローバルインデックス(パーティションを跨って作成され、ローカルインデックスと対比されるもの)の議論に参加していました。
英語はネイティブレベル、開発力も高い彼とはPostgreSQLコミュニティの実情を色々聞けました。彼から聞いた話をツイートしたのがこれらです。
(🐘開発あるある)
— こば(右) (@tzkb) September 10, 2019
1. Oracleにある機能だからという理由で実装しようとするとリジェクトされる。
また、彼とは他国語の学び方についても少し話す時間がありました。私から見たら母国語と同等に話せる彼でも登壇時のQAに苦労したそうで、
私「良く知った人と話すと理解しやすいけど、いろいろな国のいろいろなアクセントだと難しいよね?」
彼「分かります。3回聞き返したけど分からなくて、QA後にもう一度話したけどわからなかったw」
まさに私が感じたこれ、でした。
英語で一番ダメなのはヒアリングなんだけど、原因が少し分かったかも。自分が予想してない発音で来られたときに予測変換ができず、文脈も取れなくなる。
— こば(右) (@tzkb) September 8, 2019
今回、month -> マン、license -> リッセンと言う人がいた。
海外勢
さて、日本のエンジニアの強さも感じたPGConfでしたが、欧米圏や現地の強い(もしくは強すぎる)エンジニアも集まって来ていました。これは本当に有り難いことで、彼らと話すことで多くの刺激を得ることが出来ました。
Alex
まずは何といってもMR. Alexander KUKUSHKINでしょう。
KubeCon NAでも登壇している彼はPostgreSQL on Kubernetesでググると必ずHitする、スーパーエンジニアです。
私がCNDTや今回のPGConf.Asiaで発表した分野で世界最先端を行っており、なんと**データベースをKubernetesで2年間以上、しかも本番環境で運用しています。**この凄さが伝わるでしょうか。
彼のスライドにその規模を示すものがありました。もはや訳のわからない規模です。
彼とは初日に一緒にビールを飲む機会があったことから始まり、朝食やランチでも色々と質問することが出来ました。大きな体で実直に答えてくれる彼のコメントを私の英語力不足で全て理解できなかったのが、本当に悔やまれます。
一部を紹介するとこんな話をしていました。
一問一答(1)
— こば(右) (@tzkb) September 9, 2019
「アプリをMicroserviceで作ってて、それぞれのDBは小さいの?」
「全てがMicroserviceという訳ではない。在庫のような重複が許されないようなデータは集中管理してる。だからDBのサイズは様々だ。」
自分の英語力が足りなくて聞き取れないことが沢山あった。もっと議論したかった。
一問一答(3)
— こば(右) (@tzkb) September 9, 2019
「日本ではDBのようなstatefulなワークロードはK8sに向いてないという人もいる。どう思う?」
「何故だ?コンテナと言ってもlinuxのcgroupとか使ってるだけだろ?何が駄目なんだ?」
これは本当に不思議がってました。
彼の知見は膨大で、PostgreSQLの運用に必要な機能を自前で開発することもできるし(Patroni)、それをKubernetesへOperatorとして組み込むことも出来てしまいます。
私のセッションのタイトルはBuilding PostgreSQL as a Service with Kubernetesでしたが、「それ、もう俺がKubeConでやったぜ。」みたいなことを言われるなど、色々と刺激的でした。
Jose
もう一人、長い時間を一緒に過ごしたのがスペイン生まれのJoseでした。彼とはDay1のCoaching Sessionでコンビとなり、聴講者と議論をする予定でした。しかし、集合場所が伝わってなかったのか(それとも私とJoseの人気がなかったのか)、聴講者は一人も集まらず。
「もう飲みに行こうぜ」となって、ビーチ沿いのバーでビール片手に色々と話しました。彼の働き方は色々と衝撃的で、これが本当のリモートワークだよなあと感心しました。
(4)
— こば(右) (@tzkb) September 10, 2019
そして別ツイートでも言ったように、https://t.co/2irukyb1ioもバリ島に10日、それからフィリピンの離島で数日、さらに違う島に行って来月帰ると言っていた。それはバケーション?と聞いたら、リモートワークもするぜと。日本の人が聞いたら腰抜かす働き方だ。
Lucky
そして、何といっても私の心に強い印象を与えたのはジャカルタで働くLuckyでした。
彼は今回のバリ島での運営の主要メンバーで、情熱的で日本をこよなく愛する人物でした。東京に来た際にはガンプラを沢山買ったと言っていました。
最終日、クロージングセッションで彼はPGConfがバリ島で開催された経緯を語ってくれました。
秋葉原で開催地に立候補したことから始まり、日本メンバーの支援を受けつつ他メンバーのハードワークもあって開催に漕ぎつけたこと、まだ小さいインドネシアのコミュニティを今後拡げていきたい、そのために各地でMeetupを行っているなど、彼の努力と情熱が伝わってきて泣けてきそうでした。
彼はきっとまた日本にもう一度来てくれるでしょう。その時の再会を誓って別れをしてきました。
まとめ
本当に今回はいろいろなエンジニアと会話が出来ました。
おそらく参加者としてPGConfに行っていたなら、これほどコミュニケーションを取ろうという気持ちになっていなかったでしょう。スピーカーとして行った意味がここにあったのかなと今は感じています。
ただ、インプットだけでは何も生まれません。このポストも含めて、私が得たものを今後少しでも何かに繋げていけたらと思います。