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【Go言語】for文の奇妙な動作

Last updated at Posted at 2024-01-25

奇妙な動作をするfor文

まず、最初に奇妙な動作をするコードの例を出します。
以下のコードでは、for文の中でgoroutineを実行している。 main のgoroutineが終了するのを防ぐために sync.WaitGroup を使用している。 (sync.WaitGroupを知らない人はGoのWaitGroupを理解するを参考)

func main() {
	var wg = &sync.WaitGroup{}
	for i := 0; i < 10; i++ {
		wg.Add(1)
		go func() {
			fmt.Println(i)
			wg.Done()
		}()
	}
	wg.Wait()
}

Go Playground

これを実行すると、

実行結果
10
10
10
10
・・・・
10
10

i < 9 と設定しているので、出力されるのは9以下であるはずである。にもかかわらず、10が出力されて、ループは続行する。

ちなみに、JavaScript でも似たような事象を確認できる。以下コードでは、 setTimeout()という非同期メソッドを使っている。

for (var i = 0; i < 10; i++) {
  setTimeout(() => console.log(i))
}
実行結果
10
10
10
10
・・・・
10
10

解説

for文は、以下 3 つの主要なコンポーネントで構成される。

  • キーワードfor
  • たとえばi := 0; i < foo; i++のようなステートメント
  • ループする処理{}の中身

goroutineが生成されると、各ループでのスケジューリングのためにキューに入れられる。
一方、for文はgoroutineがスケジュールされて、実行される前に終了する。
for文の最後の実行では、forのステートメント自身はいつ停止する必かが分からない。したがって、i=9 のときでも、インクリメントされる。そして、i=10になると、for文のi < 10の結果が false になり、ループによる本体の実行が停止される。(下図参照)

image.png

この奇妙な動作は、Go言語だけではなく、C言語から派生したすべてのプログラミング言語に当てはまる。

Golang では、インデックス変数はポインタとして渡される。

先ほどの、JavaScriptの例では、古いvar宣言を使用していた。これは、Golang の var と同様にインデックス変数はポインタとして扱われる。
それに対して、letはループするごとに変数に更新された値をコピーする。(これをシャドーイングと呼ぶ)

以下はletで直した例である。

- for (var i = 0; i < 10; i++) {
+ for (let i = 0; i < 10; i++) {
  setTimeout(() => console.log(i))
}

setTimeout()は非同期であるが、マルチスレッドでは動かないので、0から順番に出力される。

実行結果
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9

Golangでは、以下のようにインデックス変数を goroutine の引数に渡すと解決できる。

var wg = &sync.WaitGroup{}
for i := 0; i < 10; i++ {
	wg.Add(1)
	go func(i int) {
		fmt.Print(i)
		wg.Done()
	}(i)
}
wg.Wait()

Go Playground

並行処理なので、順番は不順だが、0 ~ 9 までの数値が以下のように出力される。

実行結果
9
4
0
1
2
3
7
5
8
6

また、シャドーイングを使用しても、同じことができる。(mattnさんからコメントいただきました。ありがとうございます。)

func main() {
	var wg = &sync.WaitGroup{}
	for i := 0; i < 10; i++ {
+		i := i  // 外側のiをシャドーイング
		wg.Add(1)
		go func() {
			fmt.Println(i)
			wg.Done()
		}()
	}
	wg.Wait()
}

Go Playground

終わりに

Goの v1.22 でこのGolangの振る舞いについて、改善しつつあるらしいです。

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