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Claude + BigQuery MCPで個人データ分析基盤をサクッと作ってみた

Last updated at Posted at 2025-12-10

はじめに

2025年は「AIエージェント元年」として注目されています。2025年12月に公開された「データサイエンティスト スキルチェックリスト ver.6」にも「AIエージェント」が新たに追加されました。(https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-4959/)

今回は個人用途で作った「Claude + BigQuery MCP を活用した家計簿&健康分析エージェント」について、概要と使用感を紹介します。

なお、本記事はサンプルの個人データを用いていますが、BigQueryとMCPを用いた接続方式は、そのまま組織のデータ活用基盤のプロトタイプとしても評価可能です。AIエージェント元年と言われてはいますが、まだ多くの人が具体的なイメージを持てるユースケースが少ないのが現状です。実際に使ってみて、ダッシュボードとの違いという観点で考察します。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、人間の指示を受けて自律的にタスクを実行するAIシステムのことです。通常の対話型AIは「質問に答える」だけですが、エージェントは「外部ツールを使って目的を達成する」ことができます。

例えば、「先月の支出を分析して」と指示すると、MCPを介してデータベースにアクセスし、必要なデータを取得し、分析し、結果を返すまでを自動でやってくれたりします。

MCP(Model Context Protocol)は、ClaudeなどのAIがさまざまな外部ツール(データベース、API、ファイルシステムなど)と連携するための標準プロトコルです。MCPを使うことで、BigQueryやGitHubなど、さまざまなサービスにAIが直接アクセスできるようになります。

今回はこのMCPを使って、ClaudeをBigQueryに接続し、自分のデータを自然言語で分析できるエージェントを作りました。

作ったもの

家計簿分析エージェント

クレジットカードや銀行の取引明細をBigQueryに投入し、Claude(MCP経由)から自然言語で分析できるようにしました。

健康データ分析エージェント

スマートバンド(Fitbit)や体重計(Withings)のAPIから定期的にデータを取得し、同様にBigQueryに蓄積。こちらもMCP経由で分析できます。

技術的な構築方法は省略します(MCP ToolboxにあるBigQuery MCPサーバーを使えば設定は簡単です)。

なお、個人データ程度のデータ量であればBigQueryの従量課金コストは実質無視できるレベルですが、大規模データの場合は要考慮です。

ダッシュボードとエージェント、何が違ったか

家計簿も健康データも、もともとLooker Studioでダッシュボードを作っていました。エージェントを追加で作ってみて感じた違いを整理します。

1. ダッシュボードは「作成コストが高い」

当たり前ですが、ダッシュボードは事前に「何を見たいか」を決めて作る必要があります。

「月別の支出推移」「カテゴリ別の内訳」といった定番の切り口は一度作れば便利です。ただ、「先月だけ食費が高かった気がするけど、何が原因だろう?」みたいな疑問が浮かんだとき、それ用のグラフを追加するのは手間がかかります。

エージェントなら「先月の食費の内訳を出して」と聞くだけ。思いついた瞬間に答えが返ってきます。分析の精度も完璧ではありませんが実用レベルで、普段からデータ分析をしている人であれば結果を見て足りない観点を補完できるため、対話しながら深掘りしていくことができました。

2. 課題があいまいでも、それなりに返してくれる

ダッシュボードは「何を見るか」が明確なときに威力を発揮します。逆に言えば、「なんか最近お金使いすぎてる気がする」みたいな漠然とした状態では、どのグラフを見ればいいかわかりません。

エージェントに「この家計の課題を分析して」と漠然とした質問をしたところ、勝手に6つの課題を洗い出してくれました。※画面はサンプルデータです

image.png

「その他」項目が最大の支出になっていて管理できていない、コンビニでの少額支出が積み重なっている、など。自分で「何を見るか」を決めなくても、データから課題を抽出してくれます。

3. 思いもよらない切り口を提案してくれる

健康データで「この人の健康課題を分析して」と聞いたら、こんな結果が返ってきました。※画面はサンプルデータです

image.png

機械学習で「体脂肪率に影響する要因ランキング」を出したり、クラスタリングで「活動的な日」「座りがちな日」のパターン分析をしたり。SQLで集計するだけでなく、Pythonで機械学習まで回してくれます。

自分でダッシュボードを作るときは、自分が思いついた切り口しか作れません。エージェントは「こういう見方もできますよ」と提案してくれます。

使い分けについて

ダッシュボード エージェント
向いている場面 見るべき指標が決まっている 探索的に考えたい
作成コスト 事前に設計・構築が必要 不要(聞くだけ)
発見の幅 自分が設計した範囲内 予想外の切り口もあり

定点観測はダッシュボード、深掘りや探索はエージェント、という使い分けが良い気がします。分析自体のハードルを下げることができるのもエージェントの大きなメリットの一つです。

おわりに

AIエージェントを理解するには、使ってみるのが一番です。自分のデータで試すとその良し悪しがよくわかります。今回の構成はBigqueryにデータがあればClaudeに聞きながら1〜2時間で構築できるので、ぜひ試してみてください。

今回は個人データのため単一テーブルかつ小規模データでしたが、これを組織レベルに適用するには、複数テーブルの連携やメタデータの整備といった工夫が必要になるでしょう。

とはいえ、SQLを知らない人でも自由にデータを扱える未来は、すぐそこまで来ていると感じます。ダッシュボードを「眺める」だけでなく、データと直接「対話」して意思決定を行う。 そんな新しいデータ活用のスタイルが、これから当たり前になっていくかもしれません。

データラーニングギルドとは?

データラーニングギルド は、株式会社データラーニングが運営する、
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学びの共有・キャリア形成・横のつながりを大切にし、
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初心者から実務者まで、誰もが成長できる場づくりを目指しています。

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