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Golangで、デザインパターン「Memento」を学ぶ

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GoFのデザインパターンを学習する素材として、書籍「増補改訂版Java言語で学ぶデザインパターン入門」が参考になるみたいですね。
取り上げられている実例は、JAVAベースのため、Pythonで同等のプラクティスに挑んだことがありました。
Qiita記事: "Pythonで、デザインパターン「Memento」を学ぶ"

今回は、Pythonで実装した”Memento”のサンプルアプリをGolangで実装し直してみました。

■ Memento(メメント・パターン)

「Memento」という英単語は、「形見・記念」を意味します。
このパターンは、あるオブジェクトの任意の時点の状態を覚えておき(保存)、 後でその状態にオブジェクトを戻すための工夫を提供するパターンです。(カプセル化を破壊せずに、状態を元に戻せる)つまり、テキストエディタ等で実装されているような「アンドゥ」(操作をキャンセルして操作前の状態に戻す)機能を提供するためのパターンです。
注意すべきことは状態を元に戻すための必要最小限の情報(フィールド値)のみを保存すると言うことです。
(以上、「ITエンジニアのための技術支援サイト by IT専科」より引用)

UML class and sequence diagram

W3sDesign_Memento_Design_Pattern_UML.jpg
(以上、ウィキペディア(Wikipedia)より引用)

■ "Memento"のサンプルプログラム

実際に、Mementoパターンを活用したサンプルプログラムを動かしてみて、次のような動作の様子を確認したいと思います。なお、サンプルプログラム**「フルーツを集めていくサイコロゲーム」**は、次のような動作を想定するものとします。

  • このゲームは自動的に進みます
  • ゲームの主人公は、サイコロを振り、サイコロの目に応じて動作が決定します
  • ゲームの都度、現在の状況を表示します(所持金、所持しているフルーツ)
  • ゲームの開始時点では、所持金100円からスタート
  • 現時点の所持金が、保存しておいた所持金を上回った場合は、その状況(所持金と所持している"おいしいフルーツ")を保存します
  • 現時点の所持金が、保存しておいた所持金の半分を下回った場合は、以前に保存したその状況(所持金、所持している"おいしいフルーツ")を現在の状況として復元します
  • お金がなくなったら終了します。
  • 最大100回、ゲームを繰り返します

<サイコロの目に応じた動作>

  1. サイコロの目が"1"が出たとき、所持金が100円増えます
  2. サイコロの目が"2"が出たとき、所持金が半分になります(端数は、切り捨て)
  3. サイコロの目が"6"が出たとき、フルーツが貰えます
     (普通の**"フルーツ"が貰えるが、"おいしいフルーツ"**が貰えるか、確率は、50%です)
  4. その他のサイコロの目が出た場合は、何も起こりません
$ go run Main.go 
==== 0
現状:[money = 100, fruits = []]
所持金が増えました
所持金は200円になりました
      (だいぶ増えたので、現在の状態を保存しておこう)

==== 1
現状:[money = 200, fruits = []]
何も起こりませんでした
所持金は200円になりました

==== 2
現状:[money = 200, fruits = []]
何も起こりませんでした
所持金は200円になりました

==== 3
現状:[money = 200, fruits = []]
所持金が増えました
所持金は300円になりました
      (だいぶ増えたので、現在の状態を保存しておこう)

==== 4
現状:[money = 300, fruits = []]
フルーツ(リンゴ)をもらいました
所持金は300円になりました

==== 5
現状:[money = 300, fruits = [リンゴ]]
何も起こりませんでした
所持金は300円になりました


...(snip)


==== 33
現状:[money = 600, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう]]
所持金が増えました
所持金は700円になりました
      (だいぶ増えたので、現在の状態を保存しておこう)

==== 34
現状:[money = 700, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう]]
所持金が半分になりました
所持金は350円になりました

==== 35
現状:[money = 350, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう]]
フルーツ(バナナ)をもらいました
所持金は350円になりました

==== 36
現状:[money = 350, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう バナナ]]
所持金が増えました
所持金は450円になりました

==== 37
現状:[money = 450, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう バナナ]]
所持金が増えました
所持金は550円になりました

==== 38
現状:[money = 550, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう バナナ]]
所持金が増えました
所持金は650円になりました

==== 39
現状:[money = 650, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう ぶどう おいしいぶどう バナナ]]
所持金が半分になりました
所持金は325円になりました
      (だいぶ減ったので、以前の状態に復帰しよう)

==== 40
現状:[money = 700, fruits = [おいしいみかん おいしいぶどう おいしいぶどう]]
所持金が増えました
所持金は800円になりました
      (だいぶ増えたので、現在の状態を保存しておこう)

...(snip)

最後の方で、Mementoパターンを使った動作が確認できました。

■ サンプルプログラムの詳細

Gitリポジトリにも、同様のコードをアップしています。
https://github.com/ttsubo/study_of_design_pattern_with_golang/tree/master/Memento

  • ディレクトリ構成
.
├── Main.go
└── memento
    ├── game.go
    └── memento.go

(1) Originator(作成者)の役

Originator役は、自分の現在の状態を保存したいときに、Memento役を作ります。Originator役はまた、以前のMemento役を渡されると、そのMemento役を作った時点の状態に戻る処理を行います。
サンプルプログラムでは、Gamer構造体が、この役を努めます。

memento/game.go
package memento

import (
	"fmt"
	"math/rand"
	"strings"
	"time"
)

// Gamer is struct
type Gamer struct {
	fruitname, fruits []string
	money             int
}

// NewGamer func for initializing Game
func NewGamer(money int) *Gamer {
	return &Gamer{
		fruitname: []string{"リンゴ", "ぶどう", "バナナ", "みかん"},
		money:     money,
	}
}

// GetMoney func for fetching money in Gamer
func (g *Gamer) GetMoney() int {
	return g.money
}

// Bet func for betting
func (g *Gamer) Bet() {
	rand.Seed(time.Now().UnixNano())
	dice := rand.Intn(6) + 1
	if dice == 1 {
		g.money += 100
		fmt.Println("所持金が増えました")
	} else if dice == 2 {
		g.money /= 2
		fmt.Println("所持金が半分になりました")
	} else if dice == 6 {
		f := g.getFruit()
		fmt.Printf("フルーツ(%s)をもらいました\n", f)
		g.fruits = append(g.fruits, f)
	} else {
		fmt.Println("何も起こりませんでした")
	}
}

// CreateMemento func for creating Memento
func (g *Gamer) CreateMemento() *Memento {
	m := &Memento{money: g.money}
	for _, f := range g.fruits {
		if strings.HasPrefix(f, "おいしい") {
			m.addFruit(f)
		}
	}
	return m
}

// RestoreMemento func for restoring from Memento
func (g *Gamer) RestoreMemento(memento *Memento) {
	g.money = memento.money
	g.fruits = memento.GetFruits()
}

// Print func for printing current value in Gamer
func (g *Gamer) Print() string {
	return fmt.Sprintf("[money = %d, fruits = %s]", g.money, g.fruits)
}

func (g *Gamer) getFruit() string {
	prefix := ""
	if rand.Int()%2 == 0 {
		prefix = "おいしい"
	}
	return prefix + g.fruitname[rand.Intn(len(g.fruitname))]
}

(2) Memento(記念品)の役

Memento役は、Originator役の内部情報をまとめます。Memento役は、Originator役の内部情報を持っていますが、その情報を誰にでも公開するわけではありません。
サンプルプログラムでは、Memento構造体が、この役を努めます。

memento/memento.go
package memento

// Memento is struct
type Memento struct {
	money  int
	fruits []string
}

// GetMoney func for fetching money in Memento
func (m *Memento) GetMoney() int {
	return m.money
}

func (m *Memento) addFruit(fruit string) {
	m.fruits = append(m.fruits, fruit)
}

// GetFruits func for fetching current fruits list in Memento
func (m *Memento) GetFruits() []string {
	return m.fruits
}

(3) Caretaker(世話をする人)の役

Caretaker役は、現在のOriginator役の状態を保存したいときに、そのことをOriginator役に伝えます。Originator役は、それを受けてMemento役を作り、Caretaker役に渡します。
Caretaker役は将来の必要に備えて、そのMemento役を保存しておきます。
サンプルプログラムでは、startMain関数が、この役を努めます。

Main.go
package main

import (
	"fmt"
	"time"

	"./memento"
)

func startMain() {
	gamer := memento.NewGamer(100)
	memento := gamer.CreateMemento()

	for i := 0; i < 100; i++ {
		fmt.Printf("==== %d\n", i)
		fmt.Printf("現状:%s\n", gamer.Print())
		gamer.Bet()
		fmt.Printf("所持金は%d円になりました\n", gamer.GetMoney())

		if gamer.GetMoney() > memento.GetMoney() {
			fmt.Println("      (だいぶ増えたので、現在の状態を保存しておこう)")
			memento = gamer.CreateMemento()
		} else if gamer.GetMoney() < memento.GetMoney()/2 {
			fmt.Println("      (だいぶ減ったので、以前の状態に復帰しよう)")
			gamer.RestoreMemento(memento)
		}

		time.Sleep(time.Second * 1)
		fmt.Println("")
	}
}

func main() {
	startMain()
}

■ 参考URL

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