はじめに
メインフレームを継続的、かつ、効率的に活用していくには、"モダナイゼーション"していくことは避けられないと考えています。
当記事では、新しい技術を取り入れ、モダナイゼーションを行っていく前提でメインフレームを使っていく際にメインフレーム担当者として今後必須となるであろうスキルについて考えていきます。
関連記事
メインフレーム担当者の必須スキルを再考する - (1)背景
メインフレーム担当者の必須スキルを再考する - (2)モダナイゼーションのベースとなるオープン技術
メインフレーム担当者の必須スキルを再考する - (3)ケーススタディ
参考記事
z/OS技術者が学ぶべきオープンな技術 ~USSの活用~
少し前に上のような類似記事を書いたことがありますが、当記事はこちらを別の観点から改めて整理しなおしたものという位置づけです。
背景
Hybrid by Design とメインフレーム
IBM では Hybrid Cloud / AI を軸にイノベーションを推進しています。近年は特に Hybrid by design(全体最適を見据えて意図的にハイブリッドを設計する)という考え方を強く打ち出しています。
- Hybrid by default: 局所最適の結果、クラウド/オンプレにサイロ化されたシステム
- Hybrid by design: 全体最適を前提に、意図的にプラットフォームを使い分ける設計
オンプレミスの代表格である IBM Z(メインフレーム) は、ミッションクリティカル領域を支える中核として今後も重要です。例えば 「IBVレポート「デジタル変革の中枢を担うメインフレーム」(日本語版)」では、
- 世界のトランザクション・ワークロードの多くを処理し続けること
- 高可用性(エイトナイン)を達成可能であること
- 経営層がメインフレームをDX・AI主導のイノベーションの基盤として重視していること
などが示されています。
一方で、
- デジタル変革
- AI 活用
- 人材確保・育成
という観点から モダナイゼーションは不可避 です。
IBM Z における「モダナイゼーション」の考え方
ここで重要なのは、
モダナイゼーション ≠ メインフレームからの脱却
という点です。
IBM Z のモダナイゼーションは、
- 既存の z/OS 資産を活かしつつ
- オープン技術・クラウドネイティブ技術と組み合わせる
という 適材適所 のアプローチです。
ガートナーの言う New オンプレミス の考え方とも一致しており、
- オンプレかクラウドか、の二者択一ではない
- オンプレでもクラウドネイティブに進化する
という方向性になります。
DX の観点だけでなく、人材確保・育成の観点でも、旧来型の印象を更新し、オープン系技術者/若手技術者が関わりやすい形にしていくことは非常に重要だと考えています。
モダナイゼーションの1つの側面
"メインフレームのモダナイゼーション"と言った時には、やはり既存の資産ありきで、それをどう新しい技術を使って活用するかという話になります。
既存の資産というのは旧来からのメインフレーム独自の仕組みややり方に依存する部分が非常に多いと思います。
そのメインフレーム固有の作法ややり方をここでは "特異性" と表現していますが、この特異性があることでオープンな世界との間に壁が生じてしまっていたと思います。
ですが、現在ではそのやり方のバリエーションがかなり増えてきていて、特に接続性やUI部分にはオープン系の技術が活用できるようになってきています。
メインフレームでもできるだけオープンな技術を使うことで、オープン系の環境との連携という観点だけでなく、オープン系技術者や若手技術者を取り込みやすくなるということにもつながると考えられます。
モダナイゼーションのソリューションに共通して言えることは、この壁を引くくするために、メインフレーム特有の世界とオープンな世界の橋渡しをする、という側面があると考えています。
本記事では、モダナイゼーションの重要な要素を
“特異性という壁を低くすること”
と捉え、そのために必要なスキルに焦点を当てます。
新しい技術に対する継続的トラッキングの重要性
ここで少し、技術そのものというより 「技術の継続性」 について補足します。
新しい技術は、単体で突然生まれるというより、複数の技術スタックの積み重ねで成立することが多いです。身近な例として、スマホの電子決済を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
スマホにまだ馴染めていない人が"便利そうだから電子決済使いたい" と思っても
- QR コード方式/NFC(Felica)方式
- プリペイド/ポストペイ
- アプリ連携、クレカ紐づけ
- Android/iOS
- インターネット利用に伴うセキュリティー
……など、背景には多層の技術があり、すべてに馴染みがない状態だと 1 から仕組みを理解するのは大変です。
同様に、メインフレーム領域でも「AI を使いたい」「クラウド連携したい」となった瞬間に、
- どこをクラウドでやるのか
- OSS をどう組み込むのか
- セキュリティ構成はどうするのか
といった 関連技術スタックの理解 が一気に必要になります。
利用者側の立場で言えば必ずしもバックエンドの仕組みを理解している必要はありませんが、"仕組みを作って提供する側"の立場で言えば、周辺技術を「メインフレームとは無関係」として遠ざけていると、いざ何か新しい技術を適用しようとしたときに大きなハードルになりかねません。
もちろん、モダナイゼーション関連ソリューションは多岐にわたり、すべてを網羅的に追うのは現実的ではありません。そこで着目したいのが、さまざまな場面で共通して登場する “共通項” です。経験上、その共通項になりやすいのが
- REST(API による接続)
- SSH(シェルによる接続)
であり、これらのベースとなるコンポーネントが z/OSMF と USS になるであろうと考えています。
次の記事では、z/OSMF, USSについて見ていこうと思います。




