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ManusでGoogle Maps Grounding Lite MCPを使う

Last updated at Posted at 2025-12-18

はじめに

本記事では、ManusGoogle Maps Grounding Lite MCP(Model Context Protocol) を組み合わせて、

「AI に地図を“覚えさせる”のではなく、必要なときに“正しい地図情報を取りに行かせる」

という考え方を、できるだけやさしく説明します。

Manus や MCP を初めて触る方でも、「なるほど、そういう仕組みか」と なんとなくイメージが理解できる ことを目標にしています。

本記事の記載内容の各項目については、単なる操作手順ではなく、

  • なぜ MCP を使うのか
  • Grounding Lite が何を保証しているのか
  • Manus が内部でどう振る舞うのか

の概要をできるだけわかりやすく説明することを意識しました。

1. 背景:なぜ「地図 × AI」は意外と難しいのか

従来、LLM に地理情報を扱わせる方法は以下のいずれかでした。

  1. 事前学習に依存(=情報が古い/曖昧)
  2. 独自に Maps API を直接呼ぶコードを書く
  3. 検索結果を人間が要約して渡す

この方法には共通の問題があります。

  • データの鮮度・正確性が保証できない
  • API ごとに 認証・スキーマ・レスポンス形式がバラバラ
  • LLM が「どこまでが事実で、どこからが推論か」を区別できない

ここで登場したのが Model Context Protocol(MCP) です。

2. Model Context Protocol(MCP)とは何か

MCP とは、

LLM と外部ツール・データソースを安全に接続するための共通プロトコル

です。

2.1 MCPの基本構造: APIを直接触らせない仕組み

MCP では、外部サービスは次の3点を定義します。

  • tools:LLM が呼び出せる操作
  • input schema:引数の構造(JSON Schema)
  • output schema:戻り値の構造

LLM は「API を直接呼ぶ」のではなく、

「このツールを、この引数で使いたい」

という宣言的な呼び出しを行います。

2.2 MCPがもたらすメリット

  • APIキーやエンドポイントを モデルに渡さなくてよい
  • レスポンスが 構造化されているため誤解釈しにくい
  • 「推論」と「事実取得」が明確に分離される

この設計思想は、Grounding(事実に基づく回答) を実現するための基盤です。

3. Google Maps Grounding Lite MCP の位置づけ

3.1 Grounding Lite とは: "知っている"ではなく"聞きに行く"

Google Maps Grounding Lite は、

  • Google Maps Platform の最新データ
  • MCP 仕様に準拠したツール定義

を組み合わせた 公式 MCP サーバー です。

LLM は以下のようなツールを利用できます。

ツール名 内容
search_places 周辺施設・スポット検索
compute_routes 徒歩・車などの経路計算
lookup_weather 指定地点の天気情報取得

重要なのは、

LLM が「地図を知っている」のではなく、必要なときに Maps に問い合わせている

という点です。

4. Manus と MCP の接続アーキテクチャ

4.1 データの流れ

[User]
  ↓ 自然言語
[Manus Agent]
  ↓ (tool call)
[MCP Connector]
  ↓ HTTPS
[Google Maps Grounding Lite MCP]
  ↓
[Maps Platform]

Manus は MCP クライアント として振る舞い、外部の MCP Server(今回は Google)と通信します。

4.2 Manus MCP Connector の役割

Manus 側で行っていることは次の通りです。

  • MCP Server のエンドポイント管理
  • 認証ヘッダの付与
  • tool schema のキャッシュ
  • LLM が出力した tool call の検証

LLM 自身は APIキーもURLも知りません

5. Google Cloud 側の準備

5.1 API 有効化

Google Cloud Console で以下を有効化します。

  • Maps Platform
  • Maps Grounding Lite API

Grounding Lite は通常の Places API などとは別のエンドポイントとして扱われます。

APIキーの取得方法

  1. Google Cloud Consoleにアクセス
  2. プロジェクトを選択または新規作成
  3. 「APIとサービス」→「ライブラリ」で Maps Grounding Lite API を検索して有効化
  4. 「APIとサービス」→「認証情報」→「認証情報を作成」→「APIキー」
  5. 作成されたAPIキーをコピーして「カスタムヘッダー値」に貼り付け

5.2 認証方式

現時点では API Key 認証 が基本です。

  • HTTP Header: X-Goog-Api-Key
  • IP 制限 / Referer 制限を推奨

OAuth は不要で、サーバー to サーバー前提の設計です。

6. Manus での MCP Connector 設定

6.1 Connector 定義

Name: gmaps-grounding-lite
Endpoint: https://mapstools.googleapis.com/mcp
Headers: X-Goog-Api-Key: ${GOOGLE_MAPS_API_KEY}

ここで重要なのは、

  • Manus が MCP Server と直接通信している
  • LLM のプロンプトには API Key が一切含まれない

という点です。

6.2 ManusのカスタムMCP設定

上記の内容をManusのカスタムMCP設定画面の各項目に以下のように入力します。

MCP設定 入力内容

項目 入力値
サーバー名 Google Maps Grounding Lite
トランスポートタイプ HTTP(そのまま)
アイコン(オプション) 空欄のままでOK(または任意のアイコンURL)
注意(オプション) 下記参照
サーバーURL https://mapstools.googleapis.com/mcp
カスタムヘッダー名 X-Goog-Api-Key
カスタムヘッダー値 APIキー(Google Cloud Consoleで取得したもの )
注意(オプション)欄の入力例
Google Maps Grounding Lite MCPサーバー。場所検索(search_places)、天気検索(lookup_weather)、ルート計算(compute_routes)の3つのツールを提供。試験運用版のため無料。Google Mapsのソース帰属表示が必要。

実際の設定画面への入力イメージは以下です。

MCP設定例.png

7. MCP ツール呼び出しの内部挙動

7.1 search_places の例

LLM が内部的に生成する tool call(イメージ):

{
  "tool": "search_places",
  "arguments": {
    "query": "イタリアン レストラン",
    "location": {
      "lat": 43.0621,
      "lng": 141.3544
    },
    "radius_meters": 800
  }
}

Manus はこれを MCP Server に転送し、構造化レスポンスを受け取ります。

7.2 LLM の役割分担

  • Maps:事実データ
  • LLM:要約・順位付け・自然言語化

この分離が hallucination を抑制します。

8. 実用プロンプト設計のコツ

8.1 明示的に MCP 利用を指示する

札幌大通駅周辺で評価の高いイタリアンを5件。
Google Maps Grounding Lite MCP を使用すること。

8.2 LLM に判断させすぎない

  • 距離
  • 評価
  • 件数

具体的な数値で指定 すると使用クレジットの無駄な消費が減ります。

9. 制限・注意点

Grounding Lite は現時点では "pre-Genaral Access" です

  • クエリ数制限あり
  • Google Maps 利用規約に基づく

商用利用時は必ず規約を確認してください。


10. まとめ

Manus × Google Maps Grounding Lite MCP は、

  • 「AI が地図を知っている」状態を作るのではなく
  • 「必要なときに、正規の地図データを参照する」

という、理想とする AI × 実世界連携の形を提供します。

MCP を理解すると、

  • Maps
  • カレンダー
  • 社内DB

など、あらゆる外部情報を 安全に LLM と接続できるようになります。

Manus は 各種サービスとのコネクタを実装しており、実験・実装のための非常に良いプラットフォームです。


本記事は、Manus で実際に実行したタスクを元にまとめてもらったい内容をベース筆者が加筆・修正をしました。

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