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NTTコミュニケーションズAdvent Calendar 2020

Day 25

【12/24にGitLab対応!】テキストで自在に「描く」- KrokiではじめるDiagram as Code

Last updated at Posted at 2020-12-25

これは、 NTTコミュニケーションズ Advent Calendar 2020 25日目の記事です。
昨日は @tnoyama さんの「TEKTONとArgoを比較してみた」でした。お楽しみいただけましたか?

Krokiとは

本記事では、テキストからの図表生成ツール Krokiを紹介します。最新バージョンは0.9.0です。

概要

Kroki!は、テキストから統一的なAPIで、

  • UML
  • C4
  • データ可視化
  • その他図表

を、PNG, SVG, JPG等でレンダリングしてくれます。

対応するのは実に30種以上。何を言っているのかわかりませんが、本当です。例えば以下のダイアグラムに対応しており、対象もまだ増えています。つい先日12/22に、Excalidrawに対応しました :tada:

image.png

https://kroki.io/examples.html より一部改変

利用できる環境、プラグイン

Krokiは、以下2つの方法で使えます。

  • Dockerコンテナをローカルやプライベート環境で動かす
  • 無償のWeb API(kroki.io)を使う

ここ2年程アクティブなプロジェクトに見え、2019年3月にはHacker Newsに登場していました。最近も様々な所で、対応が進んでいます。

中の人(Guillaume Grossetie氏)によると、kroki.ioでの図表生成数も、3月には4万だったが、9月には25万まで伸びたとのこと。その後、11月には60万に達したとされています。まさに倍々ゲーム。内数も、各描画エンジンの人気度を示していて、面白いです。

上記に加え、様々なプロジェクトのIssueやPRに、Kroki対応を論じるスレッドがあり、まだ広がりを見せそうです。

何が嬉しいか

活用すると、インラインテキスト記述で図表混じりの文書を簡単に作り、gitで管理できます。また、Krokiの対応エンジンを眺めると、「こんなものもあったのか!」と楽しい発見があります。構造を規定するだけで図表が出来るので、思考がそのまま投影される心地よさもあります。

まだ日本語での紹介は多くないため、知るきっかけになりましたら!

リモートワークと「図表」のありがたみ

2020年といえば、コロナ禍における働き方の変化がありました。弊社も、先日リモートワークハンドブックをリリースし、反響をいただきました。

リモートワークが進むと、「同じ時間・同じ場所」で、「相手の表情を見ながら」話す以上に、卓上、ホワイトボード上で、描かれた「形」「位置」「図表」を共有しながら話すありがたみを感じます。

「同じ時間・違う場所」「違う時間・違う場所」へのコミュニケーションの軸足が移ると共に、「形」「位置」「図表」をどう効率的に扱えば良いかと考えます。従来の手描きメモの代わりに、JamboardとiPad Pro、またはペンタブレット。スティッキーノートワークの代わりに、Miroを使うことが増えました。

ただ、継続的に、「違う時間・違う場所」の人に物事を伝えるには、文書と共に、図表も推敲と更新を続ける必要があります。文書と図表を、一緒にリポジトリ管理しておきたくなるものです。一定表現が決まっているもので、テキストからの生成が簡便なら、ドラフト時からも使えます。

そこで選択肢に上がるのが、テキストからの図表生成です。

テキストからの図表生成とKroki

テキストからの図表生成といえば、下図のように、古くはGraphviz、それを描画に活用するPlantUML、mermaid.jsなど、D3.jsを描画に使うJavaScriptライブラリなどがあります。他にWebSequenceDiagramのように、オンラインのWYSIWYGエディタが提供されているものもあります。

image.png

図表は上記公式サイトから引用

ただ、以前から環境のセットアップの問題がありました。Sublime TextやAtom等から始まり、VSCodeのプラグイン、TyporaというMarkdownエディタなど、PlantUMLやmermaid.jsを扱えるものは出てきたものの、対象の図表は限られます。
オンラインのエディタは便利に使えるものの、社内に閉じて使いたい情報はアップロードできないこともあります。

そんな課題を解決しつつ、様々な図表を全部入りで使えるのがKrokiです。

  • すぐ使える
    図表ライブラリは様々な言語で書かれています。Haskell, Python, JavaScript, Go, PHP, Javaなどです。ただ信じてください、全部インストールして準備するくらいなら、他のことに時間を使いましょう。krokiなら、すぐに始められます。

  • シンプル
    すべてのダイアグラムライブラリに統一のAPIを提供します。一度学んだら、色々な場所の応用できます。

  • フリー&オープンソース
    コードはすべてGitHub上で公開され、Krokiを無料提供することが目標です。

  • 速い
    モダンなアーキテクチャを使い、パフォーマンスに優れています。

https://docs.kroki.io/kroki/features/ より翻訳・要約

krokiが扱える図表

UML、C4、その他図表、データ可視化などが扱えます。

UML

UMLについて、各図表の説明は不要でしょう。主にPlantUMLでカバーしています。

  • ブロック図
  • シーケンス図
  • アクティビティ図
  • ネットワーク図
  • ユースケース
  • クラス図
  • 状態遷移図
  • オブジェクト図
  • デプロイメント図
  • タイミング図
  • ER図

C4

C4は、アジャイル時代に最適なソフトウェアアーキテクチャの記述方法です。C4は、それぞれコンテキスト、コンテナ、コンポーネント、コードの4つを指し、UMLほど細かかったり、複雑にならずに描けます。ソフトウェアアーキテクチャのためのC4モデルに、詳しい解説があります。

  • C4 コンテキスト図
  • C4 コンテナ図
  • C4 コンポーネント図

その他のダイアグラム

発想を助けるマインドマップ、WBS, ガントチャートといったプロジェクト管理のための図表、ビジネスプロセス記法であるBPMNから、ハードウェアの世界で使うデジタルタイミング図、ネットワークのパケットを定義するパケット図、ラック搭載図まで、ここにはドメインごとに、多種多様の図表があります。

  • マインドマップ
  • WBS
  • ガントチャート
  • BPMN図
  • オブジェクト指向グラフ
  • パケット図
  • ラック搭載図
  • デジタルタイミング図(波形)
  • バイトフィールド図
  • Excalidraw

データ可視化

簡単なデータ可視化を挿入したいなら、Vega, Vega-liteをKroki経由で使うことができます。棒グラフ、折れ線グラフなど一般的なものから、ヒートマップ、ワードクラウドまで対応しています。

  • 棒グラフ
  • 折れ線グラフ
  • 円グラフ
  • 散布図
  • 地図
  • ツリー
  • ネットワーク
  • ヒートマップ
  • ワードクラウド
  • ビースウォーム

Krokiが対応する描画エンジン

krokiの実態は、様々なテキストからのダイアグラム生成エンジンへのゲートウェイです。以下のエンジンに対応しています。「いくつか見たことがある!使ったことある!」という方も多いのではないでしょうか。
image.png

出典: https://kroki.io/#support

使ってみる

まずWebから触る

https://kroki.io/#try のプルダウンから、様々な図表の種類をブラウズしてみましょう。左にテキスト記述、右にAPIで動的に生成された図表が表示されます。

image.png

色々な実例と記法を見る

次に、Kroki Examplesから、実例を確認し、生成を試してみましょう。

image.png

GitLabで使う

GitLabは公式にインテグレーションされています。AdminがKrokiとの連携設定を行えば、すぐに使えます。設定で、セルフホスト、開発元提供の無償APIサービス kroki.ioのいずれも選べます。ただし、GitLab.comでは、まだ現状は使えません。

静的サイトジェネレータで使う

静的サイトジェネレータでは、以下のプラグインがあるようです。セルフホスト、kroki.ioのいずれも選べます。

Wiki、ドキュメンテーションサイトで使う

以下、それぞれプラグインが提供されています。Antoraは、Kroki自体のドキュメントサイトに採用されています。同じく、セルフホスト、kroki.ioのいずれも選べます。

Juliaで使う

Kroki.jlを使うと、Documenter.jlやJupyterで使えます。セルフホスト、kroki.ioのいずれも選べます。
開発のモチベーションを示したJuliaCon 2020 Joris Kraak氏のLT資料も上がっていました。以下に抜粋します。

image.png

VSCodeプラグインで使う

プラグインを使い、インラインに記述することで、図表混じりの文書を容易に作れます。以下それぞれ、デフォルトではkroki.ioを使います。

image.png

記法について

図表生成のAPIは統一されていますが、元々は図表生成エンジンの寄せ集めであるため、生成したい図表ごとの、簡単な文法には習熟する必要があります。それらは各エンジンの公式ドキュメント等を参照します。

image.png

大きくわけて、上図にあるように、3カテゴリの記法があります。

  • アスキーアート系
  • 要素記述系
  • データ可視化系

基本は、要素記述系であり、

  • グラフ構造であればノードとリーフをどのようなネスト構造で規定する
  • それぞれの要素に見た目のアレンジを加えていく

という構造をしています。

どの図表も数回書けば頭に入る、またはテンプレートを元に容易に書き始められるものです。

Kroki以外のDiagram as Codeやその先とのつながり

図表は、UML、C4、プロジェクト管理といった領域に止まりません。私はビジュアルプログラミングまで含め、可視化全般が好きなので、Kroki「以外」の領域を、勢い余って紹介します。

クラウドコンピュータアーキテクチャ

diagramsを使うと、様々なクラウドアーキテクチャダイアグラムを、Python/ Graphvizレンダリングで記述できます。

数学関連の図表

SIGGRAPH2020で、Penrose: from mathematical notation to beautiful diagramsというプロジェクトが発表されました。論文の中身も、Haskellベースという実装も面白いです。
参考: 数式からいい感じに図表が生成できてしまう! Penroseを試す (SIGGRAPH 2020) - Qiita

データ可視化

Vega-liteの豊富な事例がここに、Observableで紹介されています。
参考: 【JS/ Python両方OK!】「データ可視化」が歴史から実装まで体系的に学べるStanford講座の独習ノート - Qiita

ネットワーク可視化

前述のネットワーク「構成」図ではなく、ノードとエッジから成る、抽象化されたネットワークの表現方法です。Cytoscape.jsがおすすめです。

地図などGIS可視化

Mapbox GLのように、WebGLを生かし、地図表示フレームワークが進化しています。Uber発のdeck.glは、そこに大規模データを簡単に重畳表示、可視化できます。

手描き図表とDiagram as Codeを繋ぐアプローチ

Structurizrは、テキストからの図表生成と共に、手描き図表へのアノテーション、レビュー機能を有しています。どこまでを手描きで済ませる、どこまでをちゃんとした図表とするか、といった境界の難しさへの一つの解決方法です。

コードの構造、フロー可視化

Sourcetrailのオープンソース化は話題となりました。ソースコードから、ブラウズしやすく、ライブラリの依存関係などの可視化を生成します。図表とコードを行き来できます。また、言語特化では、Rにflowというライブラリがあり、処理フローを可視化し把握しやすくしてくれます。これに類するものとしては、深層学習系でのモデル構造可視化も挙げられます。

それ以外のリスト

Online Text to Diagram Tools_Github - MdEditorに、こちらでの紹介と重なるものもありますが、網羅的なリストがあります。

ビジュアルプログラミング

ここまでは、テキストやコードからの図表生成でした。逆に「図表」「ダイアグラム」からコードを生成する、というアプローチがあります。ビジュアルプログラミングです。

image.png

出典: ビジュアルプログラミング言語を俯瞰する(ScratchからNode-RED、TouchDesignerやIFTTTまで) - Qiita

余談

開発元は、アイコンも可愛らしい「ゆずテック」 https://github.com/yuzutech というフランスの会社です。つられてKrokiも「黒木?」とぼんやり読んでたら、「クロッキー(速描)」のことみたいです。

数多くのエンジンのゲートウェイ的な機能を提供しているため、困難な点が出てくるかもしれません。ただ、今のところ各エンジンのバージョン追随等、こまめにメンテナンスされている様子がGitHubのPRからも伺えます。

永く続くプロジェクトになるよう、利用者の立場でも支援をしていきたい所です。

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