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この記事はKCS Advent Calendar 2025の11日目の記事です。

10日目

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12日目

はじめに

今年、前期と後期でCG-ARTS検定をあわせて4科目受けたので、各科目の感想と個人的に良さそうだと思う対策などについて書きたいと思います。
受けたのは以下の4科目です。

  • CGクリエイター検定 エキスパート(前期)
  • CGエンジニア検定 エキスパート(前期)
  • 画像処理エンジニア検定 エキスパート(後期)
  • マルチメディア検定 エキスパート(後期)

この記事が今後受ける人の参考になれば幸いです。

自己紹介

情報工学科 3年
数学検定1級、応用情報技術者試験 合格済
KCSでは昨年度ゲーム開発班と競プロ班の班長として活動、CG班にも所属 Blenderが少し扱える

去年の記事:【Blender】はじめての本格的なモデリングがキャラクターモデリングだった人の奮闘記

CG-ARTS検定とは

CG-ARTS検定とは、公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が主催する画像情報分野に関する検定で、以下の5検定に分かれています。

  • マルチメディア検定
  • CGクリエイター検定
  • Webデザイナー検定
  • CGエンジニア検定
  • 画像処理エンジニア検定

また、各検定ごとにベーシックとエキスパートの2段階の難易度が用意されています。

CG-ARTS検定は毎年前期と後期の2回開催されており、各回において各難易度の試験を最大で2科目ずつ受けることができます。なので、全科目のエキスパートを合格しようとすると最低1年半はかかります。長いです。

なお、5科目に分かれてはいるものの、全科目共通の著作権に関する問題があります。あとで詳しく述べます。

以降は各検定のエキスパートについて述べます。

合格条件について

公式サイトを見ると、100点満点中70点以上で合格と記載されています。ただし、配点は公表されていない上に、どの検定の問題数も100の約数ではありません。そのため全体の7割の問題に正解しても合格確定とは言えませんが、7割は一つの指標であるとは思えます。7割の正解数を合格のボーダーとする場合、以下の正解数で合格といえます。なお、2025年度の問題数を基準とします。年度が違うと問題数が違うかどうかは知りません。

  • CGクリエイター検定、CGエンジニア検定、Webデザイナー検定:28問/40問
  • 画像処理エンジニア検定、マルチメディア検定:29問/41問

ただし、上で述べたように配点が不明であるため、この問題数はあくまで基準です。

受験経緯

今年になるまでは受ける気はなかったうえに、試験の存在すらほとんど知りませんでしたが、3年春にCG-ARTS検定の合格による加点制度のある授業があったため受けました。
また、秋にも春の授業の続編があり、CG-ARTS検定の合格による加点制度もありましたが、春に2科目受かっていたため合否によらず加点があるということで気楽に受けられました。

各科目の体験記

ここから、各科目の詳細などについて書きたいと思います。なお、各科目の出題内容については自分が受けた回のものを記載しているため、もしかしたら毎回同じではないかもしれません。

著作権

前期:1問/4問
後期:2問/4問(自己採点)

全科目の共通問題です。第1問に配置されています。
前期は結構低い点で合格していますが、共通問題なので2科目受ける場合は与える影響が大きくなります。一番対策したほうが良いと思います。

なお、以降の自分の正解数にはこの著作権問題の正解数が含まれています。

CGクリエイター検定

前期受験
31問/40問 合格

CGクリエイター検定とは

公式サイトには以下のように記載されています。

CGクリエイター検定

デザインや2次元CGの基礎から、構図やカメラワークなどの映像制作の基本、モデリングやカメラワークなどの3次元CG政策の手法やワークフローまで、表現に必要な多様な知識を測る検定です。

CGクリエイターという名前の通り、実際にCGを作るうえで必要な知識が問われる検定だとわかります。そのため、実際にBlenderなどをよく触っている人なら簡単に合格できるらしいですが、自分はそうではないので普通に対策しました。

試験内容

第2問:モデリングに関する問題
第3問:マテリアルに関する問題
第4問:リギングとアニメーションに関する問題
第5問:ライティングとレンダリングに関する問題
第6問:合成(コンポジット)に関する問題
第7問:写真撮影に関する問題
第8問:動画撮影とカラーコレクションに関する問題
第9問:映像編集に関する問題
第10問:リアルタイムCGに関する問題

全体的に語句問題がとても多いです。加えて、語句問題とは言え、単純に語句を問うだけではなく、「左の画像のようなシーンを作成した。右の画像のシーンのように修正したい。どの手法を使えば良いか?」のような問題が多いため、単純に語句を知っているだけでは正解できないです。

行った対策

以下の本を最後まで読みました。
https://www.cgarts.or.jp/books_detail/ecc_1/

感想

全体的に要求知識が多く、難しく感じました。
ただ、問われる知識の範囲は上に挙げた本に載っている内容のみだったため、上の本を読んだうえで、登場した語句を全て意味とともに把握することができれば受かると思っています。
また、上で述べたように実際のCG制作を行う場合に用いる手法を問う問題も多いため、実際にBlenderを触ってCGに触れることも役に立つと思います。普段からBlenderを触っている人がほとんど対策せずに受かることができるというのも、試験を受けると納得できます。

CGエンジニア検定

前期受験
33問/40問 合格

CGエンジニア検定とは

公式サイトには以下のように記載されています。

CGエンジニア検定

アニメーション、映像、ゲーム、VR、ARアプリなどのソフトウェア開発やカスタマイズ、システム開発を行うための知識を測る検定です。

CGクリエイター検定よりもCGの内部での処理が問われる試験です。後で述べますが計算が速い人に有利な試験です。

試験内容

第2問:3次元座標変換に関する問題
第3問:モデリングに関する問題
第4問:モデリングに関する問題
第5問:レンダリングに関する問題
第6問:レンダリングに関する問題
第7問:アニメーションに関する問題
第8問:画像処理に関する問題
第9問:ノンフォトリアリスティックレンダリング(NPR)と可視化に関する問題
第10問:CGシステムに関する問題

CGクリエイター検定よりも語句問題は少ないですが、その代わりに計算が要求される問題が多いです。CGクリエイター検定とタイトルが同じ大問がいくつかありますが、内容は結構違います。
数式が提示され、それを踏まえて考える問題が多いです。

行った対策

なし

感想

要求される知識はCGクリエイター検定で問われる知識に含まれているものが多いので、案外対策はしなくても高得点が取れます。ただし、行列の掛け算の計算や、まれに高校数学・物理が問われることもあるので、ここら辺ができない場合は対策が必要です。
また、全体的にいったん冷静になって考えれば解けるもんだも多い印象です。アニメーションに関する問題に多いです。
なお、自分はアニメーションの最初のフレームが0フレーム目だと思って問題を解いてしまい、第7問を全て落としてしまったので、これから受ける人はしっかり問題文を読みましょう。

加えて、これは画像処理エンジニア検定などで問われる問題についても言えることですが、行列の積で画像などを移動させる問題は、画像中で何点か決めて動きを追いかけることでも解けます。回転行列を覚えたほうがはやいですが、検算には役に立ちます。

第10問のCGシステムに関する問題は、CGに関する問題というよりもコンピュータ全般に関する問題に近いです。そのため、ここは対策しづらいです。

画像処理エンジニア検定

後期受験
29問/40問(自己採点) 結果待ち

画像処理エンジニア検定とは

公式サイトには以下のように記載されています。

画像処理エンジニア検定

工業分野、医用、リモートセンシング、ロボットビジョン、交通流計測、バーチャルスタジオ、画像映像系製品などのソフトウェアやシステム、製品などの開発を行うための知識を測る検定です。

上2つの試験とは異なり、いわゆるCGよりもさらに深い部分にある、画像処理の分野に関する試験です。CGエンジニア検定よりもさらに数式が多いです。

試験内容

第2問:画像の撮影と色空間に関する問題
第3問:デジタル画像の撮影に関する問題
第4問:画素ごとの濃淡変換と空間フィルタリングに関する問題
第5問:周波数領域におけるフィルタリング処理に関する問題
第6問:幾何学的変換と応用例(イメージモザイキング)に関する問題
第7問:2値画像処理に関する問題
第8問:パターン、図形、特徴の検出とマッチングに関する問題
第9問:動画像処理に関する問題
第10問:画像符号化に関する問題

画像処理エンジニア検定というくらいなので、画像処理に関する問題がほとんどです。色に関する問題が多いです。
数式を提示してくれる問題も多いですが、数式のみで正解するのは難しいです。
また、第6問など、CGエンジニア検定と似たような問題が出る大問もあります。
第10問の画像符号化に関する問題は、一般的な符号化に関する問題が多いです。

行った対策

以下の本を読みましたが、最後まで読み切れませんでした。
https://www.cgarts.or.jp/books_detail/eip_2/

感想

難しいです。
対策しきれなかったのもあるでしょうが、知識を踏まえて考えないと解けない問題が多い点が辛かったです。
上にも書きましたが色に関する問題が多いので、色空間などについてしっかりと理解してから受けることをお勧めします。
なお、第4問の空間フィルタリングに関する問題や、第6問の問題は計算すれば解けるものが多いので、得点が稼ぎやすいです。また、画像の周波数変換だけで大問が1個出るため、理解が難しいですが、ここはしっかりと理解することをお勧めします。
また、第10問の画像符号化に関する問題は、一般的な符号化が分かってれば結構取れます。ハフマン符号とか出ます。

マルチメディア検定

後期受験
30問/40問(自己採点) 結果待ち

マルチメディア検定とは

公式サイトには以下のように記載されています。

マルチメディア検定

マルチメディアに関連するディジタルコンテンツ、情報技術の基本的な知識と、日常生活や社会へのマルチメディアの応用について、幅広い知識を測る検定です。

他の検定とは異なり、出題分野があまり狭められていません。そのため、おそらく出題される知識の幅はCG-ARTS検定の中で一番広いです。
イメージとしては、応用情報技術者試験からCG、画像処理の分野を広げて他を狭めた感じに近い気がしています。

試験内容

第2問:画像や色に関する問題
第3問:人間の知覚とヒューマンコンピュータインタラクションに関する問題
第4問:メディアの処理技術に関する問題
第5問:コンピュータのしくみと技術に関する問題
第6問:インターネットに関する問題
第7問:情報セキュリティに関する問題
第8問:マルチメディアアプリケーションの実現に関する問題
第9問:インターネットの応用に関する問題
第10問:社会に広がるマルチメディアに関する問題

CGエンジニア検定や画像処理エンジニア検定と比較すると、計算問題が少ない代わりに、知識問題がとても多いです。知識問題の中でも、提示された複数の文章の中から正しいものを選ぶ形式のものが多く、浅い知識では解けないようになっているものが多いです。

行った対策

なし

感想

難しいです。
知識問題が多いので、対策なしでは全然解けません。応用情報に合格しているので知識量は割と多い方だとは思っていましたが、応用情報にぎりぎり受かる程度の浅い知識では全然解けません。上にも書きましたが、複数の文章の中から正しいものを選択する形式が多いので、文章内に含まれる語句について正確に理解していないと正解できません。そのうえ、出題ジャンルも幅広いため、かなり厳しいです。
とはいえ、知識問題がほとんどなので、しっかり対策すれば受かることはできると思います。そのためには、出題される語句に対して知っておくだけでなく、より深く理解しておくことが必須です。

おわりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
Webデザイナー検定だけまた受けていないので、他全て合格していて、なおかつ気が向いたら受けてみようと思います。
この記事が今後受ける方の参考になれば幸いです。

参考文献

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