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EPSG を紐解く (1)

Last updated at Posted at 2025-04-06

目次

  1. EPSG を紐解く (1) 〜 はじめに
  2. EPSG を紐解く (2) 〜 基準系、楕円体、本初子午線
  3. EPSG を紐解く (3) 〜 座標参照系(測地座標参照系、鉛直座標参照系)、座標系
  4. EPSG を紐解く (4) 〜 座標参照系(投影座標参照系)、投影演算
  5. EPSG を紐解く (5) 〜 座標参照系(複合座標参照系)
  6. EPSG を紐解く (6) 〜 座標変換、 towgs84 句

EPSG とは

GIS では位置を表すために座標値を扱いますが、その座標値がどのような座標参照系のもとで計測された値であるかも同時に示さないと位置を特定することはできません。座標参照系は図法、原点の取り方、軸の取り方、座標値の単位、中心経度などの取り方で無限に作成することができますが、特定の国で使用されるものなど一定の用途があるものには登録しコードを振ることによって指定しやすくしたものがあります。

そのような座標参照系の登録、管理をしているもののうち、事実上の世界標準が EPSG です。

2025年4月に標高に関する測量成果の改定(元期:2024年6月1日)により日本測地系2024が発表されましたが、こちらに関しては今後 EPSG に追加されるとみられます。

どのような追加となるかわかりませんが、2024年4月時点の現行 EPSG データセット v12.005 の内容を見ていき、 EPSG がどのような構造になっているか調べてみました。

なお、もう少しやさしい(というか表面的な)分解は以前調べてまとめています。

EPSG の例

たとえば座標参照系の EPSG:6668 は日本測地系2011の地理座標系(緯度経度座標系)ですが、その定義内容を OGC WKT 2 形式で記述すると下記のようになります。

GEOGCRS["JGD2011",
  DATUM["Japanese Geodetic Datum 2011",
    ELLIPSOID["GRS 1980",6378137,298.257222101,
        LENGTHUNIT["metre",1,ID["EPSG",9001]],
        ID["EPSG",7019]],
    ID["EPSG",1128]
  ],
  CS[ellipsoidal,2,ID["EPSG",6422]],
  AXIS["Geodetic latitude (Lat)",north],
  AXIS["Geodetic longitude (Lon)",east],
  ANGLEUNIT["degree",0.0174532925199433,ID["EPSG",9102]],
  ID["EPSG",6668]
]

JGD2011 という名の地理座標系の座標参照系 (GEOGCRS) について基準系 (DATUM) や、座標系 (CS) 、軸 (AXIS) などについて記述がなされています。

詳しくは次以降の記事で説明していきますが、 EPSG は上記のような WKT の形式で管理されているわけではなく、 ISO 19111:2019 地理情報-座標による空間参照のデータモデルに沿ったデータベースのような形で管理されています(下図は配布されている MySQL 形式の SQL ファイルを SQLite3 形式に変換し、内容を確認しているところ)。

EPSG Dataset

先ほどの WKT の最後の ID["EPSG",6668] はこの座標参照系が epsg_coordinatereferencesystem テーブルに6668のコードで登録されていることを意味していますが、 ID["EPSG",1128] は Japanese Geodetic Datum 2011 という名前の基準系が epsg_coordinatesystem に1128で登録されているものであることを意味しています。

座標参照系としての EPSG:6668 も、基準系としての EPSG:1128 も同じ EPSG というオーソリティを冠して呼称するため、非常にややこしいことから、この記事においては以降から CRS:6668 や Datum:1128 と表記することにします。

現行の登録状況

日本測地系2011関連についてまとめてみます。

基準系 (Datum)

epsg_datum テーブルには測地系 (Geodetic Datum) や鉛直基準系 (Vertical Datum) が格納されています。

座標参照系 (CRS)

epsg_coordinatereferencesystem テーブルには座標参照系が格納されています。このなかには地心座標参照系 (geocentric) 、地理座標参照系 (geographic) 、投影座標参照系 (projected) 、鉛直座標参照系 (vertical) 、複合座標参照系 (compound) などが含まれています。

なお CRS:10162 - 10174 に関してはアジア航測株式会社により依頼が行われたようですが、なぜか14系〜19系との複合座標参照系は登録されていません。

このほかにも座標参照系間の変換法など関連するものはありますが、それらに関しては今後の記事中で説明できればと思います。

次の記事

ひとつの記事にまとめると混乱しがちなので記事を分割します。

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