目次
- EPSG を紐解く (1) 〜 はじめに
- EPSG を紐解く (2) 〜 基準系、楕円体、本初子午線
- EPSG を紐解く (3) 〜 座標参照系(測地座標参照系、鉛直座標参照系)、座標系
- EPSG を紐解く (4) 〜 座標参照系(投影座標参照系)、投影演算
- EPSG を紐解く (5) 〜 座標参照系(複合座標参照系)
- EPSG を紐解く (6) 〜 座標変換、 towgs84 句
投影座標参照系 (Projected CRS)
地理座標(緯度、経度)から一定の数式で平面上の二次元座標に換算(数学的変換)することを投影といい、そのようにして導かれる平面上の座標参照系を投影座標参照系といいます。
距離や面積、形状などの性質をすべて保ったまま投影することは不可能であるため、図法やパラメタを変えた様々な投影座標参照系が存在します。
JGD2011 関係では平面直角座標系と UTM 51N 〜 55N が登録されています。
例として CRS:6677 JGD2011 / Japan Plane Rectangular CS IX の登録状況を下記に示します。
投影方法とパラメタ
CRS:6677 は CRS:6668 JGD2011 (geog2D) をベースにして Operation:17809 Japan Plane Rectangular CS zone IX という換算 (Conversion) を行った座標参照系になります。
Operation:17809 は Method:9807 Transverse Mercator すなわち横メルカトル投影を使用した換算方法になります。また Operation:17809 が換算の際に用いるパラメタについては epsg_coordoperationparamvalue
テーブルに格納されています。 Method:9807 はどういったパラメタを取ることができるのか、またそれぞれのパラメタがどういった意味合いのものか epsg_coordoperationparamusage
テーブルや epsg_coordoperationparam
テーブルに格納されています。
つまりこの Operation:17809 は中心緯度36.0度、中心経度139.5度、原点における縮尺係数を0.9999、投影後の原点座標を (0, 0) とする横メルカトル投影を行う換算演算であることが登録されています。この演算を CRS:6668 JGD2011 (geog2D) ではなく CRS:4612 JGD2000 (geog2D) をベースにして適用させると CRS:2451 JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS IX になります。
訳語について
EPSG はドキュメンテーションも整備してくれており、 IOGP Report 373-07-01 (EPSG Guidance Note 7-1) では Coordinate Operation のタイプとして Conversion と Transformation の説明がなされています。そこでは Conversion は地図投影など同じ基準系間の演算処理である一方、異なる基準系間の変換を Transformation と使い分けています。
JIS X7111 では用語の定義として、それぞれ座標演算 (coordinate operation) 、座標換算 (coordinate conversion) 、座標変換 (coordinate transformation) が掲載されています。
Conversion も Transformation も、どちらも「変換」にすることも考えたのですが、せっかく使い分けがなされているので JIS X7111 に準じた訳語を使うことにしました。
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鉛直座標参照系を含めた3次元座標参照系のお話。