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日刊IETF (2025-10-17) Part 1/4

Last updated at Posted at 2025-10-18

こんばんは!
GMOコネクトの名もなきエンジニアです。
よろしくお願いします!

日刊IETFは、I-D AnnounceやIETF Announceに投稿されたメールをサマリーし続けるという修行的な活動です!!
今回は、2025-10-17(UTC基準)に公開されたInternet-DraftとRFCをまとめました。

  • Internet-Draft: 82件
  • RFC: 0件

※本日は投稿数が多いため、4部構成でお届けします。こちらはPart 1(1-25件目)です。

参照先:

本日の関連ページリンク


その日のサマリー & Hot Topics

  • 本日は82件のInternet-Draftが公開されました。暗号技術関連では検証可能な分散集約関数(VDAF)、OAuth 2.0の拡張、STIR/SHAKENによる通話認証など、セキュリティとプライバシー保護技術が注目されます。ネットワーク技術では、EVPNマルチホーミング、CDNI(Content Delivery Network Interconnection)メタデータ、SRv6、Time-Variant Routingなど幅広い分野のドラフトが更新されています。
  • 特に注目すべきは、プライバシー保護のためのVDAF技術、OAuth 2.0のセキュリティ強化、デバイス位置追跡の脅威モデル(DULT)など、ユーザーのプライバシーとセキュリティを守るための取り組みです。また、CDNの相互接続やIPv6アプリケーションテストなど、インターネットインフラの実用性向上に向けた標準化も活発化しています。

投稿されたInternet-Draft

Verifiable Distributed Aggregation Functions

検証可能な分散集約関数(VDAF)は、ユーザーの測定データから集計統計を計算するための多者間プロトコルファミリーです。少なくとも1つの集約サーバーが正直にプロトコルを実行する限り、個々の測定値がどのサーバーにも平文で見られないことを保証します。同時に、悪意のあるクライアントや設定ミスのクライアントが無効な測定値を送信した場合、サーバーがそれを検出できます。一般目的の集約用のPrio3と、ヘビーヒッター検出用のPoplar1という2つの具体的なVDAFが規定されています。プライバシー保護集約とデータ検証を両立させる重要な暗号技術として、テレメトリーやアナリティクスでの応用が期待されます。

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Weighted Multi-Path Procedures for EVPN Multi-Homing

EVPNマルチホーミング環境における重み付きマルチパス手順を定義するドラフトです。従来のEqual-Cost Multi-Path(ECMP)では、すべてのパスに均等にトラフィックが分散されますが、実際にはリンク容量や性能が異なる場合があります。本仕様は、各パスに重みを割り当て、容量比に応じた不均等なロードバランシングを実現します。これにより、ネットワークリソースの効率的な利用が可能になり、データセンターファブリックやキャリアネットワークでのトラフィック最適化に貢献します。

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OAuth 2.0 Refresh Token and Authorization Expiration

OAuth 2.0のリフレッシュトークンと認可の有効期限に関する仕様です。リフレッシュトークンを使用して新しいアクセストークンを取得する際、認可自体の有効期限が切れている場合の処理を明確化します。認可サーバーは、ユーザーの再同意が必要な状況を判断し、適切なエラーレスポンスを返すことで、セキュリティと利便性のバランスを取ります。長期間使用されるアプリケーションにおいて、定期的な認可の再確認を促すメカニズムを提供し、セキュリティリスクを低減します。

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A YANG Data Model for Reporting Utilization Scores in ISAC

ISAC(In-network Service Assurance and Computation)における利用率スコアをレポートするためのYANGデータモデルです。ネットワークデバイスのリソース利用状況(CPU、メモリ、帯域幅など)を標準化された形式で報告し、ネットワーク全体の負荷状況を可視化します。これにより、SDNコントローラーやオーケストレーションシステムが、リソース使用状況に基づいた最適なトラフィックルーティングやサービス配置を行えます。グリーンネットワーキングやエネルギー効率化の観点からも重要な技術です。

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LISP Delegated Mappings

LISP(Locator/ID Separation Protocol)の委任マッピング機能を定義するドラフトです。EID(Endpoint Identifier)からRLOC(Routing Locator)へのマッピング情報を、階層的に委任することで、大規模なLISP展開におけるスケーラビリティを向上させます。マッピングシステムの分散化により、単一障害点を排除し、より柔軟なネットワーク管理を実現します。モバイルネットワークやデータセンター間接続など、動的なエンドポイント移動が頻繁に発生する環境で特に有用です。

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CDNI Source Access Control Metadata

CDNI(Content Delivery Network Interconnection)におけるソースアクセス制御メタデータを定義します。CDN間でコンテンツを配信する際、オリジンサーバーへのアクセス制御ポリシーを伝達する仕組みを提供します。IPアドレス制限、認証要件、レート制限などのアクセス制御情報をメタデータとして標準化し、複数のCDN間でセキュリティポリシーを一貫して適用できるようにします。コンテンツプロバイダーのセキュリティ要件を満たしながら、CDNの相互接続を促進します。

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CDNI Processing Stages Metadata

CDNIにおける処理ステージメタデータの仕様です。コンテンツ配信の過程で必要となる各種処理(トランスコーディング、DRM適用、透かし挿入など)を定義し、CDN間で処理要件を共有します。複数のCDNが連携してコンテンツを配信する際、各CDNがどの処理を担当するかを明確化し、エンドツーエンドのコンテンツ処理フローを最適化します。動画ストリーミングサービスなど、複雑な処理が必要なコンテンツ配信での利用が想定されます。

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CDNI Metadata Expression Language

CDNIメタデータ表現言語は、CDNI関連のメタデータを記述するための標準的な言語を定義します。コンテンツ配信ポリシー、キャッシュ制御、ジオブロッキング、アクセス制御など、CDN間で交換される様々なメタデータを統一的に表現します。JSON形式をベースとした柔軟な表現能力により、複雑な配信要件を記述でき、CDN間の相互運用性を大幅に向上させます。マルチCDN戦略を採用するコンテンツプロバイダーにとって重要な基盤技術です。

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A YANG Data Model of Performance Management Streaming

パフォーマンス管理ストリーミングのためのYANGデータモデルです。ネットワークデバイスからリアルタイムのパフォーマンスメトリクス(遅延、ジッタ、パケットロスなど)をストリーミング配信するための標準化されたデータモデルを提供します。従来のポーリングベースの監視と比較して、よりタイムリーな情報取得が可能になり、ネットワーク障害の早期検出や動的なトラフィックエンジニアリングを実現します。テレメトリー駆動型のネットワーク運用に不可欠な技術です。

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OAuth 2.0 Entity Profiles

OAuth 2.0のエンティティプロファイルを定義するドラフトです。クライアント、認可サーバー、リソースサーバーなど、OAuth 2.0エコシステムの各エンティティが持つべき機能や属性を標準化します。エンティティの能力を明示的にプロファイル化することで、相互運用性を向上させ、特定のユースケースに最適化されたOAuth 2.0実装を促進します。金融APIやヘルスケアAPIなど、業界固有のセキュリティ要件に対応するプロファイルの作成を支援します。

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Personal Assertion Token (PaSSporT) Extension for Signature-based Handling of Asserted information using toKENs (SHAKEN)

STIR/SHAKENフレームワークにおけるPaSSporT(Personal Assertion Token)の拡張仕様です。電話通話の発信者情報に電子署名を付加し、なりすまし通話や詐欺電話を防止します。通信事業者は、発信者の身元を検証し、通話ごとに署名付きトークンを生成します。受信側は署名を検証することで、通話の信頼性を判断できます。迷惑電話対策として北米を中心に展開が進んでおり、国際的な通話認証基盤の構築に貢献します。

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Testing Applications' IPv6 Support

アプリケーションのIPv6サポートをテストするための方法論とベストプラクティスを提供します。IPv6移行において、アプリケーション層での対応状況が重要ですが、体系的なテスト手法が不足していました。本ドラフトは、開発者がIPv6対応を検証するためのテストケース、ツール、環境設定などを示します。Happy Eyeballs、デュアルスタック動作、IPv6専用環境での動作確認など、実用的なテストシナリオをカバーし、IPv6展開の品質向上に貢献します。

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A Comprehensive Errata for 'retransmission-allowed' XML Element

SIPプロトコルにおける'retransmission-allowed' XML要素の包括的なエラッタです。RFC 4321の誤記や不明確な記述を修正し、実装における一貫性を確保します。SIPメッセージの再送制御に関する仕様を明確化し、相互運用性の問題を解決します。VoIP(Voice over IP)システムやUnified Communicationsプラットフォームにおいて、信頼性の高いSIP通信を実現するための重要な修正です。

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Geographic Attestation Results

RATS(Remote ATtestation procedureS)フレームワークにおける地理的証明結果を定義します。デバイスの物理的な位置情報を証明可能な形で提供し、位置ベースのアクセス制御やコンプライアンス要件に対応します。GPS、セルラーネットワーク、Wi-Fiなど、複数の位置情報源からの証拠を統合し、信頼できる位置証明を生成します。データ主権規制やジオフェンシング要件を満たすアプリケーションに有用です。

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Evidence Transformations

RATSにおけるエビデンス変換の仕様です。リモート証明プロセスで収集された証拠(Evidence)を、異なる形式やプロトコル間で変換するメカニズムを定義します。複数の証明プロトコルやフォーマットが共存する環境で、相互運用性を確保します。エビデンスの完全性を維持しながら、異なるシステム間での証明情報の交換を可能にし、ゼロトラストアーキテクチャの実装を促進します。

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Procedures for Handling Liaison Statements to and from the IETF

IETFと他の標準化組織間でのリエゾン文書の取り扱い手順を定義するRFC 4053の改訂版です。3GPP、ITU-T、IEEEなど、外部組織との正式なコミュニケーション手順を更新し、より効率的な標準化協力を実現します。リエゾン文書の提出、レビュー、承認プロセスを明確化し、組織間の技術調整を円滑化します。5Gやモバイルネットワークなど、複数の標準化組織が関与する分野で重要な役割を果たします。

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JMAP File Storage extension

JMAP(JSON Meta Application Protocol)のファイルストレージ拡張です。メールやカレンダーに加えて、ファイルの管理機能をJMAPに追加します。ファイルのアップロード、ダウンロード、メタデータ管理、共有設定などをJSON APIで提供し、統合的なPIM(Personal Information Management)プラットフォームを構築できます。クラウドストレージサービスやコラボレーションツールとの統合を容易にし、モダンなメールクライアントの機能拡張を支援します。

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EVPN Multi-Homing Mechanism for Layer-2 Gateway Protocols

レイヤー2ゲートウェイプロトコルのためのEVPNマルチホーミングメカニズムです。VPLS(Virtual Private LAN Service)やVXLANなどのL2VPN技術において、冗長性と負荷分散を実現するマルチホーミング機能を定義します。複数のプロバイダーエッジ(PE)ルーターに接続されたカスタマーエッジ(CE)デバイスが、アクティブ・アクティブまたはアクティブ・スタンバイで動作できるようにします。高可用性を要求されるデータセンター相互接続やエンタープライズネットワークで重要です。

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CDNI Delivery Metadata

CDNI配信メタデータは、コンテンツ配信の要件と制約を記述するメタデータ仕様です。配信方式(HTTP、HTTPS)、キャッシュ制御、ジオロケーション制限、帯域幅制限など、コンテンツ配信に関する詳細な情報をCDN間で共有します。複数のCDNが協調してコンテンツを配信する際、一貫したユーザーエクスペリエンスとサービス品質を保証します。グローバルなコンテンツ配信ネットワークの構築に不可欠な仕様です。

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Updates to SMTP related IANA registries

SMTP関連のIANAレジストリの更新を行うドラフトです。拡張SMTPコマンド、サービス拡張、エラーコードなどのレジストリを整理し、古くなった登録を削除または更新します。メールプロトコルの進化に伴い、使用されなくなった拡張や重複する登録を整理することで、実装者にとってより使いやすいレジストリを提供します。メールシステムの相互運用性向上とプロトコルの保守性改善に貢献します。

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Using off-path mechanisms for exposing Time-Variant Routing information

Time-Variant Routing(TVR)情報を公開するためのオフパスメカニズムを定義します。衛星ネットワークや無人航空機システムなど、時間によってネットワークトポロジーが変化する環境において、将来の接続性情報を事前に提供します。オフパスコントローラーやスケジューリングシステムが、ネットワークの時系列変化を把握し、最適なルーティング計画を立てられるようにします。非地上系ネットワーク(NTN)やモバイルアドホックネットワークでの応用が期待されます。

Draft Link

DULT Threat Model

DULT(Detecting Unwanted Location Trackers)の脅威モデルを定義します。AirTagなどの位置追跡デバイスが悪用され、個人のプライバシーを侵害するリスクに対処します。ストーカー行為、監視、不正な追跡などの脅威シナリオを分析し、検出メカニズムの設計要件を明確化します。位置追跡技術の利便性とプライバシー保護のバランスを取り、安全な位置情報サービスの実現を目指します。AppleとGoogleが協力して取り組んでいる重要な安全対策技術です。

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YANG Data Model for SRv6 Base

SRv6の基本的なYANGデータモデルを定義します。SRv6ロケーター、エンドポイント動作、SIDフォーマットなど、SRv6の基本要素を標準化されたデータモデルで表現します。ネットワーク自動化ツールやSDNコントローラーが、ベンダーに依存せずSRv6機能を設定・管理できるようにします。マルチベンダー環境でのSRv6展開を促進し、次世代ネットワークの相互運用性を確保します。

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Discovery Of Restconf Metadata for Source-specific multicast

ソース固有マルチキャスト(SSM)のためのRESTCONFメタデータ検出を定義します。マルチキャスト配信において、送信元とグループの情報をRESTCONF APIを通じて動的に発見できるようにします。SDNベースのマルチキャスト管理を実現し、IPTVやビデオ会議など、マルチキャストを使用するアプリケーションの自動化された展開を支援します。ネットワークプログラマビリティとマルチキャスト技術の統合を促進します。

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最後に、GMOコネクトでは研究開発や国際標準化に関する支援や技術検証をはじめ、幅広い支援を行っておりますので、何かありましたらお気軽にお問合せください。

お問合せ: https://gmo-connect.jp/contactus/

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