Advent Calendar、2回目の登場となる山田です。今回は、先日紹介した12/6に遠藤さんが投稿したOSSコンプライアンスの調査に関連する話題を投稿します。
OpenChain Japan WG Promotion SGの有志メンバーを中心に立ち上げたOSSコンプライアンスについての研究チームでは、2020年に「日本知財学会」と「研究・イノベーション学会」の2つの学会で学術発表を行いました。今日は、その中から日本知財学会で発表した「OSSコンプライアンスに関するスキル標準のフレームワーク(全体マップ)」について紹介しようと思います。(研究・イノベーション学会で行った発表に関しては、12/21の記事で土手さんから紹介いただく予定です)
*Please scroll down for the English version.
##OSSコンプライアンスに関するスキル標準の必要性
OSSコンプライアンスに関連する業務は複雑かつ、開発部門や知的財産部門など社内の様々な部署が連携して実施する必要があるため、各部署に属する担当者が担うべき業務を適切に認識する必要があります。
一方で、OSSに関する業務は各部署の担当者にとって比較的新しい業務であることが多く、人材育成を推進する上で、当業務遂行に必要とされる能力を明確化・体系化した指標、即ち「スキル標準」が必要であるのではないかと考えました。
既存のスキル標準としては、ITスキル標準 、知財人材スキル標準、標準化人材スキル標準などがありますが、OSSコンプライアンス業務のスキル標準を策定するに当たり、社内の関係者が部署の枠を超え連携し、さらに他社や業界団体等と共に実施するという共通点を持つ「標準化人材スキル標準」を参考に、OSSコンプライアンス業務に関するスキル標準策定の第一歩として、業務遂行に必要となる細分化された業務フェーズを明確化し、スキル標準フレームワークを作成し、その内容を発表しました。
##OSSコンプライアンスに関するスキル標準のフレームワーク
下の表が知財学会で発表したスキル標準のフレームワークです。左側でシステムの企画~開発~保守(運用)ごとにOSSコンプライアンスに関連する業務を抽出し、右側に各部門ごとに担当する業務を整理した形になります。
今回の発表では上記の全体像を提示するところまでとなっており、今後は各業務をさらに細分化しつつ、各業務を実行するのに必要な能力やその評価方法などを整理していくことになります。
##最後に
今回ISOに採択された「OpenChain Specification 2.0」においても、1.2章でOSSコンプライアンスを実現する人員の役割と責任および適性を定義し、その適性評価の結果を保管する必要があると規定しています。(記事リンクを貼る)
ただし、各部署がどのような役割を果たすべきか、各担当者をどのように評価すべきかの具体的な項目や指標についてはOpenChainでは言及されておらず、各社に委ねられている形となります。OSSの利活用が企業の競争戦略に重要となっている中、各社のOSSコンプライアンス業務を円滑に進めるために利用できるツールとして活用してもらえるものを作れればと思っています。
明日はOpenChainの中身(Specification)紹介第2弾として、FAQ SGの島さんから1.4~1.5章の内容について紹介いただきます。明日以降もぜひOpenChain Japan Advent Calendar 2020をご覧ください!
#English Summary:
The research team in OpenChain Japan WG about OSS compliance made academic presentations at two conferences, “Intellectual Property Association of Japan” and “Japan Society for Research Policy and Innovation Management” in 2020.
Today, I would like to introduce the "Framework for Skill Standards on OSS Compliance" presented at “Intellectual Property Association of Japan”.
##Necessity of skill standards for OSS compliance
Work related to OSS compliance is complex and needs to be carried out in cooperation with various departments in the company, such as development and intellectual property departments.
On the other hand, OSS-related tasks are often relatively new to the people in each department, and therefore, in order to promote human resource development, we have developed a systematic index to clarify and systematize the skills required to perform these tasks. In other words, we thought a "skill standard" was necessary.
##The skill standard framework for OSS compliance
The table below shows the framework of skill standards about OSS compliance. On the left side, tasks related to OSS compliance are extracted for each of planning, development, and maintenance (operation) of the system, and on the right side, tasks to be handled by each department are organized.
In this presentation, we have only presented the overall picture above. In the future, we will further subdivide each task, and organize the skills required to perform each task and the evaluation method.
##Finally
The OpenChain Specification 2.0, which was adopted by the ISO, also defines the roles, responsibilities, and suitability of personnel to achieve OSS compliance in Chapter 1.2, and specifies that the results of the suitability assessment must be retained. (Article link.)
However, OpenChain does not mention the specific items and indices of what roles each department should play and how to evaluate each person in charge, and it is left to each company to decide. We hope to create a tool that can be used to facilitate compliance work.
Tomorrow, Mr. Shima of FAQ SG will introduce the contents of chapter 1.4 to 1.5 in OpenChain.