ついに来ましたDatabricks One。パブリックプレビューです。
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Databricksは2025年9月17日、データとAIの力を全社員に提供する新しいユーザー体験「Databricks One」のパブリックプレビューを発表しました。従来、データ活用は技術者に限定されがちでしたが、Databricks Oneは直感的なインターフェースと自然言語でのデータ探索機能により、ビジネスユーザーでも簡単にデータ分析が可能になります。Unity Catalogによるガバナンスを維持しながら、BIライセンスのコストを削減し、全社規模でのデータ活用を実現します。AWS、Azure、GCPの全クラウドで利用可能で、Data Intelligence Platformの一部として無料で提供されます。プライベートプレビューでは既に500社以上が採用し、医療研究やヘルスケア分野で生産性向上の実績を上げています。
機能概要
Databricks Oneは、技術的な専門知識がなくても、全社員がデータとAIを活用できるように設計された統合プラットフォームです。主要な機能を以下の表にまとめました:
機能カテゴリ | 詳細内容 |
---|---|
自然言語クエリ (Genie) | プレーンな言語で質問を入力し、データから洞察を得る |
AI/BIダッシュボード | 一貫したメトリクスに基づく対話型ダッシュボード |
Databricks Apps | 目的別に構築された専用アプリケーション |
統合検索 | ダッシュボード、Genieスペース、アプリを一元的に検索 |
AIによるコンテンツ提案 | ホームページに最も関連性の高いアセットを自動表示 |
Unity Catalogガバナンス | セキュリティ、アクセス制御、監査性を一元管理 |
アーキテクチャの特徴
[ビジネスユーザー層]
↓
[Databricks One インターフェース]
├── Genieスペース (自然言語クエリ)
├── AI/BIダッシュボード
└── Databricks Apps
↓
[Unity Catalog (ガバナンス層)]
↓
[データレイク/ウェアハウス]
メリット、嬉しさ
ビジネスユーザーにとってのメリット
-
学習コストの削減
- 専門的なSQLやプログラミング知識が不要
- 自然言語で質問するだけでデータ分析が可能
- 直感的なUIで迷わず操作できる
-
迅速な意思決定
- IT部門への依頼待ち時間がなくなる
- リアルタイムでデータにアクセス
- 必要な時に必要な洞察を即座に取得
IT管理者にとってのメリット
メリット | 具体的な効果 |
---|---|
コスト削減 | 高額なBIライセンスが不要 (無料提供) |
管理の簡素化 | 単一のエンタイトルメントで大規模ユーザーを一括管理 |
セキュリティ維持 | Unity Catalogによる一貫したガバナンス |
スケーラビリティ | サーバーレスで自動スケーリング |
組織全体へのインパクト
ObjectiveHealthのCTO、Josh O'Rourke氏の事例では、「臨床研究チームの生産性が大幅に向上した」と報告されています。特に、インフラ管理が不要で即座にスケーリングできる点が評価されています。
使い方の流れ
初期セットアップ (管理者向け)
-
ワークスペースでDatabricks Oneを有効化
プレビュー → Databricks One → オン
-
ユーザーの権限設定
- コンシューマーアクセス権限: ビジネスユーザー向け (Databricks One専用UI)
- ワークスペース、Databricks SQLアクセス権限: 開発者向け (従来UIとの切り替え可能)
-
Unity Catalogでガバナンス設定
- データアクセス権限の定義
- セキュリティポリシーの適用
ウォークスルー
ワークスペースにアクセスするとDatabricks Oneの案内が表示されます。
右上にDatabricks Oneと従来のUIの切り替えボタンが表示されます。
表示されているボタンをクリックすることで、ダッシュボード、Genieスペース、Databricks Appsの一覧にアクセスできます。
検索ボックスにはSearchとAskのトグルがあります。Searchはアセットの検索ですが、Askでは選択したGenieスペースに直接問い合わせができます。
日常的な利用フロー (ビジネスユーザー向け)
[ステップ1: ログイン]
↓
[ステップ2: ホームページから選択]
├── Genieスペースで質問
├── ダッシュボード閲覧
└── アプリ利用
↓
[ステップ3: データ探索・分析]
↓
[ステップ4: 洞察の取得・共有]
具体的な操作例
Genieを使った分析:
- ホームページ上部の検索バーに自然言語で質問を入力
- 「先月の売上トップ10製品は?」のような質問が可能
- 自動的にSQLが生成され、結果が表示される
- 結果をダッシュボードに保存して共有
注意点
導入時の考慮事項
注意点 | 対応策 |
---|---|
既存システムとの統合 | 段階的な移行計画を策定 |
ユーザー教育 | コンシューマーアクセス権限での限定的な機能から開始 |
データガバナンス | Unity Catalogの設定を事前に十分検討 |
パフォーマンス | サーバーレス環境の自動スケーリングに依存 |
現在の制限事項
- パブリックプレビュー版のため、一部機能が今後追加予定
- カスタムURLや高度なセマンティック検索は今後のアップデートで提供
- 全クラウド環境で利用可能だが、リリースまで数日かかる可能性がある
セキュリティ上の留意点
Unity Catalogによるガバナンスは強力ですが、以下の点に注意が必要です:
- アクセス権限の適切な設定と定期的な見直し
- センシティブデータへのアクセス制御
- 監査ログの定期的な確認
まとめ
Databricks Oneのパブリックプレビュー開始により、データとAIの民主化が大きく前進しました。技術的な専門知識がないビジネスユーザーでも、自然言語でデータを探索し、信頼できる洞察を得られるようになります。
主要なポイント:
- 無料提供: データインテリジェンスプラットフォームの一部として追加コストなし
- 簡単な導入: コンシューマーアクセス権限で大規模ユーザーを一括オンボーディング
- 統一されたガバナンス: Unity Catalogによる一貫したセキュリティ管理
- 実績: 既に500社以上が採用し、生産性向上を実現
今後は、カスタムURL、セマンティック検索、AI支援オンボーディングなどの機能追加が予定されており、さらなる利便性向上が期待されます。組織全体でデータ活用を推進したい企業にとって、Databricks Oneは検討すべきソリューションといえるでしょう。