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Databricks Genieリサーチエージェント: 複雑なビジネス課題を多段階推論で解決する新機能

Last updated at Posted at 2025-11-20

こちらの新機能です。

Databricks Genieに新しく追加されたリサーチエージェント(Research Agent)は、複雑なビジネス上の質問に対して多段階の推論を行い、より深い洞察を発見する機能です。従来のGenie機能とは異なり、複数のSQLクエリを反復的に実行し、仮説検証を繰り返しながら包括的なレポートを生成します。「なぜ収益が急増したのか」「顧客離脱の要因は何か」といった探索的な質問に対し、研究計画の作成から証拠の収集、視覚化を含む詳細レポートの提供まで、まるで人間のデータアナリストのように段階的に調査を進める点が特徴です。現在ベータ版として提供されています。

機能概要

リサーチエージェントは、Databricks Genieの標準機能を拡張し、より複雑なビジネス課題に取り組むために設計された機能です。従来のGenieが単一のクエリで回答を提供するのに対し、リサーチエージェントは以下のような特徴的なワークフローで動作します。

ユーザーの質問
    ↓
リサーチ計画の作成(仮説の立案)
    ↓
複数のSQLクエリを順次実行
    ↓
各結果から学習・推論を洗練
    ↓
十分な証拠が揃うまで反復
    ↓
包括的なレポート生成
(引用・視覚化・サポート表を含む)

標準Genieとの主な違い

機能 標準Genie リサーチエージェント
アプローチ 単一クエリによる即座の回答 研究計画に基づく多段階調査
推論方式 一問一答形式 仮説検証と反復学習
クエリ実行 1回 複数回(必要に応じて)
回答の形式 簡潔な回答と視覚化 引用付き詳細レポート
適した質問 単純な事実確認や集計 複雑で探索的な分析

動作の仕組み

リサーチエージェントは以下の4つのステップを繰り返します。

  1. リサーチ計画の作成: 複雑な質問に答えるための構造化されたアプローチと仮説を開発
  2. 複数クエリの実行: 様々な角度から証拠を収集するため、複数のSQLクエリを実行
  3. 学習と反復: 発見した内容に基づいてアプローチを継続的に調整し、推論を洗練
  4. 包括的レポート提供: 引用、視覚化、サポート表を含む詳細な概要を提供

メリット、嬉しさ

ビジネス価値

リサーチエージェントは、データアナリストが通常行う探索的データ分析(EDA)のプロセスを自動化します。これにより以下のようなメリットが得られます。

時間の大幅な短縮

  • 人間のアナリストが数時間から数日かけて行う分析を、数分で完了
  • 複数の仮説を同時に検証し、最適な答えに到達

深い洞察の発見

  • 単一の視点ではなく、多角的な分析により隠れたパターンを発見
  • 因果関係や相関関係を体系的に調査

再現性と透明性

  • すべての推論ステップと実行されたクエリが記録される
  • 結論に至るまでの過程を追跡可能

適した質問の例

リサーチエージェントは特に以下のような探索的な質問に優れています。

  • 原因分析: 「2025年6月に収益が急増したのはなぜですか?」
  • 改善策の提案: 「このホリデーシーズンに注文のキャンセル数を減らすにはどうすればよいでしょうか?」
  • パフォーマンス評価: 「EMEAにおける当社の新製品の売れ行きについて教えてください」
  • 要因分析: 「前四半期の顧客離脱に寄与した要因は何ですか?」
  • 効果測定: 「どのマーケティングキャンペーンが最も優れたROIを達成しましたか?またその理由は何ですか?」

使い方の流れ

前提条件

リサーチエージェントを使用するには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 十分に準備されたGenieスペースの用意

リサーチエージェントは、Genieスペース内のコンテキストに大きく依存します。以下の点を確認してください。

  • すべてのセットアップ要件を満たしたGenieスペースが存在する
  • 効果的なスペース設定(テーブル、列、関係性の定義)
  • 知識ストアの構築(スペース固有のコンテキスト情報)

2. 地域別の提供状況

リージョン 利用可否
アメリカとヨーロッパ 利用可能(クロスジオ不要)
その他の地域(オーストラリア、インド、アジアなど) クロスジオ有効時のみ利用可能

有効化手順

管理者による有効化

  1. Databricksワークスペースの管理設定にアクセス
  2. プレビューページを開く
  3. Genie Research Agentを有効化

Screenshot 2025-11-20 at 13.00.28.png

有効化すると、そのワークスペース内のすべてのGenieスペースで利用可能になります。Genieにアクセスできるすべてのユーザーが研究エージェントを使用できます。

実際の使用手順

Step 1: Genieスペースを開く
    ↓
Step 2: チャットボックスのリサーチエージェントアイコンをクリック
    ↓
Step 3: 質問を入力してプロンプトを送信
    ↓
Step 4: (必要に応じて)エージェントからの追加質問に回答
    ↓
Step 5: レポート生成を待つ(標準Genieより時間がかかる)
    ↓
Step 6: 最終レポートを確認
    (具体的な調査結果、視覚化、研究の引用を含む)
    ↓
Step 7: (オプション)追加の説明プロンプトでレポートを改良

プレビューで機能を有効化すると、Genieのプロンプトボックスでリサーチエージェントが選択できるようになります。
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Screenshot 2025-11-20 at 13.03.59.png

格納データを問い合わせてみます。標準モードではテーブルのメタデータを説明していたくらいでしたが、詳細な調査計画を立ててくれます。
Screenshot 2025-11-20 at 13.06.33.png

この時点で可視化もしてくれます。
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アイデアやプランのセクションは展開することができます。
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より具体的な深掘り質問をすると、それに合わせて計画の立案、リサーチを実行してくれます。
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詳細な回答をアウトプットしてくれます。もはやレポートですね。
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Screenshot 2025-11-20 at 13.20.28.png
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レポート生成後の活用

  • 改良: 追加のプロンプトを送信してレポートを洗練
  • 新規調査: 異なる調査質問で新しいレポートを生成
  • フィードバック: 応答フィードバックを提供して機能改善に貢献

注意点

現在の制限事項

データ範囲の制約

  • リサーチエージェントは現在のGenieスペースで利用可能なデータのみを使用
  • 完全なカタログやスペース外のデータを照会することはできない

データタイプの制約

  • Genieに含まれる構造化データソースのみ対応
  • 非構造化データを活用することはできない

外部情報の制約

  • Web検索機能はなし
  • 追加のコンテキストや情報を外部から取得することはできない

効果的に使うためのベストプラクティス

1. Genieスペースの最適化

リサーチエージェントの性能は、Genieスペースの品質に大きく依存します。

  • テーブル、列、関係性を明確に定義
  • 対象を絞った指示や例を追加
  • ユーザーからのフィードバックに基づいて継続的に改善

2. 質問の具体性

リサーチエージェントは、ビジネスデータの傾向、パターン、関係について具体的なデータドリブンの質問をするときに最高のパフォーマンスを発揮します。

  • ❌ 曖昧な質問: 「売上はどうですか?」
  • ✓ 具体的な質問: 「2025年6月に収益が急増したのはなぜですか?」

3. モニタリングと改善

  • Genieスペースのモニタリングタブで使用パターンを確認
  • リサーチエージェントが苦労した質問を特定
  • ギャップに対処するためにコンテキストを追加

コストに関する考慮事項

ベータ期間中、リサーチエージェントには以下のコスト構造が適用されます。

  • 追加費用: なし(ベータ期間中)
  • 発生するコスト: SQLクエリ実行に関連する標準のウェアハウスコンピュートコストのみ

ただし、複数のクエリを実行するため、標準Genieよりもコンピュートリソースの消費は多くなる可能性があります。

現在のAPI制限

ベータ期間中、リサーチエージェントはDatabricks UIを通じてのみ利用可能です。API経由での利用はできません。

使用モデル

リサーチエージェントは現在、GPTモデルとSonnetモデルの組み合わせを使用しています。Genieは常に新しいモデルを評価し、最もパフォーマンスが高く正確なオプションを活用するマネージドサービスです。

まとめ

Databricks Genieリサーチエージェントは、複雑なビジネス課題に対して多段階の推論と仮説検証を行う機能です。従来のGenie機能が単一のクエリで回答するのに対し、リサーチエージェントはリサーチ計画を立て、複数のSQLクエリを反復的に実行し、学習しながら包括的なレポートを生成します。

「なぜ収益が急増したのか」「顧客離脱の要因は何か」といった探索的な質問に対し、人間のデータアナリストが行うような分析プロセスを自動化することで、時間の大幅な短縮と深い洞察の発見を実現します。

現在ベータ版として提供されており、追加費用なしで利用できます。効果的に活用するには、Genieスペースの適切な設定と具体的な質問の定義が重要です。データ範囲は現在のGenieスペース内に限定され、非構造化データやWeb検索には対応していない点に注意が必要です。

今後、ユーザーからのフィードバックに基づいて機能が継続的に改善されていくため、実際に使用してフィードバックを提供することで、より使いやすい機能へと進化していくことが期待されます。

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