この記事は ゆっくりテックウォッチ Advent Calendar 2025 の 1 日目の記事です。
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TL;DR
- 150社以上がパートナー参加、GoogleからLinux Foundationに寄贈されたオープン標準
- MCPと補完関係にあり、エージェント同士の対等な協調を実現
- 5言語のSDK提供（Python/Go/JS/Java/C#）ですぐに導入可能
このリポジトリについて
AIエージェント間通信の標準プロトコル、Google発のオープンソース仕様
異なるフレームワークで構築されたAIエージェント同士が相互に発見・認証・コラボレーションできる標準プロトコルです。MCPがツール連携に特化する一方、A2Aはエージェント間の対等な協調を実現します。Linux Foundationへ寄贈されたオープンスタンダードとして、業界全体での採用が進んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リポジトリ | a2aproject/A2A |
| スター数 |
 20,854 |
| 言語 | Markdown/Protocol Specification |
| ライセンス | Apache-2.0 |
| 作成日 | 2025-03-25 |
なぜ今注目されているのか
LangChainで作ったエージェントとCrewAIのエージェント、連携できますか？
AIエージェントが急速に普及する中、異なるフレームワークで構築されたエージェント同士の連携が大きな課題となっています。各社が独自のエージェントを開発しても、それらが協調して働くための共通言語がありませんでした。
A2Aプロトコルが異なるフレームワーク間のエージェント通信を標準化
A2Aは、この問題を解決するためにGoogleが開発し、Linux Foundationに寄贈したオープンプロトコルです。150社以上の企業（Microsoft、AWS、IBM、Salesforceなど）がパートナーとして参加しており、業界標準としての地位を確立しつつあります。
スター推移
2025年3月末に公開されたA2Aは、4月上旬にわずか1週間で10,000スターを突破する爆発的な成長を見せました。とくに4月9日から15日にかけて600から10,700へと急上昇。その後も着実に成長を続け、現在は20,000スターを超えています。Googleのバックアップと業界大手の参加により、注目度の高さがスター数に反映されています。
主な機能・特徴
1. 150社以上がパートナー参加、GoogleからLinux Foundationへ寄贈
A2Aは単なる一企業のプロジェクトではありません。Microsoft、AWS、IBM、Salesforce、SAP、ServiceNowなど、150社以上の大手企業がパートナーとして参加しています。さらに、GoogleからLinux Foundationに寄贈されたことで、真のオープンスタンダードとしての信頼性を獲得しました。これにより、特定のベンダーに依存しない、中立的なエージェント通信規格として発展していくことが期待されています。
2. MCPと補完関係、エージェント同士の対等な協調を実現
「MCPがあるのに、なぜA2Aが必要なの？」という疑問を持つ方も多いでしょう。答えは「補完関係」です。
- MCP（Model Context Protocol）: エージェントがツールやリソースを利用するためのプロトコル。関数呼び出し的な「命令」の関係
- A2A（Agent2Agent）: エージェント同士が対話・協調するためのプロトコル。同僚と協力するような「対話」の関係
MCPでツールを使い、A2Aで他のエージェントと協調する。両方を組み合わせることで、強力なマルチエージェントシステムを構築できます。
3. 5言語のSDK提供（Python/Go/JS/Java/C#）
実用性を重視したA2Aは、主要な5言語の公式SDKを提供しています：
# Python
pip install a2a-sdk
# Go
go get github.com/a2aproject/a2a-go
# JavaScript/TypeScript
npm install @a2a-js/sdk
# Java
# Maven経由でインストール
# .NET
dotnet add package A2A
お使いの言語でスムーズに導入できるため、学習コストを抑えながらA2A対応のエージェントを開発できます。
4. エージェント発見・認証・長時間タスクを標準化
A2Aは、エージェント間通信に必要な機能を包括的に標準化しています：
- Agent Card: エージェントの「名刺」のようなもの。能力・認証方法・エンドポイントを記述したJSONで、自動発見が可能
- 柔軟な通信方式: 同期リクエスト/レスポンス、SSEによるストリーミング、Push Notificationによる非同期通知をサポート
- 長時間タスク管理: ステータス更新・成果物の受け渡し・マルチターン会話に対応
- エンタープライズ対応: OAuth 2.0/OpenID Connect認証、mTLSサポート
技術スタック
JSON-RPC 2.0 over HTTPSベースのエージェント間通信標準として設計されています。
| 分類 | 技術 |
|---|---|
| 主要技術 | HTTP/HTTPS, JSON-RPC 2.0, Server-Sent Events (SSE) |
| フレームワーク/ライブラリ | gRPC, OpenID Connect, OAuth 2.0 |
| インフラ | REST API, Push Notifications, mTLS |
| 連携サービス | MCP (Model Context Protocol), ADK (Agent Development Kit), LangChain, CrewAI |
ユースケース
ユースケース1: マルチエージェントシステム開発者
背景: AIスタートアップで働くシニアエンジニアBさん。LangChainで作った分析エージェントと、CrewAIで作った報告書作成エージェントを連携させたい。
課題: フレームワークが違うとエージェント間の通信方法がバラバラで、個別実装が必要。
解決策: A2Aプロトコルを採用し、両エージェントにAgent Cardを設定して標準化された方法で連携。
結果: フレームワークの違いを意識せずにエージェント間通信が実現。新しいエージェント追加も容易になった。
ユースケース2: エンタープライズAIアーキテクト
背景: 大企業のAI推進チームリーダーCさん。社内の複数部門がそれぞれ独自のAIエージェントを開発しており、連携が課題。
課題: セキュリティ要件を満たしながら、部門間でエージェントを安全に連携させたい。
解決策: A2Aの認証機能（OAuth 2.0、mTLS）を活用し、セキュアなエージェント間通信基盤を構築。社内A2Aレジストリを構築し、各部門のエージェントをAgent Cardで登録・発見可能に。
結果: 部門間の壁を越えたエージェント協調が実現し、セキュリティ監査もクリア。
競合との比較
MCP (Model Context Protocol)との違い
| 観点 | A2A | MCP |
|---|---|---|
| 対象 | エージェント↔エージェント間通信 | エージェント→ツール/リソース連携 |
| 通信スタイル | 対話的・マルチターン対応 | 関数呼び出し的・ステートレス |
| 内部実装の露出 | オペーク（非公開）で協調 | ツール定義を公開 |
| 長時間タスク | ネイティブサポート（SSE/Push） | 基本的にはリクエスト/レスポンス |
A2Aを選ぶべき場面: 複数のAIエージェントが協力して複雑なタスクを解決する場合、とくにセキュリティ要件が高い環境で威力を発揮します。
始め方
# Python SDKをインストール
pip install a2a-sdk
公式ドキュメントサイト a2a-protocol.org で、詳細な仕様とチュートリアルを確認できます。また、サンプルリポジトリで実際の実装例を見ることができます。
まとめ
- A2AはAIエージェント同士が通信するためのオープン標準プロトコル
- MCPとは補完関係であり、競合ではない。両方を組み合わせて使うのが一般的
- Google発でLinux Foundationに寄贈、150社以上がパートナー参加という信頼性
AIエージェントの時代、A2Aはその基盤となる重要なプロトコルです。ぜひ公式ドキュメントをチェックして、マルチエージェントシステムの構築に挑戦してみてください！
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