メディア研究開発センターの須藤です。当センターで次長をしています。
私は次長という立場柄、所属する部門(メディア研究開発センター)でのお金の使い方を管理しています。定期的に社内システムから年度予算と実算のデータをダウンロードし、Excelでまとめて、年度内の予実管理(※)をしています。作業自体は単純で難しくないのですが、ずぼらな私には地味に面倒くさいです。
※「予実管理」とは、期初に計画した「予算」と実際に使った「実績」を比較・分析する業務のことです。
AIの力を借りようとしてCopilot in Excelの画面を出してやりたいことを指示しても、「こうすればできますよ」的な文章が返ってくるだけで直接修正してくれません。単にやり方が間違っているだけかもですが、提案通りに作業することすらも面倒くさい。。。
そんなときに同僚から「Excelにエージェントモードというものがある」と聞き、さっそく試してみたところ、自然言語で指示した内容をそのままデータに反映してくれるという、ずぼらな私にぴったりのツールであることがわかりました。
またピボットテーブルやスライサーなどの設定、多様なグラフ生成など、ある程度Excelに慣れている人が作るようなものも簡単に作成してくれ、Excel作業の概念が変わりました。
本ブログでは、Excelのエージェントモードを使って予実管理がどこまで簡単にできるかの検証をしてみます。
Excelのエージェントモードとは
簡単にいうと、「自然言語による指示でExcelを操作できる」機能です。
ただし、Microsoft 365 Copilotのライセンスに紐ついたMicrosoftアカウントで利用することが前提になります。
現時点(2025年12月12日)では、Web版Excelのみで利用が可能で、アプリ版Excelで利用できるようになるのはもう少し先のようです。
準備>エージェントモードの有効化
1.OneDriveやSharepoint上に作業用Excelを置き、ブラウザ上で開く
(前述のとおり、Web版Excelのみで利用が可能なため)
2.エージェントモードを有効にする(一度有効にすればOK)
Excelの「ホーム」>「アドイン」から「Excel Labs」を有効にし(検索バーに「Excel」と入れれば表示されます)、リボン内の「Excel Labs」をクリックします

画面右側に「Agent mode」のウィンドウが現れます。ここに指示を記入していきます。

予実管理をやってみた
1.データ準備
実際の予実データを使いたいところですが、そのままではお見せできませんので元データをいじってダミーデータを作成します。
シート「実算」の内容を以下通り修正してください。
・「会計日」「伝票ID」「金額」「部門コード」「部門名」「経費コード」「経費名」「申請内容」「取引月」だけ残して他は消してください。
・「経費名」は〓〓というルールで書き直してください。このルールはシート「予算」の「経費名」にも適用してください。
他にもデータをダミー化するための指示(金額修正など)はしていますが、省略してます。
1,2分程度で出来ていました。実行結果や「どう処理したか」も右の欄に表示されますので、エージェントが何を行ったかがわかり、処理がブラックボックスになりません。
また、「取引月」という列名がある前提で指示をしていたのですが、実際の列名は「取引月(利用)」だったようです。しかしそういった間違いも読み替えて列名修正をしてくれていました、すばらしい!(と思いつつ、予期しない修正をされる可能性もあるのだと実感しました)。
2.ダッシュボード作成
このデータをもとに見やすいダッシュボードを作ってみます。
下準備
まずは、「予算」「実算」に分かれているデータをひとつにまとめます。指示内容は以下の通り。
※お見せするのが恥ずかしいレベルの適当な指示。。。
シート「集計」を新設し、シート「予算」とシート「実算」の内容を統合した内容にしてください。
統合する際に必要な列は、それぞれの列名が等しい物だけを選んでください。
統合する際には、それぞれの行情報が「予算」か「実算」かがわかるような情報をA列に付加し、A列の列名を「項目」としてください。そして、シート「予算」とシート「実算」はそれぞれ1行目が列名になっています。
また、ダッシュボードを作成するうえで必要な「実算」ですが、11月以降の数字は入ってません。実算のない月は「0円」で埋めるようにしてください。
いよいよダッシュボード作成
次にこのデータから簡単なダッシュボードを作ってみます。まずは予実算の月額推移グラフです。
「集計」シートの内容から、2025年度の予算と実算の推移がよくわかるダッシュボードを別シートに作成したいです。作り方は以下の通りです。なお、25年度の各月は「取引月」列を見てください。
「取引月」を横軸(単位は年月。「2025/04」のような形式」)、「金額」を縦軸にし、「項目」列=「予算」と「項目」列=「実算」の各月の合計額を示した棒グラフを作成してください。また、同じグラフ内に、「項目「予算」」と「項目「実算」」の積み上げをそれぞれ折れ線グラフで示してください。
「ダッシュボード」シートを新設し、望み通りのグラフを作ってくれました。

今度は「差額ウォーターフォール」を作ってみます。サンプルで用意した実算のデータは10月分までしかないので以下のように指示します。
シート「ダッシュボード」の25行目から下に「差額ウォーターフォール」を作成してください。実算の入力がある2025年4月から2025年10月までの数字を使い、「経費名」単位で作成してください。
適当な指示でこれだけ作ってくれるのであれば、今の私にはもう十分です。
最後に、一連の指示を一括でやったらどうなるか見てみます。
以下の指示を順番に実施してください。
指示1:
シート「集計」を新設し、シート「予算」とシート「実算」の内容を統合した内容にしてください。
統合する際に必要な列は、それぞれの列名が等しい物だけを選んでください。
統合する際には、それぞれの行情報が「予算」か「実算」かがわかるような情報をA列に付加し、A列の列名を「項目」としてください。そして、シート「予算」とシート「実算」はそれぞれ1行目が列名になっています。
また、ダッシュボードを作成するうえで必要な「実算」ですが、11月以降の数字は入ってません。実算のない月は「0円」で埋めるようにしてください。
指示2:
「集計」シートの内容から、2025年度の予算と実算の推移がよくわかるダッシュボードを別シートに作成したいです。作り方は以下の通りです。なお、25年度の各月は「取引月」列を見てください。
「取引月」を横軸(単位は年月。「2025/04」のような形式」)、「金額」を縦軸にし、「項目」列=「予算」と「項目」列=「実算」の各月の合計額を示した棒グラフを作成してください。また、同じグラフ内に、「項目「予算」」と「項目「実算」」の積み上げをそれぞれ折れ線グラフで示してください。
指示3:
シート「ダッシュボード」にて、指示2で作成したグラフの下に「差額ウォーターフォール」を作成してください。実算の入力がある2025年4月から2025年10月までの数字を使い、「経費名」単位で作成してください。
各グラフの色使いやサイズは異なりますが、同じようなものができました。

当たり前の結果ではありますが、ブログ記事を書く前に作業の順番を書かずに指示したところ、エラーしたりループしたりしてうまくいかなかったケースもありました。雑すぎてもダメだということですね。
最後に
雑に指示をしてもうまく処理してくれることも多いエージェントモードですが、きれいなダッシュボードを作りたい場合は、M365 Copilotと対話しながら「Excelエージェントモードに指示するときのプロンプト例を教えて」と伝えれば精緻なプロンプトを用意してくれます。それをもとにしてエージェントに指示をすればいろんなものを作ってくれますが、全く同じ指示をしても違うアウトプットを出してくることも多いですし、「出来ました」とか言いながら何も出来ていないときもありました。欲張って一度に多くの指示を出すより、少しずつ依頼していく方が指示通りのものができる印象です。
これからもエージェントモードを利用していきたいですが、音声入力ができればより簡単に作成ができるので、その点は期待して待ちたいと思います。
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