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Gaussianのトラブルシューティング③

Gaussianを用いた量子化学計算では、計算条件の設定ミスや構造データの不備などにより、さまざまなエラーが発生することがあります。そこで本記事では、Gaussianを使用する際によく遭遇するエラーを例に、その原因と対処法について解説します。

これからGaussianを使い始める方はもちろん、日常的に計算を行っている方のトラブルシューティングの参考になれば幸いです。

※計算エラーの原因は系や計算条件によって異なります。本記事で紹介する内容はあくまで一例であり、必ずしも全てのケースで解決できるものではありません。


エラーメッセージ

Error termination request processed by link 9999.
Error termination via Lnk1e in /usr/local/g16/l9999.exe at Thu Sep  1 

原因

このエラーは、Gaussianの計算が正常に終了しなかった場合に出力されるメッセージです。

L9999自体はエラーの原因を示しているわけではなく、計算途中で何らかの問題が発生した結果として表示されます。

特に構造最適化計算では、
・最大最適化回数に到達した
・構造最適化が収束しなかった
・SCF計算が収束しなかった
・不適切な初期構造を与えた
などの原因で発生することがよくあります。

対処法

アウトプットファイルを開き、[Optimization Plot] を表示して最適化の収束状況を確認してください。構造最適化が収束しない場合、Optimization Plotを確認することで原因を推測できる場合があります。

大きく分けると、以下のようなパターンがよく見られます。

〇パターン①:エネルギーが徐々に減少しているが収束していない

image.png

この場合は、構造最適化自体は順調に進行しているものの、

・最大最適化回数(MaxCycle)に達した
・計算途中でエラーが発生した

などの可能性があります。

対処法としては、現在の最終構造を初期構造として再度構造最適化を実行することで、収束する場合があります。

また、

opt=(maxcycle=300)

のように MaxCycle の値を増やして最適化回数を延長することで、正常に収束するケースもあります。特に、エネルギーが徐々に低下している場合は、あと数ステップで収束することも少なくありません。

〇パターン②:エネルギーが大きく振動している

image.png

この場合は、構造が大きく変化していたり、SCF収束が不安定になっている可能性があります。

特に、

・初期構造が平衡構造から大きく離れている
・金属錯体や開殻系
・分子間相互作用が複雑な系

で発生しやすい傾向があります。

このような場合は、

opt=calcfc

scf=(xqc,maxcycle=512)

を指定することで改善することがあります。

また、一度構造を確認し、不自然な結合長や原子配置がないかを見直すことも重要です。

よく使うキーワード

opt=(maxcycle=N)

構造最適化の最大反復回数をN回に設定します。
Gaussianのデフォルト設定では、収束する前に最大反復回数へ到達してしまうことがあります。その場合は、この値を増やすことで最適化を継続できます。

opt=calcfc

最適化開始時に力定数行列(Force Constants、ヘッセ行列)を計算してから構造最適化を行います。初期構造が平衡構造から離れている場合や、大きな構造変化を伴う場合に収束性が改善することがあります。

opt=calcall

最適化の各ステップで力定数行列を再計算します。
収束性は向上しますが、その分計算時間も大幅に増加します。通常は opt=calcfc で改善しない場合に使用します。

scf=xqc

SCF計算の収束性を向上させるための設定です。
通常のSCF計算で収束しない場合に、より強力な収束アルゴリズムを使用します。

scf=(maxcycle=N)

SCFの最大反復回数をN回まで増やします。
特に遷移金属錯体や開殻系、大規模分子では有効な場合があります。

int=ultrafine

数値積分グリッドを細かくするオプションです。
DFT計算では交換相関エネルギーの評価に数値積分を使用しますが、グリッドが粗い場合、

・構造最適化が振動する
・振動数計算で異常な虚振動が現れる
・エネルギー変化が不安定になる

ことがあります。

特に、

・M06系
・遷移金属錯体

では有効な場合があります。

nosym

分子対称性を使用しない設定です。
Gaussianは自動的に分子の対称性を認識して計算を高速化しますが、

・構造最適化途中で対称性が変化する
・IRC計算
・遷移状態探索

では問題を起こす場合がありますので、nosymを追加することで改善することがあります。

guess=mix

初期軌道の生成時にα軌道とβ軌道を混合します。

主に

・開殻系
・ラジカル
・遷移金属錯体

で有効です。

お問い合わせ

量子化学計算、分子シミュレーション、計算科学に関する技術的なご相談や受託解析のご依頼がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
計算条件の検討、結果の解釈、反応機構解析、材料開発・創薬研究への活用など、幅広くサポートいたします。

株式会社Transition State Technology
WEBサイト:https://www.tstcl.jp/
【山口本社】
〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1
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【東京本社】
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