Gaussianのトラブルシューティング①
Gaussianを用いた量子化学計算では、計算条件の設定ミスや構造データの不備などにより、さまざまなエラーが発生することがあります。そこで本記事では、Gaussianを使用する際によく遭遇するエラーを例に、その原因と対処法について解説します。
これからGaussianを使い始める方はもちろん、日常的に計算を行っている方のトラブルシューティングの参考になれば幸いです。
※計算エラーの原因は系や計算条件によって異なります。本記事で紹介する内容はあくまで一例であり、必ずしも全てのケースで解決できるものではありません。
エラーメッセージ
The combination of multiplicity 2 and 18 electrons is impossible.
Error termination via Lnk1e in /usr/local/intel/g16/l301.exe at Thu Jun 4 11:47:07 2026.
Job cpu time: 0 days 0 hours 0 minutes 3.8 seconds.
Elapsed time: 0 days 0 hours 0 minutes 0.8 seconds.
File lengths (MBytes): RWF= 6 Int= 0 D2E= 0 Chk= 1 Scr= 1
原因
このエラーは、指定した 電荷(Charge) と スピン多重度(Multiplicity) の組み合わせが、電子数と整合していない場合に発生します。
例えば、
・電子数が偶数なのに二重項(Multiplicity = 2)を指定している
・電子数が奇数なのに一重項(Multiplicity = 1)を指定している
といったケースです。
Gaussianは計算開始時に電子数を確認するため、条件が矛盾している場合は即座に計算を終了します。
対処法
まずは、入力ファイルで指定している電荷(Charge)とスピン多重度(Multiplicity)が正しいかを確認してください。
例えば入力ファイルの
0 2
は、
電荷:0
スピン多重度:2(二重項)
を意味します。
電子数が偶数の中性分子の場合は、
0 1
が正しい設定である可能性があります。
その他の初期エラー
このエラーのように、計算開始直後に停止する場合は以下の原因も考えられます。
・原子同士が近すぎる
Small interatomic distances encountered: 7 5
Problem with the distance matrix.
Error termination via Lnk1e in /usr/local/intel/g16/l202.exe at Thu Jun 4 12:40:36 2026.
・構造作成時のミスにより、原子が重なっている
・キーワードやスペルの入力ミス
QPErr --- A syntax error was detected in the input line.
#p opt b3llyp/lanl2dz guess=mix geom=con
'
Last state= "GCL"
TCursr= 3880 LCursr= 7
Error termination via Lnk1e in /usr/local/intel/g16/l1.exe at Thu Jun 4 12:41:46 2026.
・オプション指定ミス
・存在しない元素の指定
Unrecognized atomic symbol: J
Symbol not recognized in MSubst.
Error termination via Lnk1e in /usr/local/intel/g16/l101.exe at Thu Jun 4 12:43:24 2026.
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