5
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

パウリゲートを各基底で書き下す

Last updated at Posted at 2021-02-18

この記事について

パウリゲート(XZY)を細かく見てみるで示した通り、パウリ$X$は下記のように行列もしくはbraketで一般化して書くことができました。

% basic braket 
\newcommand{\bra}[1]{\left\langle #1 \right|}
\newcommand{\ket}[1]{\left| #1 \right\rangle}
\newcommand{\bracket}[2]{\left\langle #1 \middle| #2 \right\rangle}
\newcommand{\ketbra}[2]{\left| #1 \right\rangle \left\langle #2 \right|}
\newcommand{\ketbraket}[3]{\left| #1 \right\rangle \left\langle #2 \middle| #3 \right\rangle}
% small-size
\newcommand{\bras}[1]{\left\langle {\scriptsize #1}  \right|}
\newcommand{\kets}[1]{\left| {\scriptsize #1}  \right\rangle}
\newcommand{\brackets}[2]{\left\langle {\scriptsize #1} \middle| {\scriptsize #2} \right\rangle}
\newcommand{\ketbras}[2]{\left| {\scriptsize #1} \right\rangle \left\langle {\scriptsize #2} \right|}
\newcommand{\ketbrakets}[3]{\left| {\scriptsize #1} \right\rangle \left\langle {\scriptsize #2} \middle| {\scriptsize #3} \right\rangle}
% Matrix
\newcommand{\tate}[2]{\begin{bmatrix} #1 \\ #2 \end{bmatrix}}
\newcommand{\yoko}[2]{\begin{bmatrix} #1 & #2 \end{bmatrix}}
\newcommand{\mtrx}[4]{\begin{bmatrix} #1 & #2 \\ #3 & #4 \end{bmatrix}}

X=\mtrx{0}{1}{1}{0}
\ \ \ \ \ \ \ \ 
X\ket{a}=\ket{\bar{a}}
\ \ \  
(a \in {0,1})

一方で、パウリ$X$は下記のようにZ基底である、$\ket{0},\ket{1}$を用いて書き下す事ができます。

X = \ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1}

計算によってはパウリゲートを基底の$braket$で表現するほうが便利なタイミングもありますので、書き下しておきたいと思います。
なお、本稿は下記の記事を前提としていますので、下記もご確認いただければ幸いです。

また、他の量子コンピュータ関係の他の記事は、下記で紹介しています。

おさらい

パウリゲートと基底の関係

最初に、各種基底にパウリゲートを適用した結果を復習しておきます。
なお、このチャートに関してはブロッホ球と各種ゲートの関係をご確認ください。

グローバル位相

パウリゲート適用で、$+1,-1,+i,-i$等の位相を吐き出すものもあるので、復習しておきます
なお、この表に関しては、ブロッホ球とグローバル位相についてをご確認ください。

対象の基底 Xゲート適用
$X\ket{\psi}$
Yゲート適用
$Y\ket{\psi}$
Zゲート適用
$Z\ket{\psi}$
$\ket{0}$ $\ket{1}$ $\color{red}{i}\ket{1}$ $\ket{0}$
$\ket{1}$ $\ket{0}$ $\color{red}{-i}\ket{0}$ $\color{red}{-1}\ket{1}$
$\ket{+}=\frac{\ket{0}+\ket{1}}{\sqrt{2}}$ $\ket{+}$ $\color{red}{-i}\ket{-}$ $\ket{-}$
$\ket{-}=\frac{\ket{0}-\ket{1}}{\sqrt{2}}$ $\color{red}{-1}\ket{-}$ $\color{red}{i}\ket{+}$ $\ket{+}$
$\ket{i}=\frac{\ket{0}+i\ket{1}}{\sqrt{2}}$ $\color{red}{i}\ket{i-}$ $\ket{i}$ $\ket{i-}$
$\ket{i-}=\frac{\ket{0}-i\ket{1}}{\sqrt{2}}$ $\color{red}{-i}\ket{i}$ $\color{red}{-1}\ket{i-}$ $\ket{i}$

パウリゲートを基底で書き下す

書き下しの意味

冒頭の下記の書き下しの意味を少し確認しておきましょう。

X = \ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1}

上記を用いて、$X\ket{0},X\ket{1}$を計算すると

\displaylines{
X\ket{0} = \ketbraket{1}{0}{0} + \ketbraket{0}{1}{0} = \ket{1}
\\
X\ket{1} = \ketbraket{1}{0}{1} + \ketbraket{0}{1}{1} = \ket{0}
}

上記と下記を見比べていただきたいのですが、パウリ$X$の入力・出力の関係が$braket$を用いて数式で表現されていることを確認できます。

X = \ketbra{入力_a時の出力}{入力_a} \ \ + \ \  \ketbra{入力_b時の出力}{入力_b}

パウリXは、

  • 入力$\ket{0}$に対して、出力$\ket{1}$
  • 入力$\ket{1}$に対して、出力$\ket{0}$

ですので、再度、冒頭の式を見るとご理解いただけるかと思います。

X = \ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1}

まとめると

では、パウリ$XYZ$を各種基底で書き下したいと思います。
最初に結果をしめします。位相変化する部分は、冒頭の表と同様に赤で示しています。

利用する基底     パウリ$X$        パウリ$Z$         パウリ$Y$    
Z基底
$\ket{0}\ket{1}$
$\ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1}$ $\ketbra{0}{0} \color{red}{-} \ketbra{1}{1}$ $\color{red}{i}\ketbra{1}{0} \color{red}{-i} \ketbra{0}{1}$
X基底
$\kets{+}\kets{-}$
$\ketbras{+}{+} \color{red}{-} \ketbras{-}{-}$ $\ketbras{-}{+} + \ketbras{+}{-}$ $\color{red}{-i}\ketbras{-}{+} \color{red}{+i} \ketbras{+}{-}$
Y基底
$\ket{i}\ket{i-}$
$\color{red}{i}\ketbra{i-}{i} \color{red}{-i} \ketbra{i}{i-})$ $\ketbra{i-}{i} + \ketbra{i}{i-}$ $\ketbra{i}{i} \color{red}{-} \ketbra{i-}{i-}$

演算子を計算する

自明ですが、$X^2\ket{0} = XX\ket{0} = \ket{0}$ですが、この$X^2$の演算子とはなにか?
を計算で求めておくことができます。

\displaylines{
X^2 = (\ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1})(\ketbra{1}{0} + \ketbra{0}{1})
\\
= \ket{1}\bracket{0}{1}\bra{0}
\ + \ 
\ket{1}\bracket{0}{0}\bra{1}
\\+
\ket{0}\bracket{1}{1}\bra{0}
\ + \ 
\ket{0}\bracket{1}{0}\bra{1}
}

上記を整理すると、

\ketbra{1}{1} + \ketbra{0}{0}

となり、$\ket{0}$なら$\ket{0}$、$\ket{1}$なら$\ket{1}$という関係なので、$X^2=I$だとわかりました。
シンプルな例ですが、演算子まとめての効果を理解する際に、行列計算でも良いのですが、$braket$による計算のほうが効率的な局面もある。(と理解しています)

まとめ

パウリゲートを各種基底で書き下し、その式を用いて演算子を計算してみました。
演算子の計算に関しては、もうちょっと理解が深まったら、別のパターンもまとめて見たいと思います。

5
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
5
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?