筆者は ShipPress という Mac アプリの開発者です。記事の最後に自作ツールの紹介を少しだけ含みます。前半の内容はツールを使わなくてもそのまま使えます。
Claude Code や Codex に WordPress のテーマやページを作らせると、かなりのところまで任せられます。一方で、エージェントは指示の範囲を少し越えてファイルを書き換えたり、DB の中身を変えたりすることがあります。ここでは、実際に AI に WordPress を触らせてきて「最初にやっておけばよかった」と感じたことを 5 つにまとめます。
1. 本番ではなくローカル(またはステージング)で作業させる
当たり前ですが一番効きます。本番サイトに SSH で入ったエージェントに直接作業させるのは避けて、ローカル環境かステージングで作業 → 確認してから反映、という流れにします。
ローカル環境は wp-env、Local、Docker など何でも構いません。大事なのは「壊れても困らない場所」で動かすことです。
2. 作業ディレクトリを絞る
エージェントにリポジトリ全体や WordPress のルートを渡すと、wp-config.php やコアファイルまで読みにいきます。テーマだけ作らせたいなら、エージェントの起動ディレクトリをテーマのフォルダにしておきます。
cd wp-content/themes/my-theme
claude # または codex など
Claude Code なら、プロジェクトの CLAUDE.md に「触ってよい範囲」を書いておくのも有効です。
## ルール
- 変更してよいのは wp-content/themes/my-theme 以下のみ
- wp-config.php とコアファイルは読まない・変更しない
- プラグインの追加は提案だけして、勝手にインストールしない
3. ファイルだけでなく DB もスナップショットを取る
ファイルは git で戻せますが、WordPress は投稿・固定ページ・メニュー・ブロックテーマのテンプレート編集結果などが DB に入っています。git だけでは「AI が作った固定ページを元に戻す」ことができません。
作業前に WP-CLI で DB を書き出しておきます。
# 作業前
wp db export backups/before-ai-$(date +%Y%m%d-%H%M).sql
# 戻したいとき
wp db import backups/before-ai-20261028-1300.sql
ファイル側は作業の区切りごとにコミットします。
git add -A && git commit -m "before: ヘッダーの色変更を依頼"
追記(コメントでいただいた補足):
wp db importはダンプに含まれるテーブルしか作り直さないため、スナップショット後にプラグインなどが追加したテーブルは復元後も残ります。作業前と復元後のテーブル一覧を比較しておきましょう。
# 作業前
wp db tables --all-tables > before.txt
# 復元後
wp db tables --all-tables | diff before.txt -
4. 1 回の依頼を小さくする
「サイト全体を作って」より「トップページのヒーローセクションだけ作って」のほうが、結果の確認も巻き戻しも楽です。依頼 → 確認 → スナップショット、を小さく回すと、どの指示で壊れたのかがすぐ分かります。
5. 反映前に差分を人間が見る
本番に持っていく前に、少なくとも次は確認しておきたいところです。
git diff --stat # どのファイルが変わったか
wp plugin list --status=active # 知らないプラグインが増えていないか
wp option get siteurl # URL が書き換わっていないか
siteurl や home がローカルの URL のまま本番に入ると、サイトが表示されなくなるので特に注意です。
まとめ
- 本番ではなくローカル/ステージングで
- エージェントの作業範囲を絞る
- ファイルは git、DB は
wp db exportで戻せるようにする - 依頼は小さく、確認してから次へ
- 反映前に差分と設定を確認
おまけ:これを自動でやるアプリを作っています
上の 1〜3 を毎回手でやるのが面倒だったので、Mac 用の無料アプリ ShipPress を作りました。ローカルの WordPress 環境をアプリが用意し、Claude Code / Codex / Grok Build / Antigravity CLI / Cursor CLI などの手持ちの AI CLI でサイトを組み立て、AI が変更するたびに復元ポイントを残します。できたサイトは InstaWP などのホスト連携、SSH、または静的書き出しで公開できます。
- ダウンロード: https://shippress.codotx.com/?ref=qiita
- 前回の記事(使い方の流れ): https://qiita.com/shippress/items/d284b5c66e31126c328e
ほかに「これをやっておくと安全」という工夫があれば、コメントで教えてもらえるとうれしいです。