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【開発組織】線を引き直して、同じ未来を見る ——マトリクスに切り替えた話

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Last updated at Posted at 2025-12-24

読後に得られるもの(3行)

  • なぜプロダクト開発組織をマトリクス型に変えたのか(背景と狙い)
  • “板挟み”を前提に、役割と意思決定をどう設計したか(実務の要点)
  • デメリットを踏まえつつ、変化に強い組織をどう運用するか(これから)

Schoo Advent Calendar 2025最終日担当、Schoo CTO加藤です。
今日は「プロダクト開発組織をマトリクス型に切り替えた話」を、社外の方にも伝わる粒度でまとめます。

TL;DR

  • 目的は「組織図を綺麗にする」ことではなく、プロダクトが進化するスピードを上げること
  • コンフリクトが起きやすいので、衝突を前提に役割・責任・意思決定を先に設計した
  • 結果として、メンバーの will が前に出やすくなり、自走が増えた(体感)
  • デメリットを理解して対策を立て、今後も変わり続ける前提で運用している

本記事は社外向けのため、社内の固有名詞や評価制度の詳細などは伏せています(ニュアンス重視で)。

変更の背景整理

Schooのプロダクト開発現場には、強みがあります。
体験を磨き込むデザイナー、価値の筋道を立てるプロダクトマネージャー、専門性の高いエンジニア。みんな真剣で、誠実で、プロダクトに責任を持っている。

ただ、ある時期から「もったいない」が積もってきました。

  • スクラムの意思決定に関わる人が増えがち
  • 「誰が最後に決めるか」が場面によって揺れる
  • 合意形成が丁寧なぶん、前進のテンポが重くなることがある

これは誰かの努力不足ではなく、真面目に関わろうとするほど構造の摩擦が出る、という種類の問題でした。

プロダクト開発は時に “ちゃんと決める” より “ちゃんと進める” が先に必要になります。検証が遅れるほど学びも遅れ、学びが遅れるほど次の一手も遅れる。

この「もったいない」を減らし、未来に向けて前に進む速度を上げるために、線を引き直しました。

マトリクス組織の概要

マトリクス型の発想はシンプルです。

  • プロダクト(領域)単位のチームに重心を置く(価値に責任を持つ単位を揃える)
  • 一方で、専門性の育成・標準化・採用などは職能ラインでも支える
  • つまり プロダクト軸 × 職能軸 の二軸で見る

やったこと一覧

以下が、今回の変更で「実際にやったこと」を整理したものです。

観点 やったこと 狙い
目的 組織図の整理ではなく、前進速度の向上を最上位に置く 何を優先するかをブレさせない
意思決定 チームに権限を持たせる 意思決定速度を上げる
検証速度 小さく出して改善を前提にする 実験の回転数を上げる
配置 3職種が同じ方向を見やすい単位に寄せる 優先順位のズレを減らす
コンフリクト対策 衝突を前提に、責任・権限・期待値を言語化 現場とマネージャーの迷いを減らす
導線 相談と決裁を混ぜない、エスカレーション導線を設計 詰まったら前に進める
運用 課題を見つけて直す「改善ループ」を回す 変化に強い組織にする
スタンス デメリットはゼロにしない。理解して引き受ける リターンを取りにいく

意思決定を再設計

組織変更で効くのは、人数配置より 日々の判断がどう行われるか です。
今回、特に重視したのはこの3つでした。

ここで、前日の Day24 でEMの山田が書いた記事がとても良い補助線になります。
優先度を明確にして同時並行を減らす」「チームで認識を揃える」「できたものから早く出して脳内メモリをクリアにする」という話は、意思決定を速くする設計と地続きです。

権限をもたせる

遅さの正体は「決裁を取りに行く」ことに時間がかかることでした。
だから、裁量を持たせ日々の決定をチームにて実施していく、情報共有は、関係者が同じ粒度で状況を把握できる形に寄せ、意思決定の前提情報をオープンにし、判断の透明性を上げました。

アップデート前提で出す

新機能は完璧な形で出すと遅くなります。検証を速く回すための体制を用意し、検証の回転数を上げるために、開発の“型”と役割分担を変えました。
※前提として、セキュリティと信頼性の基準は維持した上で、検証速度を上げています。

ディレクションを同じ方向へ

デザイナー・PdM・エンジニアが同じ目的に向かうように、チーム単位に目標を再設定しました。チーム側に重心を置くことで、同じゴールに対する会話が増えるようにしました。

課題を先回り

マトリクス組織の難所は、縦(プロダクト)と横(職能)の 衝突と板挟み です。
ここは「起きたら頑張る」だと、現場もマネージャーも消耗します。

なので今回は、コンフリクトを前提に 事前に丁寧に設計しました。

  • 各ポジションの 責任範囲/意思決定権限/期待値 を言語化
  • 迷いやすい論点は、人ではなく ルール に寄せる
  • 相談・エスカレーションの導線(最後に誰が決めるか)を決める
(補足)「線を引く」例
  • 優先順位が衝突したときの原則(どこで調整し、どこで決めるか)
  • 「相談したい」と「決めてほしい」を混同しない会話の型
  • 評価・育成の責任と、日々の成果の責任を混ぜない工夫

※詳細は会社ごとに違うので、ここでは雰囲気だけに留めます。

実験量を増やす

狙っているのは、次の4つです。

  • プロダクトグロースを力強く推進する
  • 新規プロトタイプを爆速にする
  • 検証の回転数を上げる
  • 意思決定を速くする

特に大事にしたいのは「実験の量」。
打席が増えれば学びが増える。学びが増えれば、次の判断の精度が上がる。

小さく出して、早く気づいて、磨いていく。
その循環が “自然に回る” 組織を作りたいです。

変化は通過点

強調しておきたいのですが、今回のマトリクス化は 到達点ではなく通過点です。
組織は一度作って終わりではなく、プロダクト・市場・事業フェーズに合わせて形を変え続けるもの。

むしろ 運用しながら直し続けること が、組織の筋肉になります。

willが強くなる

制度の話というより、空気の変化として嬉しかったのがここです。

  • 職能の枠を越えて「目的」から話すことが増えた
  • 「これ、やったほうがいいよね」がチームから自然に出てくる
  • 許可待ちではなく、前に進める選択肢を自分たちで持てる

will は命令で増えない。
でも、will が立ち上がりやすい構造にはできる。今回それを実感しました。

デメリットを受け入れる

マトリクス化には次のようなデメリットがあります。

  • 二軸になる分、調整コストが発生しやすい
  • 役割が曖昧だと、意思決定が逆に遅くなる
  • マネジメントが増えると、現場が “調整疲れ” しやすい

そこで私たちは「デメリットのない組織」を模索するのではなく、 デメリットを理解した上で、それ以上のリターンを取りにいく選択をしました。

そして、この形が将来のフェーズに合わなくなったら、変えていきます。理想形を固持するより、変化に強い状態であり続けることのほうが大事だと思っています。

最後にまとめ

プロダクト開発の速度は、ツールやプロセスだけで決まりません。
日々の小さな選択が、文化になって速度になります。

  • いま決めるべきことは何か
  • どこまでをチームで決めるのか
  • 完璧を待つより、学びを先に取りにいけないか

Schooは「学び」の会社です。
だからこそ、僕ら自身が いちばん学びが回るつくり方 を選び続けたいと思っています。

今回のマトリクス化は到達点ではなく通過点です。
組織は一度作って終わりではなく、プロダクトの学びや事業フェーズに合わせて 変化し続けるもの だと考えています。

マトリクスは万能ではありません。調整コストも増えます。
それでも今は、学びを速く回し、プロダクトを前に進める ための選択として、この形が最適だと思っています。

来年は、小さく出して、早く学んで、磨いたものが次々“定番”になっていく。
そんな一年にしていきます。

読んでいただき、ありがとうございました。


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