ユニークビジョンプログラミングコンテスト2022(AtCoder Beginner Contest 248) A~D問題の解説記事です。
灰色~茶色コーダーの方向けに解説しています。
その他のABC解説、動画などは以下です。
ユニークビジョン株式会社様について
ユニークビジョン株式会社様はSNSマーケティングツール「Belugaシリーズ」を開発しています。
興味のある方は求人情報を御覧ください。(採用は緑以上が目安のようです)
A - Lacked Number
0~9までの数字がSに含まれるか確認していきます。
ある文字がSに含まれるかは
if 文字 in S:
と書けば判定できます。逆に含まれないという場合はnotをつけて
if 文字 not in S:
と書きます。
例えば「1」が含まれるないかは
if "1" not in S:
と書いて判定します。「1」は数字でなく文字列なので「""」(ダブルクオーテーション)が必要なことに注意してください。
0~9までの数字を順番に確認しましょう。0~9までifを並べて答えを確認します。(提出1)
なお、0~9まで確認するところではforループを使うこともできます。(提出2)
for i in range(最後の数+1):
と書くことでi=0~9を代入して処理できます。
iを文字列にしなければならないので、ダブルクオーテーションの代わりにstrを使います。str(x)とするとxを文字列にしてくれます。
入力の受け取り、出力がわからない方は以下の記事を参考にしてください。
【提出1】
# 入力の受け取り
S=input()
# 「0」がSに含まれないならば
if "0" not in S:
# 「0」を出力
print(0)
elif "1" not in S:
print(1)
elif "2" not in S:
print(2)
elif "3" not in S:
print(3)
elif "4" not in S:
print(4)
elif "5" not in S:
print(5)
elif "6" not in S:
print(6)
elif "7" not in S:
print(7)
elif "8" not in S:
print(8)
elif "9" not in S:
print(9)
【提出2】
# 入力の受け取り
S=input()
# i=0~9
for i in range(10):
# i(を文字列にしたもの)がSに含まれないならば
if str(i) not in S:
# iを出力
print(i)
B - Slimes
B匹以上になるまで何回叫ぶか、実際にシミュレーションして確認します。
i回叫ぶとスライムの数はA*(K^i)匹になります。i=0,1,2,...とB匹以上になるまで計算していきます。
制約はB≤10^9なので最大でも30回叫べば必ずB以上になります。が、iの範囲をぎりぎりにするとなにか勘違いがあった時WAになってしまうので、てきとうに大きな数までを範囲にしておきましょう。
ところでB≤A*K^xという不等式から答えは「logK(B/A)の切り上げ」と計算した人がいるかもしれません。
数学的に間違いではないのですが、これは実装するとWAになります。log、B/Aの計算において少数が発生するためです。
コンピュータは無限小数を丸めて計算するため、誤差が出てしまいます。
【提出】
# 入力の受け取り
A,B,K=map(int,input().split())
# i=0,1,2,...
for i in range(10000000):
# スライムの数がB以上になったら
if B<=A*(K**i):
# 「i」を出力
print(i)
# 途中終了
exit()
C - Dice Sum
DPで解きます。
DPとは「ある状態までの答えがわかっていれば→その次の状態の答えも出せる」という手続きを何度も行って最終的な答えを出す方法です。
DPの解説動画を作りましたので、本問が難しいと感じた方は是非御覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=gVJ16ThsJYs
具体的な手順は以下です。
(1)表を作る
(2)すぐにわかるところを埋める
(3)表の小さい方から答えにたどり着くまで埋める
(4)答えを出力する
例として以下の入力を考えましょう。
N:4
M:4
K:7
(1)表を作る
作る表は「長さがiで、合計がxであるような数列の個数」とします。表の名前はdpとします。
例えばdp[3][4]なら「長さが3で、合計が4であるような数列の個数」です。
(2)すぐにわかるところを埋める
すぐにわかるのは1行目です。1行目は「長さが1で、合計がxであるような数列の個数」を表します。
長さが1の数列というのは要するに(1),(2),(3),...のことです。
例えばdp[1][1]というのは(1)の1個しかありません。dp[1][2],dp[1][3]も同様に(2),(3)の1個しかありません。
さらにM=4であるために(5),(6),(7)は作ることができません。よってdp[1][5],dp[1][6],dp[1][7]は0になります。
一般に考えると以下のようになります。
・(x≤M)dp[1][x]=1
・(M<x)dp[1][x]=0
(3)表の小さい方から答えにたどり着くまで埋める
2行目を考えましょう。2行目は「長さが2で、合計がxであるような数列の個数」を表します。
例えばdp[2][3]なら「長さが2で、合計が3であるような数列の個数」です。これは(1,2),(2,1)の2個があります。
すでに1行目、長さが1で合計がxの数列の個数はわかっています。長さが1の数列に数字をくっつけることで長さが2の数列を作れます。
例えばdp[1][1]で作った数列、(1)に「1」をくっつけることで(1,1)が作れ、長さが2、合計が2の数列が作れます。これ以外に長さが2で合計が2(dp[2][2])を作ることはできません。
他にdp[2][4]の作り方を考えると、
dp[1][1]で作った(1)に「3」をくっつけて(1,3)
dp[1][2]で作った(2)に「2」をくっつけて(2,2)
dp[1][3]で作った(3)に「1」をくっつけて(3,1)
と3個作れます。
これは表でいうとひとつ上の行の3以下の列を足しているのと同じです。
同様にdp[2][6]を考えてみましょう。
dp[1][1]で作った(1)に「5」をくっつけて(1,5)
dp[1][2]で作った(2)に「4」をくっつけて(2,4)
dp[1][3]で作った(3)に「3」をくっつけて(3,3)
dp[1][4]で作った(4)に「2」をくっつけて(4,2)
と、4個作れそうなところですがM=4なので『dp[1][1]で作った(1)に「5」をくっつけて(1,5)』はできません。
これは表でいうとひとつ上の行を4(=M)列分足しているのと同じです。
これを一般化すると以下のようになります。
・(2≤i)dp[i][x]=(dp[i-1][x-M]~dp[i-1][x-1]の和)
(4)答えを出力する
一般化した式で表を埋めると以下のようになります。
最後の行(i=4)は「長さが4で、合計がxであるような数列の個数」を表します。
よってdp[4][1]~dp[4][7]の総和が答えになります。
0+0+0+1+4+10+20=35
答えは「35」通りです。
998244353で割った余りは答えの出力直前ではなく、計算の都度取るようにしてください。計算の途中で桁数が大きくなりすぎるとTLEする場合があります。
pythonでは間に合わないのでpypyで提出します。
【提出】
# pypyで提出
# 入力の受け取り
N,M,K=map(int,input().split())
# 余りの定義
mod=998244353
# (1)表を作る
dp=[[0]*(K+1) for i in range(N+1)]
# (2)すぐにわかるところを埋める
# ・(x≤M)dp[1][x]=1
# ・(M<x)dp[1][x]=0
for x in range(1,M+1):
dp[1][x]=1
# (3)表の小さい方から答えにたどり着くまで埋める
# i=2~N
for i in range(2,N+1):
# x=1~K
for x in range(1,K+1):
# a=(x-M)~(x-1)
for a in range(x-M,x):
# aが1未満のとき
if a<1:
# 次のaへ
continue
# ・(2≤i)dp[i][x]=(dp[i-1][x-M]~dp[i-1][x-1]の和)
dp[i][x]+=dp[i-1][a]
# 余りを取る
dp[i][x]%=mod
# (4)答えを出力する
# 答え
ans=0
# x=1~K
for x in range(1,K+1):
# dp[N][1]~dp[N][K]の和
ans+=dp[N][x]
# 余りを取る
ans%=mod
# 答えを出力
print(ans)
D - Range Count Query
クエリが与えられる度区間にあるXの数を数えていると当然TLEします。
例として以下のような入力を考えます。
N:8
A:1 2 3 1 1 2 1 4
1,2,3,...について、Aのインデックス番号の何番目に来るかを記録しましょう。
例えば「1」については以下のようになります。
黄色部分は単なる通し番号だと思ってください。
1番目の「1」はA1=1
2番目の「1」はA4=4
3番目の「1」はA5=5
4番目の「1」はA7=7
というように確認します。
実装をやりやすくするため、左端に「0」、右端に「∞」を付け足します。
クエリ「3 7 1」が来た時、どうすれば計算できるか考えましょう。
L:3
R:7
X:1
まず右端から考えます。R=7は上表青い部分の4番目にあります。
次に左端です。L=3ですが3未満となるインデックスは上表青い部分の1番目にあります。
ここで黄色い部分を見ましょう。
右端=7は4番目にあります。これはA1~A7の中に「1」が4個あることを意味しています。
左端=3未満となる数は1番目にあります。これはA1~A2(3未満=2)の中に「1」が1個あることを意味しています。
ということは4個-1個=3個の「1」がA3~A7の中にあるということです。
これを一般に考えるとAL~ARの間にあるXの数は
(R以上で最小のXが何番目にあるか)-((L-1)以上で最小のXが何番目にあるか)
と計算できます・
「○○以上/以下で最小/最大」と言えば二分探索です。
以下の手順で(k以上で最小のXが何番目にあるか)を確認します。
左端:0
右端:インデックスの右端
中央=(左端+右端)//2として
・(中央)番目の数がk以下
→左端=中央と更新
・(中央)番目の数がkより大きい
→右端=中央と更新
これを(左端)-(右端)=1となるまで続けます。
結果得られた(左端)が(k以上で最小のXが何番目にあるか)を示しています。
二分探索が難しいと感じた方はABC231 C等簡単な問題で練習してみることをおすすめします。
問題:https://atcoder.jp/contests/abc231/tasks/abc231_c
解説:https://qiita.com/sano192/items/2b2656202b767109387e#c---counting-2
pythonでは間に合わないのでpypyで提出します。
【提出】
# pypyで提出
# 入力の受け取り
N=int(input())
A=list(map(int,input().split()))
# 1,2,3,...が何番目にあるかの記録 左端には「0」を入れておく
A_indx=[[0] for i in range(10**6)]
# i=0~(N-1)
for i in range(N):
# インデックス番号を記録
# 1インデックスなので「i+1」を記録することに注意
A_indx[A[i]].append(i+1)
# i=0~(N-1)
for i in range(10**6):
# 右端に∞=10^6を追加
A_indx[i].append(10**6)
# xについて、k以上で最小の数が何番目にあるかの確認
def Nibutan(x,k):
# 左端
l=0
# 右端
# 長さ-1
r=len(A_indx[x])-1
# 1<(右端)-(左端)の間
while 1<r-l:
# 中央=(左端+右端)//2
c=(l+r)//2
# ・(中央)番目の数がk以下
if A_indx[x][c]<=k:
# 左端=中央と更新
l=c
# ・(中央)番目の数がkより大きい
else:
# 右端=中央と更新
r=c
# (左端)を返す
return l
# 入力の受け取り
Q=int(input())
# Q回
for i in range(Q):
# 入力の受け取り
L,R,X=map(int,input().split())
# (L-1)以上で最小のXが何番目にあるか
indx_l=Nibutan(X, L-1)
# R以上で最小のXが何番目にあるか
indx_r=Nibutan(X, R)
# 答えを出力
print(indx_r-indx_l)
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