Arch Linux + GNOME + IBus-Mozc 環境でデフォルトの句読点を半角ピリオド + スペースにする

環境

• OS: Arch Linux
• デスクトップ環境: GNOME (Wayland)
• IME: Mozc (IBus-Mozc)
• プロトコル定義: protobuf

背景

日本語入力時に「、」「。」キーを押すと, 期待する「,␠（半角カンマ＋半角スペース）」「.␠（半角ピリオド＋半角スペース）」ではなく, 全角スペース（U+3000）が挿入される.
GUI設定だけでは半角化できず, 最終的にプロトコル定義を直接編集して解決した.

試した手順（すべて GUI ＋ローマ字テーブル）

1. Mozc 設定 GUI

   • 全般タブ → スペースの入力 → 半角
   • 入力補助タブ → 変換前/後文字列 → 半角統一

2. ローマ字テーブル編集

   • 先頭に , → ,␠ / . → .␠ を追加・優先化

3. スペースの書き換え

   protoc decode < config1.db > cfg.txt
   

   • space_character_form: FUNDAMENTAL_HALF_WIDTH へ変更

いずれも句読点直後のスペースだけ全角化され, 解決には至らなかった.

character_form_rules の修正

Mozc の設定には優先評価される character_form_rules テーブルがあり, 「句読点グループ（“、。”／UTF-8: \343\200\202\343\200\201）」の conversion_character_form が依然 FULL_WIDTH のまま残っていたため, 最終段で全角化されていた.

手順

1. 設定ディレクトリへ移動

   cd ~/.config/mozc
   

2. proto 定義を取得

   wget -O config.proto https://raw.githubusercontent.com/google/mozc/master/src/protocol/config.proto
   

3. config1.db → cfg.txt へデコード

   protoc -I. --decode=mozc.config.Config config.proto < config1.db > cfg.txt
   

4. スペースを編集

   • group: "、。" のブロックを探し,

     - conversion_character_form: FULL_WIDTH
     + conversion_character_form: HALF_WIDTH
     

   • 同様に group: "　"（全角スペース）があれば両方 HALF_WIDTH に統一

   • ない場合は下記を参照に追加：

     character_form_rules {
       group: "　"       # 全角スペース（U+3000）
       preedit_character_form: HALF_WIDTH
       conversion_character_form: HALF_WIDTH
     }
     

5. 再エンコード → config1.db へ上書き

   protoc -I. --encode=mozc.config.Config config.proto < cfg.txt > config1.new \
     && mv config1.new config1.db
   

6. Mozc 再起動

   pkill mozc_server
   ibus restart    # ログアウトでも可
   

結果

echo -n ', ' | hexdump -C

00000000  2c 20                                             |, |
00000002

• 「、」キー → ,␠
• 「。」キー → .␠
• どちらも後続のスペースが ASCII U+0020（半角）になった.

まとめ

GUI設定のみでは実現することが出来ず, character_form_rules を直接書き換えることで解決した.