VRChatで作成したアバターを、物理的な部屋の壁に立体的に表示させる方法をまとめました。
機材はプロジェクター1台。ソフトウェアはOBS、MadMapper、Unityの組み合わせです。
思ったより難しくなかったので、同じことをやってみたい人向けに手順を整理します。
全体の構成
大きく3つのフェーズに分かれます。
- OBS で映像を Spout2 送出する
- MadMapper で壁の角に合わせてマッピングする
- Unity でアバターとアニメーションを用意する
Phase 1: OBS Studio の環境構築
バージョン選定が最重要
「最新版を入れればいい」と思いがちですが、プラグインの互換性を考えると OBS 31.0.4 にバージョンダウンさせなければ動作しませんでした。
最新すぎるバージョンではプラグインが認識されない、またはクラッシュするケースがあるため、適したバージョンを推奨します。
- ダウンロード先: FilePuma - OBS Studio 31.0.4
Spout2 プラグインの導入
Spout2 は映像をソフト間で転送できる規格です。
OBS → MadMapper への映像受け渡しにはこれを使います。
設定手順:
- インストーラーを実行、または
obs-pluginsフォルダにファイルを配置する - OBS を起動し、アバターを映しているソース(VTube Studio のウィンドウキャプチャ等)を右クリック
- [フィルタ] を選択
- 「エフェクトフィルタ」の
+から [Spout Filter] を追加 -
Spout Sender Nameに任意の名前を入力する(例:Avatar_Live_Link) - プレビューで背景が透過されていることを確認する
送信名はあとで MadMapper 側から参照します。わかりやすい名前をつけておきましょう。
Phase 2: MadMapper による2面分割マッピング
※ 当初 VPT-8 を検討しましたが、現在公式サイトのダウンロードリンクが壊れており入手困難です。本ガイドでは MadMapper(デモ版) を使います。
- ダウンロード: MadMapper 公式
映像のインポート(Spout 受信)
- MadMapper を起動し、右側パネルの [Media] タブを開く
- [Live Inputs] → [Spout] をクリック
- OBS で設定した送信名(例:
Avatar_Live_Link)をダブルクリックしてアクティブ化
2面分割(Quad Surface)の設定
プロジェクター1台で部屋の角(2面)に映像を分割して当てる、これが今回の核心部分です。
| 手順 | 操作内容 | 使用する UI |
|---|---|---|
| 1 | Quad Surface を2つ作成する | 画面左上の [Add Quad] を2回クリック |
| 2 | 2つの Quad の境界線(中央の辺)を Stage View 上でぴったり重ねる | Stage View で各頂点をドラッグ |
| 3 | プロジェクターの光が壁の角に当たるよう、4隅を実際の壁形状に合わせて歪ませる | [Surfaces] リストから各 Quad を選択して調整 |
映像の切り出し(Input View)
1枚のアバター映像を左右に分割し、それぞれの面に割り当てます。
左壁用の Quad を選択した状態で:
Input View の選択枠を、映像の左半分(X座標 0.0 〜 0.5)だけ囲うよう設定
右壁用の Quad を選択した状態で:
同様に、映像の右半分(X座標 0.5 〜 1.0)を囲う
これにより、画面の左半分が左の壁に、右半分が右の壁に投影されます。
物理的な「角」が境界線となり、シームレスな立体表示が完成します。
天井を含めた三面構成にする場合はQuadを追加して座標を調節してください。
Phase 3: アバターのセッティング
アバターを用意する
まずプロジェクションに使うアバターを用意する必要があります。
VRChat 向けのアバターを持っていない場合は、以下の記事が Unity + VCC を使ったアバターのセットアップから丁寧に解説してくれているので参考にしてください。
VRC Avatar Viewer でアバターをデスクトップに表示する
アバターの用意ができたら、次は PC の画面上でそのアバターを表示するためのツールを導入します。
今回使うのは BOOTH で配布されている VRC アバタービューアー(VRC Avatar Viewer) です。
このツールの特徴は以下の通りです。
- VRChat を起動しなくてもアバターをプレビューできる
- 透過モード対応でデスクトップ上にアバターだけを常駐させられる(← これが今回の肝)
- PhysBone シミュレーション付きで揺れ物も動く
- Unity・VRCSDK 不要で動作する(専用エクスポーターで .avab ファイルを作成して読み込む)
セッティングの詳細な手順は BOOTH ページ内のドキュメントに記載されています。
必ずBOOTH内の解説を読んでからセットアップを進めてください。
Unity 上から専用の Exporter を使って .avab ファイルを作成する工程が必要です。
透過モードをオンにすると背景が透明になり、アバターだけがデスクトップ上に浮かびます。
この状態で OBS の「ウィンドウキャプチャ」でキャプチャすることで、Spout2 経由で MadMapper に映像を渡せます。
アニメーションを用意する
VRC Avatar Viewer のセッティングが終わったら、アバターに適用したいアニメーションを準備します。
このツールは以下の形式のアニメーションファイルを読み込めます。
| ファイル形式 | 説明 |
|---|---|
.anim |
Unity のアニメーションクリップ |
.vrma |
VRM Animation ファイル |
読み込みはツールバーのアニメーションボタンから行います。
アニメーションの用意については、以下の記事が非常に参考になりました。
この記事内で解説されているアニメーションファイルの抽出には注意点があります。
BOOTH 等で配布されている FBX 形式のモーションデータを使う場合、FBX 内のアニメーションクリップは読み取り専用のため、そのままでは使えません。
VCC ではなく通常の Unity でリグを設定し、アセット内からアニメーションファイルを抽出する必要があります。
Phase 4: プロジェクターで壁に投影して完成
ここまでの準備が整ったら、いよいよ実際にプロジェクターで壁に映します。



