GNU C ライブラリのジョーク（？）関数 "memfrob" #C

GNU C ライブラリに memfrob という変わった関数があったのでご紹介します。

memfrob(void *mem, size_t length) は mem からはじまる length バイトの領域に対し、1 バイトごとに 42 との排他的論理和を計算して上書きします。

つまりこういうことです。

#define _GNU_SOURCE
#include <stdio.h>
#include <string.h>

int main(void)
{
    char s[3] = { 9, 12, 5 };

    /* s を表示 */
    for (int i = 0; i < 3; ++i) printf("%d ", s[i]); printf("\n");

    /* 書き換えて表示 */
    memfrob(s, 3);
    for (int i = 0; i < 3; ++i) printf("%d ", s[i]); printf("\n");

    /* もう一回やる */
    memfrob(s, 3);
    for (int i = 0; i < 3; ++i) printf("%d ", s[i]); printf("\n");
}

9 12 5
35 38 47
9 12 5

排他的論理和を取ってるだけなので、二回やると元に戻るのがわかります。

Wiktionary によると、"frob" という動詞（あまり一般的ではない）は「ぐちゃぐちゃにする」、「いじくりまわす」という意味で使われるようです。

またシリコンバレーでは「自分にはわかるけど人に説明するのは難しい（あるいはめんどくさい）ことをやる」という意味のスラングとしても用いられるようです。

（Wiktionary から引用）Why don't you go get lunch? I need to frob with this thing for about 30 minutes and then we'll be good to go.
（拙訳）昼飯食べてていいぞ。こっちはあと三十分くらいこれをアレしなきゃいけないから。

この関数で文字列のちょっとした暗号化もできます。

#define _GNU_SOURCE
#include <stdio.h>
#include <string.h>

int main(void)
{
    /* ASCII 印字可能文字に変換されるのは大文字・小文字アルファベットと @ [ \ ] ^ _ ` { | } ~ のみ */
    /* 空白文字は改行に変換されてしまうのでちょっと扱いにくい */
    char s[] = "HelloWorld";
    puts(s);
    memfrob(s, strlen(s));
    puts(s);
    memfrob(s, strlen(s));
    puts(s);
}

HelloWorld
bOFFE}EXFN
HelloWorld

言うまでもないことですが、実用性は一切ない関数です。なんでこんなもん作ったんですかね・・・