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【PHP】2024年のPHP開発者を支える中心人物たちを勝手に紹介するよ

Last updated at Posted at 2024-07-22

PHPの隆盛を支えてきた開発者は非常にたくさん存在しますが、その中でも最近のPHPを支えている中心の有力者たちを紹介します。

選択の基準ですが、PHP FoundationStructureに載っている人です。
他にも紹介したい人はたくさんいるのですが、きりがないですし、そもそも私はPHP言語開発者たちやコミュニティと一切関わりのない全く無関係な人間なので勝手に選抜するのもなんだかなあということでやめておきます。

PHP Foundationとは

まずPHP Foundationって何なのかという話ですが、ここ数年PHP言語の発展を支えている団体です。

実は長らくの間PHP言語は、言語自体を支えている団体がおらず、ボランティアの個人が集まって開発が進められていました。
これは言語としてはかなり特異な状態であって、たとえばPHPと同列に語られがちなLLを見てみると、RubyにはRuby Association、PerlにはPerl Foundation、PythonにはPython Software Foundationといった具合でいずれも財団がバックについています。

しかしPHPについては、わざわざ個人を雇ってフルタイムで言語開発に従事させるという奇特な企業もあったりしましたが、あくまで個人単位に留まるものであり、全体を総括する団体などは存在しない状態がずっと続いていました。
しかしその後2021年あたりになんやかんやありましてPHP言語にもついに財団が設立されたという経緯になります。
これによって、財団から給料をもらいつつ仕事でPHP言語の開発を行うという道が開けました。

もちろん財団に属していなければPHP言語の開発ができないなどということはなく、財団から距離を保っている開発者もたくさんいます。
それどころか、実質的にPHPの進む方向を決める場となっているPHP RFCに対してPHP Foundationは何の決定権も持っておらず、財団に属していようがそうでなかろうが、開発者一人はただ1票の権利しか持っていません。
あくまで開発者たちを金銭的にバックアップする裏方ということですね。

Board

BoardはPHP Foundationの代表者、PHP言語のコア開発者、コミュニティリーダー等で構成される、まあお偉方です。
とはいえただの名ばかりおえらいさんではなく、実際凄い経歴の人が揃っています。

Sebastian Bergmann

PHPUnitの作者です。

そしてNikitaがPHP本体の開発から離れることとなった際、Stefan Priebschと共にPHP Foundation設立のきっかけとなったそうです。

Joe Watkins

phpdbgapcupthreadsといったPHP言語コア機能の作者です。

ただ2022年末あたりから急に音沙汰なくなりまして、理由としてはかなり体調を崩していたようです。
心配ですね。

Nils Adermann

Composerの作者です。
全てのPHP開発者は彼に足を向けて寝られません。

Benjamin Eberlei

PHPのパフォーマンス監視・モニタリングツールTidewaysの創設者です。

PHPコアではアトリビュートの実装、他にもDoctine/ormなど幅広く活動しています。

Josepha Haden

WordPressのエグゼクティブディレクターです。
アクセシビリティチームコミュニティなど多くのチームを率いているそうです。

ただこの人だけ唯一GitHubアカウントが存在しておらず、具体的にプレゼン以外に何をやってるのかはよくわかりませんでした。

Roman Pronskiy

PHP Foundation設立の第一報を伝えた、立役者の一人です。
他にも広報的なことを色々やっています。
PhpStormのマーケティングマネージャという立場も考えると、PHP Foundationに他の企業を幅広く巻き込むことに成功したのはこの人のおかげなのかもしれません。

Nicolas Grekas

SymfonyのContribution数2位です。

Symfonyの主要開発者であり、ということはつまりLaravelの親ということであり、Laravelの繁栄の築き上げたひとりということです。

Sara Golemon

PHPの主要開発者のひとりです。

PHP本体には2002年、つまりPHP4.2の時代から2024年のPHP8.4までcotributeし続けているという、ベテラン中のベテランです。

Nikita Popov

PHP本体のContribute数第2位です。

PHP5末期からPHP8.1あたりまで毎年4000以上のContributeというとんでもない仕事量で、PHPの進化・現代化に大きな役割を果たしました。
最近のPHPがガチガチ型になりつつあるのもほとんどこの人のせいです。
2021年末にPHP本体の開発からは離れたため、それ以降はPHPへのContributeは月一回程度となっています。

Matthew Weier O'Phinney

Laminas Project、旧Zend Frameworkのプロジェクトリーダーです。
これらはかつてのフレームワーク群雄割拠時代には存在感があったのですが、Laravel一強時代になり衰退してしまった感がありますね。

またPSRを定義しているPHP-FIGの創立メンバーであり、各種PSRの仕様決定と普及に努めています。

Core Developers

コアデベロッパーは、PHP Foundationから報酬を得てフルタイムもしくはパートタイムでPHP本体の開発を行っています。
2024年7月時点では10名が従事しています。
コアデベロッパーは時折募集していることがあるので、我こそはという人は応募してみてはいかがでしょうか。
もちろんそれまでにPHP本体への十分なContributeがないと無理ですけどね。

Derick Rethans

Xdebugの作者です。

このひとPHP Foundation設立宣言の運営側に名前が入っていて、つまり中の人なのですが、開発をやりたいんだといって利害を避けるために運営から手を引いたという筋金入りの開発者気質です。

Gina Peter Banyard

フランス語・ドイツ語・英語・日本語のマルチリンガルで、フランス語版PHPドキュメントのContribute数1位です。

PHP本体においても様々な新機能の発案既存の一貫性のない動作の修正、そして数多くのバグ修正にレビューと大活躍しています。

Ilija Tovilo

Throw文を式にしたいというアイデアを見てうっかり実装してしまったのが縁でPHP本体にcontributeをはじめました。

ここ最近ではプロパティフックという大きな機能の実装をやり遂げています。

Jakub Zelenka

Web Services Toolという汎用過ぎる名前の便利ツールを展開しています。

また、かつてJSONライブラリに存在したライセンス問題を、ライブラリを丸ごと入れ替えるという荒業で解決しました。
やりたいことがたくさんあるようです。

Máté Kocsis

php-version-benchmarksを公開し、結果を不定期に更新しています。
PHP言語がどれだけ高速化してきたかを見ることができるでしょう。

PHP本体には、主にドキュメントやテストを中心にcontributeしているようです。

Arnaud Le Blanc

Mentionという監視・分析ツールの創始者です。

またphp-rdkafkaというKafkaクライアントを公開しています。
PHP本体には主にデバッグで参加しているようですが、その傍らLazy Objects実装していました

David Carlier

フランス語版PHPドキュメントのContribute数2位です。

PHPだけではなくRustLLVMHeretic IIにと、たいへん幅広く活躍しています。

James Titcumb

get_browser()が内部で使っているbrowscap.ini、その本体であるBrowser Capabilities Projectの管理者です。
PHP専用というイメージが強いですが、ただのiniですし、他にもCSVやJSON等も提供しているので他言語からも使えます。
またLaminasMezzioにも数多くContributeしています。

PHP本体については、インストーラであるPIEをほぼ一人で作っています。

Saki Takamachi

本リスト唯一の日本人です。
PHPのコア開発をしたりRFCを作ったり歌を歌ったりしています。

そしてなんとPHP8.4のリリースマネージャに選ばれています。
実際PHP8.4初のリリースであるPHP8.4.0α1は彼女の手によって行われました。
すごいですね。

Shivam Mathur

Github ActionsでPHPをインストールできるsetup-php、Homebrew用のhomebrew-php、Ubuntu用のPHP Builderなどを作っています。

PHPだけではありませんが、2023年は6508contribution、2024年も半年で既に3000contribution超えと、Nikitaを越えるおかしな量のcontributeを数えています。

Community

主要なコミュニティメンバー。

Rasmus Lerdorf

言わずと知れたPHPの生みの親
数々の名言でも知られています

私は問題を解くのは好きですが、プログラミングは大嫌いです。

このツールは、コードを再利用することでプログラミングする手間を減らすために作りました。

プログラミングが大好きな人たちがいます。
どうして彼らがそんなにプログラミング大好きなのか、私には理解できません。

PHPは歯ブラシみたいなものです。
誰もが毎日使うシンプルで必要十分なツールですが、誰が歯ブラシについて詳しく知りたいと思いますか?

本物のプログラマであれば、メモリリークが見つかったら修正されなければならないと言うでしょう。
私なら10リクエスト毎にApacheを再起動します。

Dmitry Stogov

PHP本体のContribute数第1位であり、まさにPHP開発の中心人物です。

またJITを理解できる唯一の人物ということだそうで、どうしてこの人報酬もらってないんですかね。
土日には全くcontributeがないので、もしかしたら趣味ではプログラミングをしていない職業プログラマなのかもしれません。

Ayesh Karunaratne

PHP.Watchを作って、ニュースレターを6年間運用し続けています。
また殺風景でわかりにくいRFC見やすくビジュアライズしたり、MaxMindのGeoIPをPHPから使いやすいようにJSONにして公開したりと、色々と便利なことをやってくれています。

あとCobblestone pavementが大好きらしいんだけど、これは何かの比喩表現なんですかね?

Tobias Nyholm

AsyncAwsの管理者です。
公式のAWS SDK for PHPと異なり、名前のとおり非同期で動くのが特徴です。

他にもGuzzleSwooleHappyrにと、どうもHTTPリクエスト関連が好物みたいです。

Sergey Panteleev

ロシア語版PHPドキュメントのContribute数2位、PHP FoundationのWebサイトのContribute数1位です。

PHP8.2のリリースマネージャであり、PHPのソースコードからドキュメントまで様々な分野に活躍しています。

感想

みんなすごい。

当然ですが、みんなPHP本体や関連するフレームワーク、ライフサイクルなどに大きな貢献をしてきた人たちです。
しかし個人でできることにはやはり限界があります。
PHP Foundationはついにただの個人の集まりという壁を越え、多くの開発者がひとつの屋根の元に集いました。
今後のPHPがどのように進化していくか、ますます楽しみですね。

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