#概要
グローバル配信GvGゲームのQAにて、通信テストを実施するため日本と時差のある海外スタジオと国内スタジオ、自社の3拠点との連携を実施しました。
- 国内スタジオ:テスト
- 海外スタジオ:テスト
- 自社:開発、テスト進捗管理
海外スタジオとの連携においては、テスト方法やツール、環境など準備が必要なタスクはいろいろあると思いますが、今回この記事では複数拠点間での共通認識とスケジュール調整に焦点をあててお話します。
限定的な内容ですがこれから類似の経験をされる方の参考になればと思います。
#やってみて大変だったこと
###海外スタジオとのコミュニケーションを取りづらい
- 当たり前のことですが、テスト準備工程でも海外スタジオとのコミュニケーションは発生しますし、そのコミュニケーションにも時差があります。今回対応してもらった海外拠点とは10時間以上時差があったため、私視点だと日中に送った連絡に対してのレスが深夜に帰ってきて、翌日の日中にもらったレスへ回答をするという状況でした。今回私は深夜稼働をテスト当日にしか計画していなかったため、普段なら即レス可能な内容でもやり取りに数日間要してしまい、結果的にテスト期間に一部準備が差し掛かってしまいました。
- 海外スタジオと時間について会話する際に都度時間を変換して伝えなければならないため、ちょっとした会話でも思考のリソースを割かれていました。
- テスト当日もやり取りが多発することが想定されたため、オンラインミーティングの活用も相談しましたが、海外スタジオの場合同時通訳が行いづらくなるためチャットツールでコミュニケーションを実施する必要がありました。
###ステークホルダーが多い
- 国内スタジオ、海外スタジオ、エンジニアそれぞれと当日の動きについて認識をすり合わせたり、当日に向けた準備を連携する必要があり、多くのステークホルダーとのコミュニケーションが必要でした。
###スケジュールを組みづらい
- 各拠点で稼働時間帯、休憩時間帯がまちまちであったり、そもそも休憩時間を取るか取らないかも拠点によって異なるため、当日のスケジュールを調整しづらかった印象です。
#事前に準備しておくとよいこと
###国内・海外スタジオへの伝達が二度手間にならないオペレーションを組む
- 基本的な伝達事項はまとめて資料などに落とし込み、当該資料を各拠点へ共有すればある程度伝わるようにしておくことで、質疑応答を削減できます。
- 国内・海外スタジオ・自社(QA・開発)全関係者同じチャンネルでコミュニケーションすることで、二度以上同じことを言わなくてすみます。
###海外の時差によりコミュニケーションに時間がかかる前提で準備工程を進める
- 時差を踏まえコミュニケーションに時間がかかる前提でスケジュールを組んでおくか、期間的に余裕がない状況であれば各工程に深夜対応日を調整してタイムラグを防止しておくとスムーズかと思います。
- 国内スタジオよりも海外スタジオと少し優先的に不明点/懸念点のつぶしこみを行う意識でコミュニケーションを進めるくらいがよいと思います。
###時差の変換に脳内リソースを割かなくてよい仕組みを作る
- テストの当日スケジュールは各拠点ごとの時間とテストの流れを図表を用いて可視化し各拠点に共有すると、時差に惑わされず段取り通りに進めやすくなります。
国内拠点 | 海外拠点 | 国内スタジオ稼働 | 海外スタジオ稼働 | 通信テストの流れ |
---|---|---|---|---|
21:00 | 08:00 | 稼働開始 | 国内準備 | |
22:00 | 09:00 | ↓ | 国内練習 | |
23:00 | 10:00 | ↓ | 稼働開始 | 海外準備 |
00:00 | 11:00 | 休憩 | ↓ | 海外練習 |
01:00 | 12:00 | ↓ | ↓ | 本番① |
02:00 | 13:00 | ↓ | 休憩 | |
03:00 | 14:00 | ↓ | ↓ | 本番② |
04:00 | 15:00 | ↓ | ↓ | 本番③ |
###スケジュールに影響する各拠点の規則の発覚遅れを防ぐ
- 拠点ごとの規則は計画初期から余裕をもって各拠点に確認しておくことをオススメします。
- 各拠点の休憩時間を取るか取らないかと取る場合の時間帯
- 各社の深夜対応時の勤怠、単価の扱い
#さいごに
国内・海外スタジオを巻き込んでのテストは総じて大変でしたが、今回のような通信テストであれば国内での検証では発生しなかった通信不具合を検知できたり、国内と海外でGvGを行う際に通信ラグがどの程度あるかを把握できるなど品質担保する上で必要なケースもあると思いますので、この記事が海外を含む複数拠点の連携の一助になれば幸いです。
今回の内容は限定的なケースに関するお話でしたが、もっと海外配信アプリのテストについて情報が欲しいという方は、過去のアドベントカレンダーでも関連記事が参考になるのでご覧ください。