この記事について
本項目はモバイルゲームの海外配信時のQAに関する記事です。
私自身の経験をもとに、国内配信のみのQAと特に異なる項目を共有します。
概要
海外配信時のQAでは主に下記の点に注意すべきだと感じました。
-
新規開発段階
-
QAの担保領域の定義
-
人員の確保
-
検証端末の確保
-
運用段階
-
関係部署との連携体制の構築
-
計数管理体制の整備
新規開発段階
QAの担保領域の定義
国内配信のみのQAの場合、検証範囲は機能や表示が主となります。
それに対し海外配信時のQAでは言語周りの品質担保が焦点となりやすいです。
過去の事例では具体的に下記項目について
開発チームや翻訳チームと担保責任の整理を行いました。
- 該当の言語で表示されているか
- 文章の内容が間違っていないか
- 文章のニュアンスがあっているか
担保範囲によりQA側でアサインすべき人員や必要な工数が変化するため
この整理は早いタイミングで行うと良いと感じました。
人員の確保
人員をアサインする際にも念頭に置いておく要素がありました。
現地環境での検証や言語の詳細な検証を行う際に
協力会社の海外拠点の方をスポットでアサインする機会がありました。
その際、**「〇日前までにアサインを決める必要がある」**というルールが国によって異なっており
国内配信のみのQAの際よりも細かなアサインスケジュールの管理を要求されました。
このルールは認識から漏れるケースが多く
開発チームにも周知したうえでアサインルールを定める必要がありました。
(翻訳チームの認識から漏れるケースは少なかったです)
検証端末の確保
海外市場における端末(スマートフォンやタブレット)を100%カバーすることは不可能です。
そのためどこまでの検証環境で検証するかを開発チームと認識合わせする必要があります。
こちらの記事に中国における端末選定の記載があるので、ぜひ参照ください。
https://qiita.com/ohisama_rin/private/162d234a645755112b4f
運用段階
関係部署との連携体制の構築
国内配信のみのQAにおいて、運用段階へ移行する際に改善体制を強化するケースが多いです。
海外配信時のQAも例外ではなく運用段階から本格的な改善体制の構築を行いました。
国内配信のみのQAと異なるのは連携体制の種類です。
実装された機能だけでなく翻訳された文章も一つのアウトプットなので
QAから見ると開発チームと翻訳チームのそれぞれと連携を行う必要があります。
そのため改善のための連携体制や会議体が下記の3種類になることがありました。
手間にはなってしまいますが、目的ごとに体制を構築することで
連携漏れの防止や対象者を明確にした議論が行いやすくなります。
(状況によって1つの会議体で複数種類の連携を行うこともあります)
- 開発チーム ⇔ QAチームの連携
- 翻訳チーム ⇔ QAチームの連携
- 開発チーム ⇔ 翻訳チーム ⇔ QAチームの連携
計数管理体制の整備
言語ごとに異なる課題があるケースが多いため、海外配信時のQAでは言語ごとの計数管理体制の構築が必要です。
加えて開発チームと翻訳チームのそれぞれに共有するデータを下記のように分けて管理/共有しています。
-
to開発チーム
-
どの施策で障害が多いか
-
月ごとの障害推移がどうなっているか
-
to翻訳チーム
-
どの言語で障害が多いか
-
どの単語に関する指摘が多いか
最後に
この記事は以上となります。
今後、海外配信時のQAの機会は増えてくると思いますので
少しでも気づきになれば幸いです。