Elixir Digitalization Implementors/fukuoka.ex/kokura.exのpiacereです
ご覧いただいて、ありがとうございます
Phoenixにユーザ認証を導入してくれる「phx_gen_auth」は、そのまま使っても、機能的には支障が無い完成度ですが、プロダクション利用時は、見た目やメッセージ、開放許可する機能がデフォルトのままではダメなケースも多いかと思います
そこをプロダクション向きにカスタマイズするポイントを、何回かに分けて解説しようと思います
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本コラムの検証環境
本コラムは、以下環境で検証しています(Windowsで実施していますが、Linuxやmacでも動作する想定です)
- Windows 11
- Elixir 1.12.0 on WSL2 Ubuntu ※最新版のインストール手順はコチラ
- Phoenix 1.6.0 ※最新版のインストール手順はコチラ
- PostgreSQL 10.17 ※最新版のインストール手順はコチラ
なお、本コラム内で扱うPhoenix PJ名は「basic」を前提にしています
どんな風に変わるのか?
phx_gen_authのデフォルトは、以下のような感じで、見た目やメッセージ、バリデーション、あと開放許可する機能が、必ずしもプロダクション向きとは限りません
それでは、順を追って、改造ポイントを挙げていきますが、今回は、見た目や日本語化では無く、プロダクション化の際には一番手で必須になるであろう「メール通知の追加」です
事前準備:Phoenix PJ作成、phx_gen_auth導入
【2021/09/25追加】
Phoenix 1.6では、phx_gen_authが標準搭載となり、ライブラリ追加不要となりました
【2021/09/25追加】
Phoenix 1.6では、LiveViewが標準搭載となり、「--live」不要となりました(逆に不要時は「--no-live」を指定するようになりました)
Phoenix 1.6以降であれば、特に何も指定せず、Phoenix PJを作成します
> mix phx.new basic
Phoenix 1.5であれば、「--live」を付けて、PJを作成します
> mix phx.new basic --live
Phoenix 1.5時のみ、phx_gen_authを外部ライブラリとして追加します
defmodule Basic.MixProject do
…
defp deps do
[
{:phx_gen_auth, "~> 0.6"},
…
認証モジュールの追加を行います
> mix deps.get
> mix phx.gen.auth Accounts Account accounts
認証モジュール追加後、新たなライブラリ追加が自動的に行われるので、再度、ライブラリインストールを行い、DB作成/マイグレートし、Phoenixを起動します
> mix deps.get
> mix ecto.create
> mix ecto.migrate
> mix phx.server
http://localhost:4000
にアクセスして、右上に「Log in」リンク等が追加されていることを確認してください
①メール通知追加(ユーザ登録時/パスワードリセット時/メールアドレス変更時)
phx_gen_authは、ユーザ認証に必要なメール送付のコード挿入ポイントを明確にしていますが、実際にメールを送信する実装が入っていないため、これを各自で準備する必要があります
①-1:デフォルトのメール送付内容(ただしメール送信化されていない)をログで確認
【2021/09/25追加】
Phoenix 1.6に標準搭載のphx_gen_authでは、下記ログが出力されなくなりました
メール送付内容は、ユーザ登録時やパスワードリセット、メールアドレス変更を実行した際、Phoenix起動後のログとして追うことができます
iex> [info] POST /accounts/register
iex> [debug] Processing with BasicWeb.AccountRegistrationController.create/2
…
iex> [debug] QUERY OK source="accounts" db=0.0ms idle=547.0ms
SELECT TRUE FROM "accounts" AS u0 WHERE (u0."email" = $1) LIMIT 1 ["xxxxxx@xxxxxx.xxx"]
iex> [debug] QUERY OK db=0.0ms idle=813.0ms
INSERT INTO "accounts" ("email","hashed_password","inserted_at","updated_at") VALUES ($1,$2,$3,$4) RETURNING "id" ["xxxxxx@xxxxxx.xxx", "$pbkdf2-sha512$XXXXXX$XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX", ~N[2021-04-06 09:44:06], ~N[2021-04-06 09:44:06]]
iex> [debug] QUERY OK db=0.0ms idle=813.0ms
INSERT INTO "accounts_tokens" ("context","sent_to","token","account_id","inserted_at") VALUES ($1,$2,$3,$4,$5) RETURNING "id" ["confirm", "xxxxxx@xxxxxx.xxx", <<XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX, XXX>>, 4, ~N[2021-04-06 09:44:06]]
iex> [debug]
==============================
Hi xxxxxx@xxxxxx.xxx,
You can confirm your account by visiting the URL below:
https://xxxxx.xxxx/accounts/confirm/ihOpbTDv2-SKcFLM9_rVs-2Wt_I-YNOCjGMKilBntRg
If you didn't create an account with us, please ignore this.
==============================
デフォルトではメール送信に対応していないため、自分でメール送信ライブラリを導入し、メール送信を実装する必要があります
①-2:メール送信ライブラリ導入
【2021/09/25追加】
Phoenix 1.6では、メール送信ライブラリとして「Swoosh」が標準で入り、下記コード中にあったログ出力も削除されました
メール送信は、下記コードで実装されています
defmodule Basic.Accounts.AccountNotifier do
…
defp deliver(recipient, subject, body) do
email =
new()
|> to(recipient)
|> from({"MyApp", "contact@example.com"})
|> subject(subject)
|> text_body(body)
with {:ok, _metadata} <- Mailer.deliver(email) do
{:ok, email}
end
end
…
まずはメール送信ライブラリを導入します
下記、「①-2-1:Swoosh導入」か「①-2-2:Bamboo導入」のいずれかを実施してください
①-2-1:Swoosh導入
本体ライブラリは、Phoenix 1.6の場合、標準でバンドルされているため、SMTP用アダプターのみ追加します
defmodule Basic.MixProject do
use Mix.Project
…
defp deps do
[
{:gen_smtp, "~> 1.1"}, # <-- add here
…
ライブラリをインストールします
mix deps.get
①-2-2:Bamboo導入
本体ライブラリと、SMTP用アダプターを追加します
defmodule Basic.MixProject do
use Mix.Project
…
defp deps do
[
{:bamboo, "~> 2.2"}, # <-- add here
{:bamboo_smtp, "~> 4.1"}, # <-- add here
…
ライブラリをインストールします
mix deps.get
メール送信主体となるモジュールをlib配下の任意の場所に作ります
defmodule Basic.Mailer do
use Bamboo.Mailer, otp_app: :basic
end
①-3:メール送信設定
config.exsにSMTPメールサーバ情報を設定します
うち、「port」
は、SMTPサーバ毎に異なり、間違っていると、タイムアウトするまでメール送信が終わらない状態になるので、確認の上、設定してください
なお今回の例では、config.exsに直接パスワードやSMTPサーバを記載していますが、セキュリティを考慮する場合、環境変数に設定し、Application.get_env()で読み込む等の工夫をするのもアリです
下記は、「①-3-1:Swooshにおけるメール送信設定」か「①-3-2:Bambooにおけるメール送信設定」のいずれかを実施してください
①-3-1:Swooshにおけるメール送信設定
…
config :basic, Basic.Mailer, adapter: Swoosh.Adapters.SMTP,
relay: "【SMTPサーバのドメイン名 or IPアドレス】",
username: "【SMTPサーバのログインユーザID】",
password: "【SMTPサーバのログインパスワード】",
port: 【SMTPサーバのポート番号(SSL有と無で異なるケースあるので要注意)】
Phoenixを起動します
mix phx.server
①-3-2:Bambooにおけるメール送信設定
…
config :basic, Basic.Mailer, adapter: Bamboo.SMTPAdapter,
server: "【SMTPサーバのドメイン名 or IPアドレス】",
username: "【SMTPサーバのログインユーザID】",
password: "【SMTPサーバのログインパスワード】",
port: 【SMTPサーバのポート番号(SSL有と無で異なるケースあるので要注意)】
Phoenixを起動します
mix phx.server
①-4:メールfrom、subject、body設定
下記コードのfrom、subject、bodyを変更します
defmodule Basic.Accounts.AccountNotifier do
…
defp deliver(recipient, subject, body) do
email =
new()
|> to(recipient)
|> from({"【from表示名】", "【fromメールアドレス】"})
|> subject("【件名】")
|> text_body("【本文】")
with {:ok, _metadata} <- Mailer.deliver(email) do
{:ok, email}
end
end
…
これで、ユーザ登録時/パスワードリセット時/メールアドレス変更時の全てで、メール通知されるようになるので、動かして試してください
なお、一発で上手くいかない場合は、new() |> Mailer.deliver(email)
の部分をiexで手動で叩いて確認すると良いかも知れません
①-5:機能毎のsubject、body設定
さて、ここまででメールは飛ぶようになったのですが、本文がこのままだとプロダクションっぽく無いので、本文をカスタマイズします
上記と同じファイルの、以下箇所に本文テンプレートがあるので、ここをいじってください
各関数の#{url}は、メール本文中で、下記表のような用途のURLに置換されます
関数名 | 何のためのURLか? |
---|---|
deliver_user_confirmation_instructions | 仮登録から本登録への移行を受け付けるURL |
deliver_user_reset_password_instructions | パスワードリマインダのパスワードリセットページを表示するURL |
deliver_user_update_email_instructions | メールアドレス変更を受け付けるURL |
コードは下記の通りです
defmodule Basic.Accounts do
…
@doc """
Deliver instructions to confirm account.
"""
def deliver_user_confirmation_instructions(account, url) do
deliver(account.email, "Confirmation instructions", """
==============================
Hi #{account.email},
You can confirm your account by visiting the URL below:
#{url}
If you didn't create an account with us, please ignore this.
==============================
""")
end
@doc """
Deliver instructions to reset a account password.
"""
def deliver_user_reset_password_instructions(account, url) do
deliver(account.email, "Reset password instructions", """
==============================
Hi #{account.email},
You can reset your password by visiting the URL below:
#{url}
If you didn't request this change, please ignore this.
==============================
""")
end
@doc """
Deliver instructions to update a account email.
"""
def deliver_user_update_email_instructions(account, url) do
deliver(account.email, "Update email instructions", """
==============================
Hi #{account.email},
You can change your email by visiting the URL below:
#{url}
If you didn't request this change, please ignore this.
==============================
""")
end
end
たとえば、パスワードリマインダのメールをカスタマイズするなら、下記のような感じで、subjectとbodyを変更します
defmodule Basic.Accounts do
…
@doc """
Deliver instructions to reset a account password.
"""
def deliver_user_reset_password_instructions(account, url) do
deliver(account.email, "Please change your password", """
//////////////////////////////////
Hi #{account.email},
You can reset your password by visiting the URL below:
#{url}
If you didn't request this change, please ignore this.
//////////////////////////////////
""")
end
…
なお、本文を外部テンプレート.eexファイルに切り出して、ファイル読込するようにし、これら関数に渡すと、運用時の再リリースや、ソースコード直接編集が不要になるのでオススメです
最後に
今回は、ユーザ認証ライブラリ「phx_gen_auth」のプロダクション向け改造ポイントのうち、メール通知の追加について解説しました
メール通知は、phx_gen_auth導入直後、使えない状態でセットアップされるため、今回コラムで行った手順は、phx_gen_authでプロダクション開発する際は、最重要のポイントになるかと思います
なお、気が向いたら、上記を全てセッティングした会員制WebサイトのテンプレートをOSS化したいなぁって思っています … つまり、Elixir/Phoenixであれば、会員制Webサイトの構築をイチからやらなくて良くなります