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VCLのスタイルをFMXに変換し,リソースファイルを小さくしてダークモード切替に追随するアプリを作る

Last updated at Posted at 2022-12-02

本投稿は Delphi Advent Calendar 2022 #10 の記事です。

はじめに

Delphi 11.2では,GetItを使うとFMXで使うスタイルを手に入れられます。
しかし,まだWindows11のデーマがまだありません。VCLにはライトとダークのスタイルがあるのに,,
そこで,VCLのスタイルを,FMXのスタイルに変換します。
また,FMXのスタイルファイルは,テキストベースで,イメージがテキストにエンコードされています。
これをリソースとして使うとEXEファイルのサイズが大きくなってしまいます。
そこで,FMXのスタイルデザイナでFireMonkeyスタイルバイナリファイル(*.fsf)として保存し,リソースに追加したいと思います。

環境

Windows 10 Pro 21H2 / Delphi 11.2 Alexandria

Delphi Community Editionではテストしていません。

作業の手順

手順は以下のようになります。

  1. Windows11 Modern VCLスタイルをGetItで導入する。
  2. ビットマップスタイルデザイナでWindows11 Modern VCLスタイルをFMXスタイルに変換する。
  3. ダミーのFMXプロジェクトを作り,FireMonkeyスタイルバイナリを生成する
  4. スタイルを確認する。
  5. ダークモード切替するプロジェクトを作成する。

では始めましょう。

1. Windows11 Modern VCLスタイルをGetItで導入する。

DelphiのIDEを起動し,ツールメニューのGetItパッケージマネージャを選択します。
表示されたGetItパッケージマネージャの左ペインを以下のように設定します。
 絞り込み: すべて
 ソート順: 名前
 カテゴリ: Styles
すると,VCL Style - Windows11Dark 1.0VCL Style - Windows11Dark 1.0
が表示されますのでこの2つを指示に従ってインストールします。
VCL スタイルは,パブリックのドキュメントの Embarcadero\Studio\22.0\Styles にインストールされます。

2. ビットマップスタイルデザイナでWindows11 Modern VCLスタイルをFMXスタイルに変換する。

DelphiのIDEを起動し,ツールメニューのビットマップスタイルデザイナを選択します。
Snap0001.png
するとビットマップスタイルデザイナが起動します。
Snap0002.png
ファイルメニューの開くを選択して,パブリックのドキュメントの Embarcadero\Studio\22.0\Styles を開きます。
Snap0003.png
VCLのWindows11のスタイルを選択します。モードとファイル名は以下の関係になります。

モード ファイル名
ライトモード Windows11_Modern_Light.vsf
ダークモード Windows11_Modern_Dark.vsf

読み込んだ後,オブジェクトペインでImagesをクリックし,対象の画像をエクスポートして,画像を編集し更新することができます。
(試しに緑色で表示されるプログレスバーを青くしてみたところうまくいきました。)
ファイルメニューの名前を付けて保存を選択します。
Snap0004.png
ファイルの種類で**FireMonkeyスタイル(*.style)を選択して保存します。ファイル名は以下のようにしておくと分かりやすいです。
Snap0017.png

モード ファイル名
ライトモード Win11L.style
ダークモード Win11D.style

3. ダミーのFMXプロジェクトを作り,FireMonkeyスタイルバイナリを生成する。

FMXスタイルデザイナは,FMXフォームのStyleBookからでないと起動できません。
上記の作業でIDEが起動したままですので,IDEのファイルメニューの新規作成マルチデバイスアプリケーションを選択します。
Snap0005.png
マルチデバイスアプリケーションダイアログの空のアプリケーションを選択しOKボタンをクリックします。
Snap0006.png
フォームにStyleBookを張り付け,張り付けられたStyleBook1のアイコンをダブルクリックして,FMXスタイルデザイナを起動します。
Snap0007.png
スタイルデザイナタブの開くボタンをクリックして,前の作業で保存したFMXスタイルファイルを指定します。
Snap0008.png
スタイルデザイナタブの保存ボタンをクリックします。
Snap0009.png
ファイルの種類でFireMonkeyスタイルバイナリ(*.fsf)を選択して保存します。以下のように拡張子は必ず書いてください。
Snap0016.png

モード ファイル名
ライトモード Win11L.fsf
ダークモード Win11D.fsf

FMXスタイルデザイナを閉じます。そのとき,変更を反映させてください。

4. スタイルを確認する。

Form1のオブジェクトインスペクタで,StyleBookに変更を反映させたStyleBook1を指定すると,編集画面でフォームの外観以外のコントロールのスタイルが確認できます。
Snap0012.png 編集画面
Snap0013.png 実行画面
このような仮のプロジェクトファイルを使いまわせば,FMXフォームのスタイルを確認しながらFireMonkeyスタイルバイナリに変換できるでしょう。
確認できたら,プロジェクトを閉じます。

5. ダークモード切替するプロジェクトを作成する。

昨年のアドベントの記事で紹介したuThemeFMX.pasユニットを使って,ダークモード切替に津出生するアプリを作ります。
IDEのファイルメニューの新規作成マルチデバイスアプリケーションを選択します。
IDEのファイルメニューの新規作成ユニットを選択し,以下のコードをコピー&ペーストします。
Alexandriaで以前のコードがエラーを出していましたので修正しました。(元のコードも修正しています。)

uThemeFMX.pas
unit uThemeFMX;

interface

uses
  FMX.Forms, FMX.Platform.Win,
  Winapi.Windows,Winapi.Messages;

type
  TisATF=(fdAuto,fdTrue,fdFalse);           // 自動と強制設定を管理する

type
  TColorF=record
  case Cardinal of
    0: (C: Cardinal);
    1: (R, G, B, A: System.Byte);
  end;

var
  isWindows10:boolean; // Windows10か?
  AccentColor:TColorF; // アクセントカラー

function isLightTheme:boolean;              // LightThemeかDarkThemeか
procedure isLightThemeSet(AisATF:TisATF);

function ThemetFormWndProc(var uMsg:DWORD;var wParam:WPARAM):boolean; // テーマ更新の監視

implementation

uses
  System.SysUtils,
  System.Win.Registry;


procedure isWindows10Set; // Windows10か?
begin
  isWindows10:=CheckWin32Version(10, 0);
end;

function SysAccentColor:TColorF; // アクセントカラー
var
  Registry: TRegistry;
  C:TColorF;
begin
   Result.C:=$00000000;
   Registry := TRegistry.Create(KEY_READ);
   try
     Registry.RootKey := HKEY_CURRENT_USER;
     Registry.OpenKey('Software\Microsoft\Windows\DWM', False);
     C.C :=(Registry.ReadInteger('AccentColor') or $FF000000);
     Result.R:=C.B;
     Result.G:=C.G;
     Result.B:=C.R;
     Result.A:=$FF;
   finally
     Registry.Free;
   end;
end;

procedure SysAccentColorUpdate(wParam:NativeUInt);
var
  d:TColorF;
begin
  d.C:=wParam or $FF000000;
  AccentColor.R:=d.R;
  AccentColor.G:=d.G;
  AccentColor.B:=d.B;
  AccentColor.A:=$FF;
end;

function isSysLightTheme:boolean; // テーマは Light / Dark か?
var
 Registry: TRegistry;
begin
  Result:=True;
  Registry := TRegistry.Create(KEY_READ);
  try
    Registry.RootKey:= HKEY_CURRENT_USER;
    if Registry.OpenKey('Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Themes\Personalize', False) then begin
      Result := (Registry.ReadInteger('AppsUseLightTheme')=1);
    end;
  finally
    Registry.Free;
  end;
end;

var
  FisLightTheme:integer=1;

function isLightTheme:boolean;
begin
  Result:=((FisLightTheme and 1)=1)or(not isWindows10); // Windows7は常にLightTheme
end;

procedure isLightThemeAutoSet;
begin
  if isSysLightTheme then begin
    FisLightTheme:=1;
  end else begin
    FisLightTheme:=0;
  end;
end;

procedure isLightThemeSet(AisATF:TisATF); // テーマをセットする
begin
  case AisATF of
    fdAuto: isLightThemeAutoSet;
    fdTrue: FisLightTheme:=3;
   fdFalse: FisLightTheme:=2;
  end;
end;

procedure isLightThemeUpdate; // 自動更新なら更新する
begin
  if (FisLightTheme and 2)=0 then isLightThemeAutoSet;
end;

function AccentColorWndProc(var uMsg:DWORD;wParam:WPARAM):boolean; // アクセントカラーの監視
var
  ba:boolean;
begin
  ba:=uMsg = WM_DWMCOLORIZATIONCOLORCHANGED;
  if ba then begin
    SysAccentColorUpdate(wParam);  // アクセントカラーの変更
  end;
  Result:=ba;
end;

function ThemetFormWndProc(var uMsg:DWORD;var wParam:WPARAM):boolean; // テーマ更新の監視
// 親フォームのWndProcで監視する
var
  ba,bt:boolean;
begin
  ba:=AccentColorWndProc(uMsg,wParam); // アクセントカラーの監視
  bt:=uMsg = WM_SETTINGCHANGE;
  if bt then begin
    isLightThemeUpdate; // テーマ カラーの変更
  end;
  Result:=ba or bt;
end;

initialization
  isWindows10Set; // isWindwos10をセット
  AccentColor:=SysAccentColor; // アクセントカラー
  isLightThemeUpdate; // テーマ カラーの変更
end.

uThemeFMX.pasという名前で保存します。

切り替えるFMXスタイルバイナリをリソースに読み込みます。プロジェクトメニューからリソースと画像を選びます。
Snap0014.png
以下のようにスタイルバイナリを追加し,識別子を入力します

スタイル 識別子
Win11L.fsf Win11L
Win11D.fsf Win11D

Snap0015.png

Form1にRectangleコンポーネントを追加し,Unit1を以下のように編集します。

unit1.pas
unit Unit1;

interface

uses
  System.SysUtils, System.Types, System.UITypes, System.Classes, System.Variants,
  FMX.Types, FMX.Controls, FMX.Forms, FMX.Graphics, FMX.Dialogs, FMX.StdCtrls,
  FMX.Edit, FMX.Controls.Presentation, FMX.Objects;

type
  TForm1 = class(TForm)
    ProgressBar1: TProgressBar;
    Edit1: TEdit;
    Button1: TButton;
    Rectangle1: TRectangle;
    StyleBook1: TStyleBook;
    procedure FormCreate(Sender: TObject);
    procedure FormShow(Sender: TObject);
  private
    { private 宣言 }
  public
    { public 宣言 }
    procedure ThemeUpdate;
  end;

var
  Form1: TForm1;

implementation

{$R *.fmx}

uses
  FMX.Styles, FMX.Platform.Win,
  Winapi.Windows,
  uThemeFMX;

var
  WndProc:Pointer;

procedure ThemeUpdate(AForm:TForm1);
begin
  AForm.ThemeUpdate;
end;

function ThemeWndProc( hWnd: HWND; uMsg: DWORD; wParam: WPARAM; lParam: LPARAM): LRESULT; stdcall;
begin
  if ThemetFormWndProc(uMsg,wParam) then begin
    ThemeUpdate(Form1);
  end;
  Result := CallWindowProc(WndProc, hWnd, uMsg, wParam, lParam);
end;

function AddThemeWndProc(const AForm: TCommonCustomForm): Boolean;
var
  Wnd: HWND;
begin
  Wnd := FormToHWND(AForm);
  WndProc := Pointer(SetWindowLong(Wnd, GWL_WNDPROC, Integer(@ThemeWndProc)));
  Exit(WndProc <> nil);
end;

{ TForm1 }

procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
  AddThemeWndProc(Self);
end;

procedure TForm1.FormShow(Sender: TObject);
begin
  ThemeUpdate;
end;

procedure TForm1.ThemeUpdate;
var
  FMXStyle: TFmxObject;
begin
  if isLightTheme then begin
    FMXStyle:= TStyleStreaming.LoadFromResource(HInstance,'Win11L',RT_RCDATA);
  end else begin
    FMXStyle:= TStyleStreaming.LoadFromResource(HInstance,'Win11D',RT_RCDATA);
  end;
  TStyleManager.SetStyle(FMXStyle);
  Rectangle1.Fill.Color:=AccentColor.C;
  Invalidate;
end;

end.

動作中でもダークモード切替が動くようにしていますが,少し不安定な気がします。単体では安定して動作しているのですが,,
デーマ切換のメッセージに反応する部分は実装しないで,起動時の未反応するようにしたほうが良いのかもしれません。

ファイルサイズは,styleファイルをリソースとして使ったときよりfsfファイルをリソースとして使った方が約600KB小さくなりました。
1つのスタイル当たり300KBの減量です。今回はVCLのスタイルを使ったためイメージファイルが大きかったのですが,もともとFMXスタイルだったものであれば,その違いはもっと小さくなるのではないかと思います。

謝辞(引用元および参考文献)

貴重な情報を提供してくださった皆様,ありがとうございます。感謝します。

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