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【初心者向け】クラウドで始めるローコード・ノーコード開発まとめ(AWS, Google Cloud, Azure)

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クラウドで始めるローコード・ノーコード開発まとめ(AWS, Google Cloud, Azure)

対象読者

  • プログラミング経験はないが、業務を効率化するシステムを作りたい方
  • 「ローコード」「ノーコード」という言葉に興味がある方
  • AWS, Google Cloud, Azureが提供するツールの違いを知りたい方

TL;DR

  • ローコード/ノーコードは、専門的なプログラムを書かずにアプリケーション開発や自動化を実現する技術です。
  • 各クラウドは、特化型ツール(AWS)手軽さ重視(Google Cloud)、**オフィス製品との統合(Azure)**という異なる思想でサービスを展開しています。
  • 「何を作りたいか(アプリ、自動化、分析)」によって、最適なクラウドサービスを選ぶことが重要です。

はじめに:生成AIだけじゃない!誰もが「開発者」になれる時代

ローコード/ノーコードとは? - 料理に例えると

従来のアプリケーション開発は「一から食材を育てて料理を作る」ようなものでした。専門知識(プログラミング言語)と長い時間が必要でした。

ローコード/ノーコードは「カット済み野菜と合わせ調味料で料理を作る(あるいは冷凍食品を温める)」ことに似ています。用意された部品(機能)を画面上で組み合わせるだけで、素早く目的のシステムを完成させることができます。

  • ノーコード (No-Code): コードを一切書かずに開発します。直感的で非常に高速ですが、複雑なことは苦手な場合があります。
  • ローコード (Low-Code): 基本はノーコードで作り、必要な部分だけ少しコードを書いて拡張します。柔軟性が高いのが特徴です。

この技術により、エンジニアではない現場の担当者が自ら業務課題を解決する「市民開発者 (Citizen Developer)」という新しい働き方が広がっています。


第1章:各クラウドベンダーのアプローチ

各クラウドも、この「開発の民主化」に向けた強力なサービスを提供していますが、その思想には個性があります。

1-1. Google Cloud:現場主導の「手軽さ」最優先

Googleのアプローチは、Google Workspace(スプレッドシートなど)との強力な連携により、現場のユーザーが今日からすぐに使い始められる「手軽さ」を重視しています。

  • 思想・イメージ: 文房具の延長。使い慣れたスプレッドシートが、そのまま高機能なアプリに変身する魔法のような体験。
  • 中核サービス: AppSheet

    "AppSheet は、開発経験のない方でも、オーケストレーションされたビジネス アプリケーションや自動化されたワークフローを構築・導入することができます。"
    - Google Cloud - AppSheet とは

  • 特徴: データソースを用意すれば、AIが自動で初期アプリを生成してくれるなど、開発のハードルが極めて低いのが特徴です。

1-2. Microsoft Azure:Office製品との「統合」による圧倒的業務効率

Microsoftは、ExcelやPowerPoint、Teamsといった、すでに多くの企業で使われているOffice製品とのシームレスな連携を最大の強みとしています。

  • 思想・イメージ: Officeの進化形。いつものOfficeソフトと同じ感覚で操作でき、作ったアプリはすぐにTeamsで共有して使い始められる。
  • 中核サービス: Microsoft Power Platform (Power Apps, Power Automateなど)

    "Microsoft Power Platform は、Office 365、Dynamics 365、Azure、および数百もの他のアプリと連携し、エンドツーエンドのビジネス ソリューションを構築します。"
    - Microsoft - Power Platform の概要

  • 特徴: 組織全体のユーザー管理やセキュリティポリシーと統合されており、企業の公式なツールとして導入しやすい点も強みです。

1-3. AWS:目的特化型の強力な「専門ツール」群

AWSは汎用的な一つのプラットフォームというよりは、「モバイルアプリ開発ならこれ」「機械学習ならこれ」といった、特定の目的に特化した強力なサービスを個別に提供するアプローチです。

  • 思想・イメージ: プロ仕様の専用機。それぞれの分野で最高のパフォーマンスを発揮するように設計された、目的別の高性能ツール群。
  • 中核サービス: AWS Amplify (アプリ開発), Amazon SageMaker Canvas (機械学習) など

    "AWS Amplify は、フロントエンドのウェブ/モバイルデベロッパーが AWS 上でフルスタックアプリケーションを迅速かつ簡単に構築できるようにする...(中略)...専用のツールと機能のセットです。"
    - AWS - AWS Amplify とは

  • 特徴: 開発のしやすさだけでなく、将来的に本格的なコード開発へ移行したり、他のAWSサービスと深く連携したりする際の拡張性が非常に高いです。

第2章:【目的別】主要サービス徹底比較

ここからは「何を作りたいか」という目的別に、各社の代表的なサービスを見ていきましょう。

① 業務アプリ開発:「現場の『困った』をすぐに解決したい」

在庫管理、日報、設備点検など、データ入力や管理を行うアプリを素早く作りたい場合の選択肢です。

クラウド 主要サービス 特徴・公式情報
Google Cloud AppSheet 【最速でアプリ化】 スプレッドシート等のデータから、コードを書かずにマルチデバイス対応アプリを自動生成。「アイデアからアプリへ、数分で。」
Microsoft Azure Power Apps 【デザイン自由自在】 PowerPointのような直感的なUI設計と、Excelライクな関数でロジックを構築。「あらゆる人の手に、アプリ開発の力を。」
AWS AWS Amplify Studio 【Figmaと連携】 デザインツール「Figma」で作成したUIをそのままコード(React)として取り込み、視覚的にバックエンドと接続できる。「Figma からフルスタックの React アプリへ、数時間で。」

② 業務自動化:「単純な繰り返し作業から解放されたい」

「Aが起きたらBをする」という単純作業を自動化するロボット(ワークフロー)を作りたい場合です。

クラウド 主要サービス 特徴・公式情報
Microsoft Azure Power Automate 【豊富なコネクタ】 数百種類のサービス(Twitter, Dropbox, Google系も含む)をつなぎ合わせて自動化。「反復的なタスクやペーパーレスなプロセスを自動化します。」
Google Cloud AppSheet Automation 【データ連動型】 AppSheetアプリ内のデータの変更(追加、更新など)を検知して、メール送信や承認プロセスなどを自動実行。「インテリジェントなプロセス自動化により、手作業によるボトルネックを解消。」
AWS AWS Step Functions Workflow Studio 【AWSサービス連携】 主にAWS上の様々なサービスの処理フローを視覚的に設計・実行。開発者寄りのツールだが、GUIでの設計が可能。「分散アプリケーション、マイクロサービスのコンポーネントを視覚的なワークフローを使用して連携させます。」

③ データ分析・AI:「データから未来を予測したい」

専門知識なしで、機械学習を用いた予測モデルを作成し、ビジネスの意思決定に役立てたい場合です。

クラウド 主要サービス 特徴・公式情報
AWS Amazon SageMaker Canvas 【ビジネスアナリスト向け】 CSVをアップロードして予測したい項目を選ぶだけで、高精度なモデルを自動構築。「コードを 1 行も記述することなく、精度の高い機械学習 (ML) 予測を生成します。」
Google Cloud Vertex AI (AutoML) 【GoogleのAI技術】 画像分類、自然言語処理など、Googleの強力なAI技術をGUI操作だけで利用可能。「統合された AI プラットフォーム上で、ML モデルを構築、デプロイ、スケールします。」
Microsoft Azure Azure Machine Learning (デザイナー) 【ドラッグ&ドロップ】 データの前処理からモデルの学習・評価までのプロセスを、キャンバス上で視覚的に構築。「ドラッグ アンド ドロップで機械学習モデルを構築およびデプロイします。」

第3章:あなたに最適なサービスの選び方

これだけ選択肢があると迷ってしまいますが、まずは「今使っているツール」を基準に選ぶのが近道です。

  • Microsoft 365ユーザーなら: まずは Power Platform を試してみましょう。ログインの手間もなく、既存のExcelファイルなどをスムーズにアプリ化できます。
  • Google Workspaceユーザーなら: AppSheet が最適です。スプレッドシートのメニューから直接アプリを作成を開始できます。
  • これからクラウドを本格利用するなら: 目的に合わせて AWS の特化型サービスを選ぶことで、将来的な拡張性も確保できます。

まとめ

クラウドのローコード/ノーコードサービスは、これまでITエンジニアだけのものだった「システム開発」の扉を、すべての人に開放しました。

重要なのは、最初から完璧なシステムを目指さないことです。「自分のこの面倒な作業を少し楽にしたい」という小さな課題から、まずは一つのツールを触ってみてください。その小さな一歩が、やがて組織全体の大きな業務改善につながるはずです。

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