概要
IBM watsonx Orchestrate は、AI エージェントを活用してビジネスプロセスを自動化する強力なプラットフォームです。本記事では、Brave Search の MCP(Model Context Protocol)ツールを watsonx Orchestrate に統合し、AI エージェントがリアルタイムでウェブ検索を実行できるようにする手法を解説します。環境変数の必要なMCPサーバーの登録時に参考にしてもらえたらと思います。
注意: 本記事で紹介する手法は公式にサポートされていない可能性があります。また、残念ながら@modelcontextprotocol/server-brave-search パッケージはサポート終了しています。利用は自己責任でお願いします。
前提条件
- IBM watsonx Orchestrate へのアクセス権限
- Node.js 実行環境
- Brave Search API アカウント(無料プランで開始可能)
MCP(Model Context Protocol)とは
MCP は、AI モデルが外部ツールやデータソースと安全に連携するための標準プロトコルです。このプロトコルにより、LLM(Large Language Model)は構造化された方法で外部リソースにアクセスし、コンテキストを拡張できます。
セットアップ手順
1. Brave Search API キーの取得
- Brave Search API にアクセス
- アカウントを作成またはサインイン
- ダッシュボードから新しい API キーを生成
- API キーを安全な場所に保存
2. MCP サーバーの起動
cross-env
パッケージを使用して環境変数を設定することで期待通り動作しました。
npx -y cross-env BRAVE_API_KEY=your_api_key_here npx @modelcontextprotocol/server-brave-search
コマンド解説
-
npx -y
: 確認なしでパッケージを一時実行 -
cross-env
: クロスプラットフォーム対応の環境変数設定ツール -
BRAVE_API_KEY
: Brave Search API 認証用の環境変数 -
@modelcontextprotocol/server-brave-search
: Brave Search MCP サーバーパッケージ
3. watsonx Orchestrate での設定
- watsonx Orchestrate の管理コンソールにアクセス
- 新しい MCP サーバー接続を追加
- 上記コマンドを Install Command として設定
- 接続テストを実行
動作確認
設定完了後、以下の手順で動作を検証します:
- AI エージェントセッションを開始
- ウェブ検索を要求するクエリを実行
- Brave Search からの結果が適切に返されることを確認
期待される動作例
質問:
MCPって何?
AI エージェントの回答:
MCPは、Model Context Protocolの略で、AIアプリケーションがLLM(Large Language Model)と通信するためのオープンプロトコルです。MCPは、AIアプリケーションがLLMにコンテキストを提供するための標準化された方法を提供し、AIアプリケーションがLLMと安全に接続できるようにします。
試行錯誤した手法
失敗例1: Connection による環境変数設定
watsonx Orchestrate の Connection 機能を使用して環境変数を設定する試みは失敗しました:
Key: BRAVE_API_KEY
Value: your_api_key_here
この方法では、MCP サーバーが環境変数を認識できませんでした。
失敗例2: 直接的な環境変数設定
コマンド実行時の環境変数設定も機能しませんでした:
BRAVE_API_KEY=xxx npx @modelcontextprotocol/server-brave-search
watsonx Orchestrate の実行環境では、この方法で設定された環境変数が正しく認識されないようです。
まとめ
Brave Search MCP ツールの統合により、watsonx Orchestrate の AI エージェントは最新のウェブ情報にアクセスできるようになります。cross-env
を使用した方法は技術的な回避策ですが、プロトタイピングには実用的です。今後の watsonx Orchestrate のアップデートにより、さらに簡単で安全な統合方法が提供されることに期待です。もし、より良い設定方法があれば連絡いただけると助かります。