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統計検定2級に楽に合格する方法

Last updated at Posted at 2018-11-28

この記事について

先日統計検定2級を受けました。自己採点で合格点を採れていた(7割強)ので、勉強前の自分に伝えるつもりで勉強方法についてメモを残します。

勉強のコツは「深く考えないこと」

基礎統計学で使う公式にはオーバーテクノロジーが使われています。
たとえば以下は標準正規分布の確率密度関数の式です。あきらかに初学者の理解を拒んでいます。

f(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi \sigma^2}} \exp \left(-\frac{(x - \mu)^2}
{2\sigma^2} \right) \hspace{20px} (-\infty < x < \infty)

初めて教科書を見たときは面食らいましたが、別に今この式自体を理解する必要はありません。統計学の公式には少なくとも普通の大学の1・2年次では理解できない数学が使われているので、今頑張って考えても徒労におわるだけです。

統計検定2級の目的は推定統計学の各種分析方法を、道具として使えるようになることです。よって各種の分析方法について以下の点が抑えられていればOKです。

1.どのようなことを調べるために使うのか
2.計算方法
3.計算結果で何がわかるのか

計算方法がなぜ正しいのかについては、とりあえず今は考えないようにしましょう。円周率の求め方を知る人は少ないですが、直径から円周を求める方法は小学生でも知っています。まずは道具を使えるようになることが優先ということです。

深く考えない方がいいポイントは、具体的には以下の項目です。

1.正規分布、t分布、χ二乗分布等の確率密度関数
2.検定値を求めるための公式
3.自由度の決定方法

特に3番の自由度については注意しましょう。結構初学者向けの本を読みましたが、自由度について単純明快に腑に落ちる説明をしている記述にはついに出会えませんでした。

「標本分散から母分散を推定するために行う微調整の度合」というざっくりしたイメージができたら、あとは計算手続の一つとして受け入れましょう。このトラップに引っかからなければ、スムーズに学習をすすめられると思います。

※ 結局ここの説明が一番わかりやすかった。

※ あと数理統計学をやれば腑に落ちる理解が得られるとの情報もあった。

出題は易問8割+難問2割

統計検定2級の合格点は6割といわれています(公式ページでは7割)。
簡単そうに思われますが出題の2割くらいは相当実力が無いと解けない難問です。

これには統計検定に上位合格者を表彰する制度があり、なんとしても受験者に得点差をつける必要があるという理由によるものと思われます。一般の受験者には迷惑な話ですが、そのかわり残りの8割については基本さえ出来ていれば解ける問題となっています。

問題のなかから8割の易問を見つけ8割以上の精度で解きます。これで6割の合格ラインを超えることができます。ですので難問対策よりも基本をしっかり身に着ける勉強をしましょう。

おすすめ勉強法

合格者の話をいくつか集めてみましたが以下の順序で勉強すれば大丈夫です。

1.初学者向けの本を1、2冊読む
2.統計WEB 統計学の時間を進める
3.問題集を解く

※ これとは別に高校の確率組み合わせ・微積分の知識が必須になるので復習しましょう。

1.初学者向けの本を1、2冊読む

最初に平易な言葉で書かれた本や漫画で準備します。各種の分布や母数の推定、検定の考え方について慣れましょう。

私は「完全独習 統計学入門」を読みました。
他にも「まずはこの一冊から 意味がわかる統計学」や「単位が取れる統計ノート」の評判が良いようです。

一応注意しておきますが、統計検定2級は公式テキストの内容が最悪です。
Amazonの評価を見ればわかりますが、お金の無駄なので本屋で見つけても買わないようにしましょう。

2.「統計WEB 統計学の時間」を進める

統計検定2級のために過不足なく情報をまとめた非常にありがたいサイトです。基本的にここの学習コンテンツを1つづつ進めていけば大丈夫です。例や練習問題は必ず自分でも計算してください。

また統計WEBの説明が常に一番わかりやすいというわけでもありません。書店や図書館で自分に合った副読本をさがしましょう。

オススメしたいのが「統計学の図鑑 (まなびのずかん)」です。

小学校の図書館においてそうな見た目ですが分散分析や重回帰分析など統計検定2級の内容をおおよそカバーしています。
内容の要約力が高く、各分析手法をどのような目的でつかうのかが分かりやすく書かれています。文章より図で説明してほしい人にはありがたい本です。

Amazonの書評に「誰向けにかかれたのかわからない」とありますが、まちがいなく統計検定2級受験者向けです。是非手に取ってみてください。

3.問題集を解く

過去問(公式問題集)を解くのは重要ですが、当然問題ジャンルが整理されておらず問題数も少ないです。基礎力をつけるためには他の問題集が必要です。

2級の試験範囲に対応する問題集は2冊出ています。

難易度は大体同じですが、高専テキストの方は解答の解説が少なく不親切です。
手を付けるのは「統計学演習」からにしましょう。

統計学演習の内容の一部はここで読めます(問題本体の解説以外)。
http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~yasuda/statEN2/statENSYU.html

内容を確認していませんが、こちらの本も練習問題として使えるようです。

とにかく統計検定2級の勉強の基本は習うより慣れよです。練習問題を繰り返し解いて計算作業の煩雑さに慣れればより深い理解も見えてくると思います。

プログラムを使った学習法

統計学は実験の難しい分野なので、教科書の内容が実際に正しいのかどうか疑問に思うことがあります。そんなときはRやPythonを使って実験してみると納得できます。

[例]
1.ランダム関数で一様分布の標本を作る
2.1からランダムで標本平均を採って正規分布を作る
3.2から標本平均を採ってt分布を作ったり、標本の2乗和からχ2乗分布を作る

自分で作ったt分布が教科書の内容や組み込み関数の結果と同じになることを確認すると自信がつくのでオススメです。

他の方の合格体験記

こちらからは以上です。これから受験される方は頑張ってください。

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