1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Salesforceのレポートを2,000行以上エクスポートする方法を23通り比較した(2026年9月版)

1
Last updated at Posted at 2026-09-30

Salesforceのレポートは、画面に出るのが2,000行までです。3,000件あるはずのレポートを開いても、2,000行目で止まります。

私はこの上限に気づくのが遅れて、半日溶かしました。スプレッドシートに取り込んだ表の数式が急にエラーになって、自分が壊したと思い込んで、数式を戻したり列を戻したりしていました。壊れていたのはシートではなく、入ってくるデータの方でした。そのときの切り分け方は別の記事に書きました。

全件を手元に出す方法は、標準機能・開発者向けのツール・外部サービスを合わせると23通りありました。毎回どれを選ぶかで迷うので、表にまとめました。

選び方の分かれ目は、SOQLを書けるかどうかです。SOQLは、SQLに近い書き方でSalesforceのデータを取り出す構文で、「どのオブジェクトの、どの項目を、どの条件で」を指定します。レポートを画面で作れる人でもSOQLは書かないことが多いので、要るかどうかを表ごとに分けて書きました。

やりたいことから選ぶなら

やりたいこと 向いている方法(無料のもの)
1回だけ全件をファイルで欲しい エクスポート「詳細のみ」のCSV(行数の上限なし)
定期的にメールで受け取りたい レポート購読のファイル添付(1万5千行まで)
SOQLが書けて、全件を定期的に取りたい Data Loaderのコマンドライン、Salesforce CLI、REST APIを呼ぶ自作スクリプト
スプレッドシートに入れて自動更新したい Google純正のSalesforce Connector(ただし2,000行超は後述の注意あり)

23通りを並べます

件数の列は公表値だけです。自分で測った数字は混ぜず、表の下に分けました。公式ページに記載が見つからなかったものは、埋めずに「未確認」と書いています。「ステップアップ」は、2026年7月から有償組織で順に始まった仕組みで、ログインでMFAを通っていても、エクスポートするときに改めてMFAを求められます。

A. Salesforceの画面でできるもの(どれもSOQL不要・無料)

# 方法 1回で取れる件数(公表値) 自動更新 ステップアップ下 出典
1 レポートを実行して画面からコピー 2,000行まで表示 × 表示だけなら対象外 [1]
2 エクスポート「詳細のみ」CSV / XLS 行・列とも上限なし(実行は既定10分でタイムアウト) × エクスポート時に認証を求められる [2]
3 エクスポート「詳細のみ」XLSX 10万行・100列 × 同上 [2]
4 エクスポート「フォーマット済み」 表形式・サマリー: 10万行 / マトリックス: 2,000行 × 同上 [2]
5 印刷用表示(Classicのみ) 結合レポート: 2万行(ほかは未確認) × 記述が食い違っている(下の注) [3]
6 条件で分割して何回かエクスポート 1回ごとに上の上限 × 回数分求められる可能性 [1]
7 レポート購読でファイルを添付 1万5千行・30列・3MB(超えた分は切り捨て) ○ 対象外と公式FAQに記載 [4]
8 データエクスポートサービス オブジェクト単位でCSVをZIP化(1つ約512MB) ○(週1回、Professional・Developerは29日ごと) 公式の記載なし [5]

#7はLightningのみで、ヘルプにベータ表記があり、管理者が有効化する必要があります。#8はレポートではなく、オブジェクト全体が出ます。

※ #5の印刷用表示は、公式の記述が食い違っています。公式FAQ[14]は「エクスポートするときにのみ発動する」と書いていますが、既定ポリシーの名前は「エクスポート時または印刷時に…」で、Xappexも「エクスポートまたは印刷のたび」と説明しています[31]。印刷用表示での挙動は確認できていません。

B. 開発者向けのツール(#16以外はSOQLが要る・どれも無料)

# 方法 1回で取れる件数(公表値) 自動更新 ステップアップ下 出典
9 Data Loader(画面版) 公表値の記載なし × ログインはブラウザでMFA。取得はAPI経由 [6]
10 Data Loader(コマンドライン版・Windowsのみ) 同上 ○ 「1万件超のエクスポート」を止める既定ポリシーは画面からのエクスポートが対象で、API経由には及ばない [16]
11 Salesforce CLI sf data export bulk 「数百万件」想定(上限値の記載なし) ○ API経由 [8]
12 Workbench 未確認 × 対象外と公式FAQに記載 [9]
13 Salesforce Inspector Reloaded(Chrome拡張) 未確認 × 未確認 [10]
14 REST APIの query を自作スクリプトで呼ぶ 1回2,000件。nextRecordsUrlで続きを取れば全件 ○ 対象外(非対話型のAPI) [11]
15 Bulk API 2.0 を自作スクリプトで呼ぶ 上限の記載なし(24時間で結果1TB・ジョブ1万件) ○ 同上 [12]
16 レポートAPIを自作で呼ぶ(SOQL不要) 先頭2,000行まで ○ 同上 [13]

#9・#10のData Loaderで「最大1億5,000万件」という数字を見かけますが、この数字はBulk API 2.0で取り込むときのCSVの上限で、エクスポートの話ではありません。

C. 外部ツール

# ツール 件数(公表値) SOQL 自動更新 費用 出典
17 Google純正 Salesforce Connector(レポート取り込み) ヘルプに記載なし 不要 ○(4・8・24時間ごと) 無料 [17]
18 同コネクタ(SOQL / クエリビルダー) ヘルプに記載なし 要 ○ 無料 [17]
19 Excel / Power BI「Salesforce Reports」 2,000行(Salesforce側の制限と明記) 不要 ○ 各製品のライセンス [20]
20 Excel / Power BI「Salesforce Objects」 2,000行の制限なしと明記 不要 ○ 同上 [20]
21 G-Connector(Xappex) 無料版: レポートは2,000行 / Premium Full: 300万件/時 不要 ○(Premium Full) 無料〜30ドル/月・人 [21]
22 Coefficient Free: 5,000行 / Pro: 無制限 不要 ○(Starter: 毎日 / Pro: 毎時) Free / Starter 49ドル/月 / Pro 99ドル/月・人 [23]
23 ReportZen(スプレッドシートのアドオン) 上限の記載なし(2,000件ずつ続きを取って全件。表形式レポートのみ) 不要 ○(毎朝) 公式サイトに記載 [25]

#17はステップアップで2,000行超の取り込みが失敗するという報告があります(後述)。#21はステップアップの導入後、取得経路をレポートAPIへ退避させました。#22はヘルプで、高保証セッションの要求を外す設定を案内しています。#23は、人の操作を挟まないサーバー間の認証(クライアントクレデンシャルフロー)で接続します。

※ dataloader.io(MuleSoft)もオブジェクト単位のエクスポートに使えます。無料プランは月1万件・1ファイル10MB・定期実行1本までです[26]。レポートをそのまま取り込めるかは確認できなかったので、表からは外しました。

自分で測った分(公表値とは分けます)

2026年9月17日、Salesforce Developer Editionで#23のReportZenを使い、2,354件を全件取得しました。認証を求める画面は出ず、エラーも出ませんでした。

この数字から言えるのは、2,000行の壁には当たらなかった、というところまでです。Developer Editionのデータ容量は組織全体で5MBで[27]、1レコード約2KBとして逆算すると約2,500件が天井なので、2,354件でほぼ満タンです。これ以上の件数はこの組織には入りません。また、開発者組織はステップアップ認証の対象外なので[14]、ステップアップ下で動いた証拠にもなりません。

2026年に増えた「エクスポートのときの認証」

表の「ステップアップ下」の列の根拠は、次の公式の記載です。

画面ログインのMFA強制は、日本と韓国が2026年9月1日、それ以外は9月3日から始まっています[15]。

エクスポート時のステップアップ認証は、本番組織で2026年7月1日から約30日かけて順に適用されました。ログインでMFAを通っていても改めて聞かれます。聞かれる間隔は管理者が1〜120分で設定します[14]。

対象外とされているのは、定期配信・購読、非対話型のAPIアクセス、Developer Console・WorkbenchでのSOQL、モバイルアプリ、開発者組織などの無償組織です。ただし、このうち定期配信・購読、モバイルアプリ、無償組織の3つには「不具合が報告されており、Summer '26のパッチリリースで修正予定」の注記が付いています。APIアクセスとSOQLには付いていません。

要するに、#2〜#6の画面でエクスポートする方法は、有償組織ならステップアップを通る前提で考えることになります。#7の購読と、#9以降のAPI経由のものは、公式FAQの上では対象外です。

Google純正コネクタは、結局何行まで取れるのか

「純正コネクタはレポート経由だと2,000行で止まる」「SOQL経由なら無制限」という話をよく見かけますが、調べた限りではどちらも公式には確認できませんでした。

Googleのヘルプ[17]にもMarketplaceの掲載ページ[18]にも、行数の上限は書かれていません。「2,000」という数字自体が出てきません。2,000行はSalesforce側のレポートAPIの仕様で[13]、Microsoftのコネクタは同じ理由で2,000行が上限だと明記しています[20]。

2026年7月には、Googleのコミュニティに「2,000行を超えるレポートの取り込みが、ステップアップ認証で失敗するようになった」という投稿がありました[19]。本人確認履歴には理由「Export and Print Reports」の認証が保留のまま残り、アドオンは「全件を取るには接続を切って再認証してください」と警告を出したそうです。

つまり純正コネクタは、2,000行を超えるレポートをエクスポート相当の処理で取りにいっているように見えます。G-Connectorの開発元も同じ説明をして、自社ツールの経路をレポートAPIへ退避させました[31]。ただGoogleは仕組みを公表していません。SOQL経由も2022年に「1万2千行で止まった」という投稿があり[28]、無制限とは言い切れません。

やりたいことごとに、もう少し詳しく

  1. 1回だけ欲しい → #2のCSVエクスポートで足ります。10分でタイムアウトする大きさなら、#6のように条件で分けます。
  2. 毎週・毎月メールで届けばいい → #7の購読でファイルを添付します。1万5千行を超えるなら#8のデータエクスポートサービスか、API経由に移ります。
  3. SOQLを書ける人がいる → #10・#11・#14・#15から選びます。Google Apps Scriptで#14を自作する場合は、Apps Script側の制限が先に効きます[29]。1回の実行は6分まで、1回の取得は50MBまで、外部への取得は1日2万回(Google Workspaceなら10万回)までです。
  4. レポートの形のまま、スプレッドシートで自動更新したい → #17か#21〜#23です。2,000行を超えるレポートで#17がうまくいかないなら、コミュニティの報告にあったステップアップが原因かもしれません。なおGoogleスプレッドシート1ファイルのセル数は1,000万までです[30]。

もう1つ引っかかりやすいのが、「詳細のみ」でも形式で上限が変わることです。上限なしはCSVとXLSで、XLSXは10万行までです[2]。10万行を超えるレポートはCSVで出します。

エクスポートが通らないときの切り分けはこちらにまとめてあります。

出典(2026-09-18 確認)


筆者はReportZen(表の#23)の開発者です。比較表の値は、ReportZenの行も含めて各社の公式ページの記載に合わせました。誤りに気づいた方はコメントで教えてください。

1
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?