コミュニティに参加したことで、キャリアの選択肢が広がった

―― 佐藤さんと臼井さんにとって、コミュニティ参加によるキャリアへの影響はありましたか?
佐藤:はい、コミュニティなどで様々な人と出会い、交流したことが、キャリア形成に大きく影響したと感じています。エンジニアだった頃に参加したコミュニティで出会った方から、「あなたは開発をするよりも、マーケティングなどが向いているのでは」とアドバイスいただきました。また、ある女性エンジニア向けのイベントに参加した際にエンジニアを続けるか別の道に進むか迷っていたところ、登壇者の方が相談に乗ってくださいました。その方の知人から連絡をいただき、現LINEヤフー株式会社への入社につながった経験もあります。
臼井:私の場合は、普段、社内では女性エンジニアと会う機会がほとんどない中、GDG Tokyoへの参加を通してエンジニアを目指す学生や社会人の方々と交流することで、自分のキャリアの選択肢が大きく広がったと感じています。

―― コミュニティや技術イベントとの関わりを通して、どのような学びや気づきがありましたか?
臼井:あるイベントでAIや自然言語に関する話を聞いた際、自分の知らない世界が大きく広がった気がして面白く、このような機会をたくさん提供されていることに感動しました。そして単にイベントに参加するのではなく、運営側として関わった方がより大きな貢献ができる上に、自分自身の勉強にもなると考えるようになりました。
佐藤:コミュニティの運営にスタッフとして関わることは、とても大切です。本当にそのコミュニティに入って「学びたい/仲間を作りたい」と思うなら、スタッフとしての参加をおすすめします。臼井さんは最初からその姿勢を持っているのが素晴らしいですね。
森:私も前職で技術広報をしていた頃、コミュニティについて右も左も分からなかったので、周囲の勧めでイベントに参加していました。初めて技術系のカンファレンスに参加した際は、まるでお祭りのようなカジュアルな雰囲気に驚きました。所属する会社に関係なくわきあいあいとしていて、「こうした場を作ることが技術の進化につながるのだ」と腑に落ちた感覚がありました。それ以来、技術の進化を担う方々を支援する立場にいたいと思い、技術広報や人材育成の仕事に取り組んでいます。

藤田:私の場合は皆さんと比べると、コミュニティへの参加経験はあまり多くありません。会社で新しい技術・サービスを導入する際はコンサルティングの方に入っていただくことはありますが、基本的にはプロジェクトメンバーが自ら修得する流れとなっており、主に社内で進みます。そのため新しい技術・サービスに触れる機会はあるものの、コミュニティでの経験とは触れ方が違うことに改めて気づきました。
初めてのコミュニティ参加、不安をどう乗り越えるか

佐藤:コミュニティを運営している身からすると、大企業で働く方々があまりコミュニティへ来てくれないので、その方々のキャリアやロールの話が聞けないです。特に女性でマネジメント職に就いている方は希少なので、そのような方が情報を共有してくださると、女性エンジニアにとっても非常に役立つと考えています。
森:ぜひ、女性エンジニアのコミュニティ参加を積極的にあと押ししたいですね。大企業のようにセキュリティ意識の高い会社に所属されている方々はコミュニティ参加に消極的な印象もありますし、「参加できるけれど、登壇や交流などは上司に確認が必要」という声も聞きます。もちろん情報の制限は必要ですが、案外それ以外にも話せることは多いですし、横のつながりを持つことで企業側にもメリットはあるので、コミュニティへの参加も企業側が後押ししてくれると良いですよね。

―― 臼井さんはGDG Tokyoにスタッフとして入るとき、不安はありませんでしたか?
臼井:特に不安はなかったです。自分の性格的に、興味があったらそれほど深刻に考えずに挑戦してみます。初めての場所に1人で参加することに不安を感じる方もいると思いますが、私は1人でもやっていける性格であることも理由の1つだと思います。
アドバイスとして、イベント参加前に自分のモチベーションを明らかにしておくと良いでしょう。なんとなく参加してしまうと、他の参加者に声をかけることに意味を見出せなかったり、孤独を感じたりすることもあるかもしれません。私は常にイベントの参加目的をはっきり持っており、その目的を遂げられれば良いと考えています。
―― はじめてのコミュニティ参加で不安を感じている人に対して、コミュニティ側として意識されていることはありますか。
佐藤:コミュニティを運営する上では、内輪感を出しすぎないことを意識しています。内輪の盛り上がりが強すぎると、初めて来た人が入りづらくなってしまうためです。私自身も7年ほど前に「仲間を作りたい」と思って大きな技術イベントに1人で参加したのですが、内輪感が強く、居場所がないように感じました。結局1人でランチを食べて、「もうコミュニティになんか参加するものか!」と思いながら帰りました(笑)。そのため「初めて参加する人もウェルカムだよ」という雰囲気を、コミュニティー側が出す必要があると思い、意識して運営しています。
複数回の転職で、キャリアの軸が見えてきた

―― 森さんは転職を複数回経験されていますが、キャリアの軸みたいなものはありますか。
森:新卒の頃から一貫してグローバルに活躍したいという想いはありましたが、正直なところほかの軸はほとんどありませんでした。強いて言えば「日本のモノづくりを支援したいので、メーカー志望」くらいでした。そして、自分の考え方に合わせて転職を繰り返すうちに、徐々にキャリアの軸が見えてくるようになりました。
転機は2社目の自動車メーカーでサプライチェーンプロジェクトのPMOをやっていたときのことです。「開発は、なかなか奥深い」と感じて、IT系の会社に転職しました。技術広報の仕事に携わるうちに、技術者を支援することと、かつて携わっていたサプライチェーンにもう一度関わりたいという想いから、「IT×人を支援する×サプライチェーン」という軸ができ、その結果、今の仕事に落ち着きました。
―― 森さんは転職を重ねながら軸を見つけてきたとのことですが、藤田さんは長く同じグループで働かれています。その理由やモチベーションは何ですか?
藤田:一貫して、自分の中で「この会社で一人前になれた」と実感できる状態を目指してきたように思います。
そう思うようになった背景には、印象に残っている出来事があります。30歳前後の頃、プロジェクトで夜間に大きなトラブルがあり、サーバルームに駆けつける必要がありましたが、子どもが小さかったため、別の方にお願いすることしかできませんでした。言葉にできないもどかしさを感じた一方で、もし自分が行っていたとしても、お客さまが納得できる技術的な説明はできなかったであろうことも自覚しました。
今後は技術を十分に理解して、人に納得性のある説明をできるようになって、着実にプロジェクトを回していきたいと身に染みて思いました。それが自分の中の「一人前」の定義になり、まだ成長中だと思っています。
子育てとキャリア、悩みを乗り越えるために意識したこと

―― 仕事と家庭の両立についても教えてください。
藤田:話し出すと止まらなくなります(笑)。仕事と家庭の両立は決して順風満帆ではなく、うまくいかなかった時期や失敗もたくさん経験してきました。「もっと上手にできたのでは?」 と思うこともありますが、試行錯誤を続けてきたこと、そして諦めずに続けてきたこと自体が今の自分につながっていると思います。
子どもが小さい頃は特に熱を出すことも多く、やりたい仕事に思うようにチャレンジできない場合もありますよね。女性のキャリアを支援する体制は以前と比べるとかなり整ってきていると思いますが、両立を目指す中で、壁にぶつかる場面も少なくありません。それでも子育ては必ず手が離れる時期が訪れます。仕事を続けたいと思っているのであれば、細く長く続けるという考え方を持つことも大切だと思います。
佐藤:そうですよね。私は子どもがまだ小さい頃から、比較的自由に様々なことに取り組んできました。ただ、大企業で子育てと自分がやりたい仕事を両立できるかは、組織や家庭の事情によって変わると思います。藤田さんのお話は、仕事とプライベートとの両立に悩む方々にとって、ひとつの参考例として勇気を与えられる話だと思います。
藤田:私が一番大変だったのは、もう10年以上前の話になりますが「出張は行けないよね」という配慮でした。「行けますか?」と聞いてほしかったですね。現在の弊社では、アンコンシャスバイアスへの意識も高く、機会は平等に与えられていると思います。
ただ現実と照らし合わせて「自分は物理的にその仕事ができるのか」を考えて、周囲に伝えるべきだと思います。そのためには自分は何を一番大切にしたいかという優先順位を決めておくのが良いかもしれません。「今はできないけれど、将来はやりたい」というように、将来の可能性を残す伝え方も大事です。女性も活躍の機会を平等に与えてもらえる時代だからこそ、自分の考えや意思を周囲に伝える力が必要だと感じています。
佐藤:私は会社員時代、周囲に子どもがいることをあえて伝えていませんでした。 子どもがいると言った時点で「この仕事はできない」と決めつけられるのが嫌だったので。当時のプロジェクトチームメンバーは、私に子どもがいるのを今でも知らないかもしれません。絶対に子どもを言い訳にはしないと決めていました。
私の場合は夫が育児に協力してくれていたので上手に両立できましたが、両立が難しい人もいると思います。仕事に限らずですが、周りのサポートが必要な状況であれば甘えても構わないと思います。状況が変わってサポートが必要なくなったら、今度はサポートを必要としている人に対してできることをすれば良いのではないでしょうか。

―― 育児と仕事の両立について、何か聞きたいことはありますか?
森:私はまだ子どもはいませんが、今後のキャリアを考えると、細く長く仕事を続けていけるかどうか不安です。自分で仕事を抱え込んでしまうタイプなのですが、もし子どもができた場合、仕事をどのように調整すると良いのでしょうか?
藤田:抱えてがんばるタイプの人は、子供がいる・いないに関わらず多い気がしますが、物理的にできないことを抱え込んでしまうと、逆に周囲に迷惑をかけてしまうと思うんです。最初から頼るスキルを身につけようと考えて、周囲に任せようと意識すると、結果的に全体が上手く周ります。自分としては何かが満たされない気持ちになるかもしれませんが、その分は別のところで補えば良いでしょう。時が過ぎて振り返った際にトータルでオッケーになれるよう、少しの間耐えるくらいが良いと思います。
―― 「満たされない」というのは、どういうことですか?
藤田:「仕事を思い切りしたくてもできない」という満たされなさですね。
佐藤:そうですよね。子どもが小さい時期はやりたいことが思うようにできないので、本当に苦しいんです。しかし子どもの成長はその時期にしか見られませんし、上手に気持ちをシフトさせないとやりきれないと思います。私は生後3か月のときから子どもを預けて仕事をしていましたが、今振り返ると、子どもともっと向き合っておけば良かったと思います。この時期に無理をして仕事をしなくても、あとからいくらでも挽回できますから。
―― 先輩として、これから同じような境遇になる人への想いやアドバイスはありますか。
藤田:部下に子育て中の女性がいたら、まずは「自分はどう働きたいか」「何を大事にしたいか」を率直に話してもらえる関係でありたいと思っています。そのうえで、その人の考えや状況をきちんと聞きながら、一緒に現実的な選択肢を整理し、無理のない形でチャレンジできるようなサポートをしていきたいです。
同時に、周囲も子育てへの理解を深め、子育て中の女性がキャリアを諦めなくて済むような支援や役割の持ち方について、チーム全体で真剣に考えていくことが大切だと思っています。
登壇・執筆・社内共有など、多様なアウトプットの形

―― アウトプットでは、どのような活動をされていますか?
佐藤:私は登壇が多いですね。もともと話すことが得意で、いつか登壇できるようになりたいと思っていました。ブログ執筆も試してみましたが、飽き性なのでコンスタントに続けるのが難しくて、つい目の前の仕事をこなしてしまいます。その点登壇は、イベント当日に向けて1〜2か月集中的に準備をする短距離走なので続けられたのかもしれません。どんな方法でアウトプットするとしても、インプットと自分の中での積み重ねや検証が必要だと痛感しています。
臼井:私は登壇の他に、文章を書いて発信をしています。会社で手がけているノウハウシェアのサービスで書いたり、趣味でオープンソース関連の発信をしたりしています。オープンソースに書かれているコードはかなり綺麗で、品質が高いことが多いんですよ。はじめは勉強の一環でしたが、それをきっかけに発信もするようになりました。
―― オープンソースにコミットするって、不安な気もしてしまいます。
臼井:冷静に考えたら、オープンソースはたくさん出されているので誰かの目に触れるのは一瞬ですし、みんなリジェクトされているので気にしなくて良いかなと思います。恐怖や不安を感じるのは、自分に対する期待があるからだと思うんです。私は本当に若手の頃からオープンソースをはじめたので、「通れば嬉しいけれど、通らないことのほうが普通」と軽い気持ちでコミットしています。
―― そのスタンスは重要だと思いますし、核心を突かれました。 森さん、藤田さんはどうですか?
森:前職の技術広報時代にはブログやイベント登壇で会社紹介をしていました。現在はサプライチェーンマネジメント関連のトピックで社内向けの説明会に登壇したり、部署内のコミュニティにコメントを書き込んだりしていて、社内での情報共有が中心です。
なお「これだけは知っておいてほしい」という内容は、できるだけ口頭で説明をするように心がけています。 最終的にドキュメント化して、コミュニティに置いていますが、特にキャリア採用で入社してきた方はドキュメントを読むだけでは理解できない場合もあるので、口頭でも補足説明するようにしています。
藤田:プロジェクトを進めるうちにノウハウがどうしても散らばりやすいため、整理して共有できる形にまとめることを意識しています。以前はMicrosoft Officeのドキュメントで管理をしていましたが、最近は会社が開発ツールを積極的に導入していることもあり、それらを活用してアジャイル開発の中で効率的にナレッジを蓄積する取り組みも進んでいます。プロジェクトチーム全体として、成果物や学びを積極的にアウトプットして、次のプロジェクトへと持ち帰っていけるような循環を作ることを大切にしています。

―― 森さん、藤田さんは社外に向けてのアウトプットもされているんですか?
森:表に出るのが得意ではなく、これまで社外でのアウトプットはあまりしてきませんでした。しかし私の経験をぜひシェアしてほしいと様々な方から言っていただいたのが自信につながったのと、お伝えすることで何らかの形で役立ててくださる方がいることに気づいたので、今後はアウトプットの機会を増やしていきたいと考えています。
藤田:私も社外でのアウトプットはできていないです。特にコミュニティとの接点は、今まで少なかったと思います。今回のように、お話をいただいたときはできる限りお受けしているので、DEI関連や女性リーダーの研修では社外との関わりもありますが、普段は社内向けの発信が多いですね。
―― チームのアウトプットはどのように促進していますか?
藤田:「書いてください」と強制するのではなく、「せっかくだからまとめてほしい」と背中を押すようにしています。情報をまとめるのは得意なので、自分でやりたいと思うときもありますが、メンバー全員がアウトプットできるほうがチームとして良いと思っています。自分の知識を書くことが、メンバーの学びにもなりますよね。
アウトプットがもたらす気づきと成長

―― アウトプットを通して得た気づきを教えてください。
佐藤:アウトプットを重ねるほど、様々な人に自分のことを知ってもらえるという気づきが、すごく大きかったですね。昔は全然知り合いがいなかったのですが、コミュニティに入って周りのエンジニアと仲良くなるためにSNSで発信したり、積極的にコミュニケーションを取ったりする中で、自分のことを知ってくれる人が増えていったのは非常に大きな変化だと思います。
―― その変化について、もっと詳しく教えてください。
佐藤:私が発表することで「背中を押してもらえた」などのポジティブなフィードバックをいただくと、自分の経験が人のためになっていると思えて嬉しかったです。 これまでの人生で悔やむことがあっても、それがあって良かったと、自分の中でポジティブに変換できるようになりました。フィードバックは登壇者のモチベーションにもつながるので、アンケートの機会などではぜひ回答してほしいですね。
―― フィードバックにはポジティブ・ネガティブどちらもあると思います。ネガティブなフィードバックが来ると、落ち込むこともありますか?
佐藤:もちろん落ち込むこともあります。しかし話したことが全員に伝わるとは思っていないですし、イベントに参加する目的が人それぞれ違うゆえ、ある程度の行き違いは仕方ないと思います。情報発信の内容に改善点がないかなどは事前に検証するべきですが、ポジティブに受け止めてくれる人が1人でもいたら、それはまるっと大成功だと私は思っています。
臼井:私はそれほどネガティブなフィードバックをもらったことは、まだないです。ポジティブなフィードバックはたくさんいただいています。以前、オープンソース関連で発信をした際、誰にも読まれていないと思っていたところ、全然知らない人がXで「読んでこんな世界をはじめて知った」と感想を書いてくれていて、すごく嬉しかったです。

森:フィードバックはネガティブ・ポジティブ、どちらも次に生かせるので嬉しいですよね。前職ではネガティブなフィードバックをもらう機会も結構ありました。もちろん全部を正面から受け止める必要はないと思いますが、フィードバックの内容を取捨選択して改善するのがルーティンになると、メンタル的にも強くなっていく気がします。
藤田:ネガティブなフィードバックという点では、人事評価の360度評価なんかも当てはまるかなと思います。マネジメントをしていると、同僚などからポジティブ・ネガティブ両方のコメントを必須で書いてもらうようになっているので、ちょっと緊張します。特にネガティブなコメントは噛みしめるように読みますね。

―― 臼井さんは、アウトプットの活動を通して、何か変化はありましたか?
臼井:自分の知識や経験を発信することに対する不安感がなくなりました。例えばGoogle Cloudのアワードで賞をいただいた際、会社の公式メディアで発信してもらったんです。また、Google Cloudでの登壇や、2メートルほどもあるポスターを作成いただくなど、気づいたらもう世に出ちゃってたので、いつの間にか抵抗感がなくなりました。
自分のことを世の中に出すと、誰も見ていないと思いつつも、もしかしたら批判されるかもと思ってしまいます。しかし出してみると、意外とポジティブなフィードバックをもらえることのほうが多いです。まずは最初の一歩を踏み出すことが大事だと思います。
アウトプットで広がる世界、まずは小さな一歩から

―― コミュニティを運営したり、会社でマネジメントしたりしているみなさんから見て、アウトプットをサポートするための環境や雰囲気、文化づくりのコツを教えてください。
佐藤:ハードルを上げすぎないのがすごく大事だと思います。 「すごいアウトプットをしなければ」とプレッシャーを感じさせてしまうと、初めての人はアウトプットしづらいです。軽めなアウトプットで良いですし、アウトプットしてくれたときは、「発信してくれたことが素晴らしい」としっかりと伝えるようにしています。
企業では、Slackなどでスタンプを押すこともアウトプットしやすい環境づくりにつながります。アウトプットした人に対して称える文化をつくるのが大切だと思います。
臼井:そうですよね。昨今、心理的安全性という言葉をよく聞きますが、反応があることでアウトプットをした人は安心できます。コミュニティでも、新規の人が参加してくれたときにはXでコメントしたり、反応したりすることを心がけています。
―― パナソニック コネクトではいかがでしょうか。アウトプットを促進するという観点で、考えられていることがあれば教えてください。
藤田:情報発信の場をもっと作らなければと強く感じています。今日、みなさんのお話を聞いて、アウトプットするチャンスはいくらでもあると感じたので、チームやプロジェクトにおいて、アウトプットのあと押しに力を入れていきたいと思います。まずは「完璧でなくていいから出してみる」ことを歓迎できる雰囲気づくりから始めたいと考えています。
森:パナソニック コネクトは大きな組織なので、同じ会社にいるのに話したことがない人がたくさんいます。藤田さんとも、今日はじめてお話ししました。部署やエリアを越えた交流の機会は存在するものの、これまでは前のめりな人しか参加しないイメージがありました。しかし今日、みなさんとお話しして非常に楽しかったので、今後は積極的に交流の場に参加しようと思いました。
――アウトプットにおいて最初の一歩を踏み出すのに不安を抱えている人にメッセージをお願いします。
臼井:大層な記事を書かなくても良いので、まずは何か発信してみると良いと思います。誰も見ていないと思っても意外と見てくれる人がいます。私も他のエンジニアの記事をよく読みますが、その人の人間性や、どのような技術に興味を持っているかを知ることができて楽しいです。最初は自己紹介のような気持ちで、何でも良いので書いてみてほしいです。
森:前職時代、「ブログを書いてください」とお願いすると「何を書けばいいのか分からない」「自分の仕事を発信しても……」と尻込みしてしまう人が多かったように思います。しかし第三者から見ると、どの人の仕事も十分にすごいことで、実際にブログ記事を書いて公開すると、高いインプレッションを獲得することがよくありました。そしてブログを書いた人は、自分の仕事に自信がついてきて、積極的に判断できるようになっていきました。アウトプットは自分の仕事に自信を持つための過程でもあります。
佐藤:発信の方法は様々なので、自分が好きなものを選べば良いと思います。話すのが得意なら登壇やPodcast、書くのが好きならブログという感じです。「これなら始められる」「できそう」と感じる方法を探してみてほしいです。

臼井:登壇でいうと、LT(ライトニングトーク)なら登壇の初心者でも挑戦しやすいと思います。「どんな内容を話せば良いんだろう」と不安に思うかもしれませんが、出てしまえば運営のみなさんや参加者がサポートしてくれます。きっと想像しているよりも大変なことじゃないので、ぜひGDG Tokyoにもたくさんの方に登壇していただきたいですね。
森:そうですよね。 私も第一歩を踏み出してもらうことの大切さを身に染みて感じていて、「まずは何か書いてみましょう」というような発信をするようにしています。これからは、社外でも登壇したり、記事を書いたりしていきたいです。
藤田:私の所属する組織はプロジェクト制なので、成果がプロジェクト単位で評価されることが多く、個人の成果が目立ちにくいです。そのため、自分のスキルをアピールして、努力を発信することが大切だと思います。 マネージャーとしては、メンバーが希望に合ったプロジェクトで成長できるように調整していますが、普段から登壇や発信を通してアピールをしてもらえるとその人が何ができるのかを判断しやすくなります。日常的にアウトプットをすることは勉強に繋がるので、最大限活用してほしいですね。




