義務教育数学の「未解決問題(Unfinished Business)」の回収
義務教育課程で習う「等加速度直線運動の3公式」が以下となります。
【速度・加速度】等加速度直線運動の3公式の使い方がわかりません!
- 時刻$t$(Time)時点での速度$v$(単位$m/s$=Meter/Second)について初速$v_0$と加速度$α$(単位$m/s^2$)を使って表すと以下の式となる。
v(m/s)=v_0(m/s)+α(m/s^2)t
- さらに時刻$t$時点での変位$S$(単位m)を求める式が以下。
S(m)=v_0(m/s)t+\frac{1}{2}α(m/s^2)t^2
- そして速度$v$(単位m/s)と変位$S$(単位m)の関係を表した式が以下。
v(m/s)^2-v_0(m/s)^2=2α(m/s^2)S(m)
この内容には初学者向けの簡略化が施されています。通常一般的な重力加速度(状況により多少の分散幅がある)$α(m/s^2)$は0.98($m/s^2$)で計算されますが、ここであえて簡便化して「1」と置いてみましょう。
v(m/s)=v_0(m/s)+t
S(m)=v_0(m/s)t+\frac{1}{2}t^2
v(m/s)^2-v_0(m/s)^2=2S(m)
おやおや? これは冪乗算の微積分の公式そのものではありませんか?
\left(x^2\right)^{\prime} = 2x
\int xdx=\frac{x^2}{2} + C
\left(x \right)^{\prime}=1
\int dx=x+C
そう、実は当時習った事には
- 距離(m)を時間tで微分すると(一階微分)、速度v(m/s)
- さらに速度vを時間tで微分すると(二階微分)、加速度a($m/s^2$)
- 逆に加速度a($m/s^2$)を積分すると(一階積分)、速度v(m/s)
- さらに速度v(m/s)を積分すると(二階積分)、距離(m)
なる微分積分の数理が埋め込まれていたという訳です。
そして実は、こうして連続微分・連続積分を重ねても変わらない「変化量(傾き)1」は単位を持たない(単位の概念を超越した)無次元量(Dimensionless Quantity)だったりします。
Wikipedia「無次元量」
というより、そもそもN次元直交座標系(Cartesian Coordinate System)概念自体が「$N_0$における「1」に対応する「1」が各(直交)評価軸$N_n$にも存在する事」を前提に成立してる訳で、さらにそうやって1次元ずつに分解した各次元における「1の比率」を揃えた結果が線形分解式$a_0x_0+a_1x_1+…+a_nx_n$となる訳です。統計学でいうと標準化(Standardization)、すなわち各データ値xから平均$\bar{x}$を引いて標準偏差sで割った結果が該当しそうです($\frac{x-\bar{x}}{s}$)。
6-2. データを標準化してみよう
大源流における記述統計学との密接な関連性?
「習った筈の」曲率(curvature)」概念と曲率半径(Radius of Curvature)概念
この話が「(同じく一応は義務教育範囲とされている)曲率(curvature)」概念において改めて蒸し返される事になります。
曲率・曲率半径の感覚的な意味と求め方
曲率は,曲線上を速度1で進む物体の加速度ベクトルの大きさ(つまり,速度ベクトルを微分したものの大きさ)
大雑把な導出
- 時刻sにおける速度ベクトルを$v(s)$と微小領域$Δs$(十分小さい正の数での切り取り部分)を定義すると、以下が成立する。
|v(s-Δs)-v(s)|≒Δθ=\frac{Δs}{R}
- よって
\lim_{Δs→0}\frac{|v(s-Δs)-v(s)|}{Δs}|≒\frac{1}{R}
- 加速度の定義より,左辺は加速度ベクトルの大きさと一致する。
数学と物理の微妙な境界領域で、お恥ずかしいながらどちらの授業においても習った記憶がありません。調べるうちにとりあえず以下の事がわかってきました。
- ある線を円弧で近似するとどれくらいの半径(曲率半径(Radius of Curvature))になるか示す基準で、曲率はその逆数。なので「曲率」自体を幾何学的にイメージするのは難しく、その逆に「曲率半径」を思い浮かべるのは比較的容易といえよう。
地球平面説信者には微積分概念が足りてない? - 一番有名なのが「曲率0(曲率半径$\tilde{∞}$)」と規定される直線の場合。確かガウスが無限遠点$\tilde{∞}$を「円の中心から延ばされた垂線がどれも平行にしか観測されない距離」と規定していたが、まさにそれ。そもそも平面で考えたとして、線で区切られた2領域のどちら側に中心があるかすら分からない。
- 同じくらい有名なのが「曲率1(曲率半径1)」と規定される半径一の単位円ないしは単位球面。どの方角に水平に1進もうとしても、同時に垂直方向に-1進んでしまい、これを同じ方角に向けて4回繰り返すと元の位置に戻ってきてしまう。
- 理論上は「曲率$\tilde{∞}$(曲率半径0)」というパターンも考えられる。以下の投稿で取り上げた「単極球状体(Monopolar Sphere)」あたりがそのイメージで、それで「距離も角度も測れない(計測結果が全て事実上有意味水準を超えない)、つまり名義尺度(Nominal Scale)の元の寄せ集め集合」というイメージ。
「1」を巡る冒険
ただし、どう調べてもこの状況をシミュレートする方法が見つかりません。そうやって数年に及ぶ私のジタバタが始まった訳です。もちろんこの現代に数学素人が新たな数理を発見するなんて奇跡が起こるはずもなく、それは誰もが知ってる「ちょっとした数理」をいくつか組み合わせる事で達成される運びとなったのでした。
指数写像(Exponential Mapping)概念と対数写像(Logarithmic mapping)概念の導入
とにかく最初に習熟を要求されたのは「ネイピア数e(2.718282…)を底とする自然指数と自然対数」の「取り回し」。義務教育課程では公式の暗記が中心だったので、まずこの「取り回す」感覚そのものを習得する必要があったのです。
ネイピア数
そして、ここに述べた「傾き1」を「実数を実数たらしめる乗法単位元1」と関係付け、「それは1次元、すなわち実数線のみの空環ではどうなるのか?」なる発想から到達した「複素円筒座標系」概念。
オイラーの公式$e^{πi}=cos(θ)+sin(θ)i$が「近似」に過ぎないと実感する様になったのはこの頃だったでしょうか。そして最近になってやっと、そもそもの迷走の原因が「(群論、特に線形リー群とリー代数の往復に使われる)」指数写像(Exponential Mapping)と対数写像(Logarithmic mapping)が超冪(Tetration)の概念に由来する事を見逃していたせいと気付く羽目に陥ったのです。そしてようやく完成したのが以下の遷移図という…
Wikipedia「テトレーション」
%matplotlib nbagg
import math as m
import cmath as c
import numpy as num
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
import matplotlib.animation as animation
#円柱データ作成
c0=num.linspace(0,m.pi*120,1201,endpoint = True)
s0=[]
for nm in range(len(c0)):
s0.append(complex(m.cos(c0[nm]),m.sin(c0[nm])))
s1=num.array(s0)
z0=num.linspace(-1,1,1201,endpoint = True)
#単位円データ作成
u0=num.linspace(0,m.pi*2,61,endpoint = True)
u1=[]
for nm in range(len(u0)):
u1.append(complex(m.cos(u0[nm]),m.sin(u0[nm])))
uc=num.array(u1)
uz0=num.repeat(-1,61)
uz1=num.repeat(-0,61)
uz2=num.repeat(1,61)
#グラフ表示
plt.style.use('default')
fig = plt.figure()
ax = Axes3D(fig)
#関数定義
def unit_cylinder(n):
plt.cla()
#円柱描画
ax.plot(s1.real,s1.imag,z0,color="gray",lw=0.5)
#スポーク描画
#for num in range(len(uc)):
# ax.plot([0,uc[num].real],[0,uc[num].imag],[0,0],color="gray",lw=0.5)
#for num in range(len(uc)):
# ax.plot([0,uc[num].real],[0,uc[num].imag],[1,1],color="gray",lw=0.5)
for num in range(len(uc)):
ax.plot([0,uc[num].real],[0,uc[num].imag],[0,0],color="olivedrab",lw=0.5)
#単位円描画
ax.plot(uc.real,uc.imag,uz0,color="red",lw=1)
ax.plot(uc.real,uc.imag,uz1,color="green",lw=1)
ax.plot(uc.real,uc.imag,uz2,color="blue",lw=1)
#実数線追加
ax.plot([0,0],[0,0],[-1,1],color="black",lw=1)
ax.plot([0,1],[0,0],[-1,-1],color="red",lw=1)
ax.plot([0,1],[0,0],[0,0],color="black",lw=1)
ax.plot([0,1],[0,0],[1,1],color="blue",lw=1)
ax.plot([1,1],[0,0],[-1,0],color="red",lw=1)
ax.plot([1,1],[0,0],[0,1],color="blue",lw=1)
#諸元追加
ax.set_ylim([-1.1,1.1])
ax.set_xlim([-1.1,1.1])
ax.set_zlim([-1.1,1.1])
ax.set_title("Unit Cylinder")
ax.set_xlabel("Real")
ax.set_ylabel("Imaginal")
ax.set_zlabel("Cycle")
# グラフを回転
ax.view_init(elev=45, azim=Time_code[n])
Time_code0=num.arange(0,360,6)
Time_code=Time_code0[::-1]
#unit_cylinder(len(s1))
#plt.show()
ani = animation.FuncAnimation(fig, unit_cylinder, interval=50,frames=len(Time_code))
ani.s
- そして曲率0の場合(円半径が無限大$\tilde{∞}$の時)、上の円筒座標系についても、①「水平軸に沿った回転運動」が垂直軸に沿った直線運動と等価になる。②また逆に「垂直軸に沿った直線運動」が垂直軸に沿った回転運動と等価になる、という展開を迎える。
%matplotlib nbagg
import math as m
import cmath as c
import numpy as np
from functools import reduce
from itertools import accumulate
import matplotlib.pyplot as plt
from mpl_toolkits.mplot3d import Axes3D
import matplotlib.animation as animation
#指数写像演算
def Napier_culc(ABS,n):
RIM=ABS*m.pi*(0+1j)
Tarm0=np.repeat(RIM/n,n)
Tarm=np.concatenate([[(1+0j)],Tarm0])
return accumulate(Tarm,lambda x,y:x+x*y)
#単位円データ作成
u0=np.linspace(0,m.pi*2,61,endpoint = True)
u1=[]
for nm in range(len(u0)):
u1.append(complex(m.cos(u0[nm]),m.sin(u0[nm])))
uc=np.array(u1)
uz0=np.repeat(0,61)
uz1=np.repeat(1,61)
uz2=np.repeat(2,61)
#タイムテーブル
Tcode=np.linspace(0,m.pi*2,61,endpoint =True)
#グラフ表示
plt.style.use('default')
fig = plt.figure()
ax = Axes3D(fig)
#関数定義
def Exponential_map(n):
plt.cla()
#元(Element)算出
Ed=np.array(list(Napier_culc(ABS,Time_Code[n])))
#指数射影描画
rollc0=[]
for nm in range(len(Tcode)):
rollxy0=[]
for ni in range(len(Ed)):
rollxy0.append(c.rect(Ed[ni].real,Tcode[nm]))
rollxy=np.array(rollxy0)
rollc0.append(rollxy[len(rollxy)-1])
ax.plot(rollxy.real,rollxy.imag,-Ed.imag,color="gray",lw=0.5)
ax.plot(rollxy.real,rollxy.imag,Ed.imag,color="gray",lw=0.5)
rollc=np.array(rollc0)
rollz=np.repeat(-Ed[len(Ed)-1].imag,len(rollc))
ax.plot(rollc.real,rollc.imag,rollz,color="black",lw=0.5)
ax.plot(rollc.real,rollc.imag,-rollz,color="black",lw=0.5)
#円筒追加
#ax.plot(uc.real*np.pi,uc.imag*np.pi,-uz1,color="red",lw=1)
ax.plot(uc.real,uc.imag,uz0,color="green",lw=1)
ax.plot(uc.real,uc.imag,uz1,color="blue",lw=1)
ax.plot(uc.real,uc.imag,-uz1,color="red",lw=1)
#スポーク描画
for num in range(len(uc)):
ax.plot([0,uc[num].real],[0,uc[num].imag],[0,0],color="green",lw=0.5)
ax.plot([0,0],[0,0],[0,1],color="black",marker='x',lw=1)
ax.plot([0,0],[0,0],[0,2],color="black",marker='x',lw=1)
ax.plot([0,0],[0,0],[0,-1],color="black",marker='x',lw=1)
ax.plot([0,0],[0,0],[0,-2],color="black",marker='x',lw=1)
#諸元追加
ax.set_ylim([-np.pi/2,np.pi/2])
ax.set_xlim([-np.pi/2,np.pi/2])
ax.set_zlim([-np.pi/2,np.pi/2])
ax.set_title("Logarithmic Projection of Exponential Map")
ax.set_xlabel("Imaginal x")
ax.set_ylabel("Imaginal y")
ax.set_zlabel("Real")
# グラフを回転(elv=45,0で水平,90で垂直)
ax.view_init(elev=45, azim=-45)
ABS=1/2
Time_Code=[1,2,4,8,16,32,64,128,256]
#Exponential_map(7)
#plt.show()
ani = animation.FuncAnimation(fig, Exponential_map, interval=100,frames=len(Time_Code))
ani.save("map1100001.gif", writer="pillow")
- だから上掲の複素円筒座標系も、正確には「大半径無限大$\tilde{∞}$、小半径1のトーラス座標系」という事になる(図は大半径1、小半径1の単位トーラス座標系上における実数線の回転(赤線)の様子。回転軸となる虚数線は青線で示されている)。
【Token】トーラス概念
- 考え様によってはこの状態、ニュートンの運動第1法則(Newton's first law, 別名「慣性の法則」)「すべての物体は、外部から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける」そのもの。すなわち、これまで俯瞰してきたのは「まだ外部から力を加えられていない状態」すなわちこれから観測する現象に備えた静止的座標系に過ぎないが、その状態自体が「本当に静止している」様にも「等速運動を続けている」様にも定義可能という次第なのである。実際に運動が始まれば質量や摩擦なども考慮にいえwねばならなくなるが、かかる開始前状態においては、物理学と数学の差異はまだ現れてこないとも?
Wikipedia「運動第1法則」 - さらに付け加えるなら、ニュートンの運動第2法則(Newton's second law)m(質量)a(加速度)=F(力)も、質量=1,加速度=「傾き1」と置けば「F(力)=「傾き1」」と規定され、これまでの議論に組み込める。「ライプニッツと並び称される微分積分概念の樹立者」ニュートンの名前を冠した「運動の第2法則」の実際の定義者は「数学者」オイラーとされ、この様に物理学者が同時に数学者でもあるケースが大半だった当時の景色にあっては、物理学と数学は今よりずっと密接な連携関係にあったのである。
Wikipedia「運動の第2法則」
ここでいう「指数写像1回」「対数写像1回」のケースについては、これまで何度も投稿してきました。
実はそれ以前に「指数写像$\tilde{∞}$回」「対数写像$\tilde{∞}$回」の方面も試してはいたのです。ただ当時は何が何だか分からず、怖くなってただ封印する事しか出来ませんでした。
まずは「指数写像を繰り返すとどうなるのか?」から。1回目…
2回目…
3回目…
今度は「対数写像を繰り返すとどうなるのか?」から。1回目…
2回目…
3回目…
さすがテトレーションというべきか、どちらもたった3回でこの有様。このデュラック関数の如き振る舞いこそが、おそらく「ほとんど0と$\tilde{∞}$の極端に寄り、それを区別する意味すら存在しない」単極球状体(Monopolar Sphere)の特徴なのでしょう。
ディラックのデルタ関数とヘヴィサイドのステップ関数
そこまで辿り着いた時点で以下続報…