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コミュニティから始めるAI駆動開発: 社内勉強会を Claude Code PoC の「実験場」にした話

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Last updated at Posted at 2025-12-01

この記事はHTアドベントカレンダー2日目の記事です。

はじめに

博報堂テクノロジーズでデータサイエンティストをしている髙橋です。

およそ1年前に入社半年で社内勉強会を立ち上げ、1年間継続させた話という記事を投稿しました。社内勉強会である「エンジニアリングニュース読み会」の立ち上げや運営に関して多くの反響をいただき、その後も活動を続けています。

今回の記事は、その続編です。

  • 社内で AI や Coding Agent を試したいが、どう始めればいいか悩んでいる方
  • 技術コミュニティを「ただの輪読会」で終わらせたくない方
  • Claude Code のようなツールを PoC から組織展開につなげたい方

を主な対象として、

  • 「エンジニアリングニュース読み会」という勉強会コミュニティを起点に、
  • Claude Code のトライアル PoC をどのように設計・実施し、
  • 結果として組織の AI 駆動開発を加速させる「実験場」にしていったか

を具体的に紹介します。

背景:AI駆動開発の急速な発展

この1年間で、AI によって開発者の環境は大きく変化しました。以下は、主要な Coding Agent とそのリリース日の一覧です。

トライアル PoC を検討していた当時の状況を振り返ると、それまで主流だった GitHub Copilot や Cursor は、あくまで人間が主導し、AIがそれを補佐するスタイルが中心でした。それに対し Claude Code は、大まかな指示だけでタスクを完遂しようとする「自律的なエージェント」という新しい立ち位置を確立しつつありました。

また、この「自律的に開発を進める」という新しい体験はエンジニアの間で大きな話題となり、6月末の Claude Code Deep Dive や7月初旬の Claude Code Meetup Japan #1 をはじめ、この時期に多くの勉強会やイベントが開催されたことからも、当時の注目度の高さがわかります。

このような市場の動きを受け、社内でも「これらのツールをどう業務に活かすか」という機運が高まっていました。

なぜ「コミュニティでの検証」から始めたのか

新しいツールを導入する方法としては、

  • 経営層や IT 部門主導で評価チームを組成し、トップダウンで全社展開を目指す
  • 現場の有志コミュニティを起点に、小さく試しながら知見を貯めていく

といった選択肢があります。

今回は後者であるボトムアップなアプローチを選びました。

その起点となったのが、私が1年前に立ち上げ、週次で開催している社内勉強会「エンジニアリングニュース読み会」です。この会には、継続的に参加する中で、自然と以下のような特性を持つメンバーが集まっていました。

  • 新しい技術トレンドに敏感で、自分で試してみるのが好きなメンバー
  • エンジニア、データサイエンティスト、PM など、職種の違うメンバー

この「小規模だが技術感度の高いコミュニティ」を実験場にすることで、

  • 細かくレクチャーしなくても自走して検証が進む
  • 実案件に近い文脈で、リアルな使い勝手が評価できる

というメリットが期待できました。

PoCの企画と実行

こうして、コミュニティの有志メンバーによる Claude Code のトライアル PoC が始まりました。企画にあたり、特に重視したポイントは以下の3点です。

① ゴール設定: 精密な ROI より「リアルな手触り」を優先

いきなり「工数◯%削減」といった精緻な ROI を出そうとすると、

  • 対象タスクの切り出し
  • 前後比較のためのログ設計
  • 評価指標の合意形成

などで PoC の準備に時間がかかりすぎてしまいます。

そこで今回は、各自の業務や個人開発で Claude Code を 3ヶ月使い倒してみて、どんな場面で効くのかを具体例付きで持ち帰ることをゴールにしました。

② リスク管理: 社内ガイドラインと利用規約に素直に従う

  • 社内の生成 AI 利用ガイドラインに沿って、投入してよい情報の範囲を事前に明確化
  • Claude Code の利用規約を読み、ログ保存や学習利用の扱いを確認

という最低限のルールをまずは決めました。

③ コスト管理: 上限の見える定額プランを選ぶ

従量課金では意図しないコスト増加が懸念されるため、今回は上限の見える Claude Code MAX ($100/月) を採用し、

  • 期間: 3ヶ月
  • 人数: 11名(7センター横断 / エンジニア・DS・PMなど)
  • 想定予算: 合計 約50万円

という前提でスタートしました。

実施概要は以下の通りです。

項目 内容
期間 3ヶ月
人数 11名(7センター横断 / エンジニア・DS・PMなど)
プラン Claude Code MAX ($100/月)
予算 約50万円
取り組み 各自の業務・個人開発において Claude Code を用いた AI 駆動開発を実践する
必須事項 トライアル期間で得た知見・Tips、成果物を振り返り会で共有する

なお今回の予算は、昨日のアドベントカレンダー記事でも紹介した BeOpen 推進室にサポートしていただきました。

BeOpen 推進室によるサポート

トライアルから見えた「業務の変革」

3ヶ月のトライアルを通じて、Claude Code は単なるツールではなく、「働き方そのものを変える起点」となりました。その変革は「効率化」と「能力拡張」の2つの軸で捉えることができます。

効率化: 日常業務のスピードが劇的に向上

  • コードの修正・リファクタリング、レビューといった定常業務の処理速度が大幅に向上
  • 新しいライブラリやフレームワークの学習において、公式ドキュメントを読むだけでなく、AIと対話しながら理解を深めることで、学習時間を大幅に短縮

能力拡張: 専門外の領域にも挑戦できる環境へ

  • 普段フロントエンドを書かないデータサイエンティストが、PoC で Web UI を数日で実装できるようになった
  • PM など非エンジニア職の方が、これまでエンジニアに依頼していた簡単な SQL を自分で書き、データ抽出を行えるようになった
  • これまで数週間かかっていた小規模な開発や PoC が、数日で形になるケースが続出

image.png

トライアルで得た2つの「意外な発見」

3ヶ月間の実践を通じて、効率化や能力拡張といった効果だけでなく、当初は想定していなかった発見もありました。

仕様書を書くモチベーションが変わった

これまでチームでは、仕様書は「書くのも大変」「書いても人間は読んでくれない」という二重苦から、極力避ける傾向がありました。ところが Claude Code を使い始めてから、この状況が変わりました。

  • 仕様書を書くハードルが下がった(AIに口頭で説明するような感覚で書ける)
  • 人間が読まなくてもAIが読んでくれる。そして成果物の質が上がる

「AIという新しい読み手」が現れたことで、仕様書を書くインセンティブ構造そのものが変化したと言えるでしょう。この気づきをきっかけに、Spec-Driven Development(仕様駆動開発)を意識した開発スタイルが多くのメンバーの間で定着してきています。

「誰でもコードが書ける」は半分だけ正しい

一方で、注意すべき点も見えてきました。

Claude Code は強力なツールですが、使う側にある程度のプログラミング経験がないと、
良いアウトプットを引き出すのが難しいという声がありました。

  • 出力されたコードの妥当性を判断できない
  • 意図と違う方向に進んでいることに気づけない
  • 適切な指示を出せない

「AI があれば誰でも開発できる」という期待は半分正しくて半分は違うというのが実感です。このような AI 時代において新人育成はどうあるべきか、これは今後の課題として引き続き考えていきたいと思っています。

まとめと今後の展望

もともと「エンジニアの横のつながりを作る」という目的で始まった「エンジニアリングニュース読み会」は

  • 技術感度の高いメンバーが自然と集まる
  • 職種をまたいだ共通言語 (AI・開発ツール) が育つ
  • 小さく試して失敗も含めて共有する文化ができる

というプロセスを経て、結果的に Claude Code PoC の母体のような役割を担うようになりました。

今回のトライアルで得られた実践的な知見を元に、現在、全社的なAI駆動開発の推進プロジェクトを検討し始めています。今後も「エンジニアリングニュース読み会」を維持・発展させ、情報共有の場としてだけでなく、新たな技術を試す土壌として活用していく予定です。

そして、このブログを執筆している Qiita アドベントカレンダーへの参加も、当社の新たな挑戦の一つです。コミュニティから生まれた知見を社内だけでなく社外へも発信していくことで、さらなる成長に繋げていきたいと考えています。

この記事が、皆さんの会社の技術コミュニティの持つ可能性を再発見する一助となれば幸いです。

最後に

博報堂テクノロジーズは、マーケティング×テクノロジー領域で活躍できる人材を積極的に募集しています。キャリアサイトをリニューアルしましたので、興味をお持ちの方はぜひご覧ください。

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